DNAチップ研究所は3月安値で底打ちの可能性
バイオベンチャーのDNAチップ研究所 <2397> (東マ)の株価は軟調展開が続いたが、足元では700円台を維持して下げ渋り感を強めている。3月安値693円で底打ちした可能性があり、中期成長力を評価して反発のタイミングだろう。
将来の個人化医療や未病社会の実現を見据えた遺伝子発現プロファイル収集・統計受託解析など、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)技術の事業化を目指す研究開発企業で、研究受託事業(大学病院・研究機関や製薬・食品メーカー向けDNAチップ関連の実験・解析・統計処理、カスタムDNAチップ設計などの受託解析サービス)を主力としている。
時々刻々と変化する体調変化や加齢とともに起こる免疫変化などを、低侵襲針採血で遺伝子検査するRNAチェック(血液細胞遺伝子発現マーカー検査)に強みを持ち、中期成長に向けて次世代シークエンス受託解析サービスなど研究受託のメニュー充実とともに、RNAチェックによる遺伝子解析検査サービス、独自開発パッケージソフトウェアによる診断支援サービス、健康モニタリングサービスなどの診断事業を収益柱に育成する方針だ。
戦略商品としては、臨床研究用データベース「iCIS」構築による診断支援サービス、高校・大学生が分子生物学を学習できる教育用DNAチップ教材「ハイブリ先生」、関節リウマチのスムーズな診察をサポートする問診パッケージソフト「iRIS」、関節リウマチ生物学的製剤インフリキシマブの投与14週後の治療効果を予測する診断支援サービス「リウマチェック」、乳癌の再発リスクを予測する乳癌予後予測キット「MammaPrint」(導入商品)などの拡販を強化している。
こうした戦略商品に関しては大病院での人間ドックへの採用を働きかけ、中長期的には一般健康診断への採用拡大も目指す方針だ。さらに大腸がん・悪性神経膠腫の術後予後予測、免疫年齢・肥満・うつ病・疲労・アルツハイマーなどの診断関連マーカーの開発・事業化、医薬品開発と一体化した診断マーカー開発(コンパニオン診断薬開発支援)、再生医療支援事業(培養細胞の安全性評価系)なども強化して業容を拡大する。
14年3月には「神経膠腫予後予測方法、およびそれに用いるキット」に関する国内特許を取得した。悪性神経膠腫患者の切除がんから取得したRNAを用いて、悪性神経膠腫患者の術後の予後を予測(補助療法感受性予測)する方法、および測定キットに関する国内特許である。診断事業分野のメニュー拡充の一環としてサービス提供の事業化を進める。
4月24日に発表した前期(14年3月期)の業績(非連結)は、売上高が前々期比6.1減の3億49百万円、営業利益が44百万円の赤字(前々期は89百万円の赤字)、経常利益が44百万円の赤字(同89百万円の赤字)、純利益が45百万円の赤字(同80百万円の赤字)だった。売上高が伸び悩んで計画を下回り営業赤字が残った。ただし粗利率改善などで前々期に比べて営業赤字幅が縮小した。
事業区分別売上高は、研究受託事業が同2.2%減の3億35百万円(うち研究受託が56百万円、受託解析が2億61百万円、診断事業が17百万円)だった。受託解析では次世代シークエンス受託の他社との競合、診断事業ではリウマチ多剤効果判定の製品化遅れなどで計画未達となった。商品販売事業は機器が減少して同52.5%減の13百万円だった。
今期(15年3月期)業績(非連結)見通しは売上高が前期比26.1%増の4億40百万円、営業利益が2百万円(前期は44百万円の赤字)、経常利益が2百万円(同44百万円の赤字)、純利益が1百万円(同45百万円の赤字)としている。研究受託事業でアジレント製マイクロアレイ、次世代シークエンサー、診断支援および関連ビジネスに注力し、増収効果で営業黒字化を目指すとしている。受託解析や診断事業の構成比上昇、採算性の高いメニューの重点化、さらに作業効率の改善などで粗利益率の改善も期待される。
今期の業績改善推進プランとしては、提案型研究受託の強化(マイクロアレイ解析と新規受託サービスの推進)、診断事業の開発および販促強化(リウマチ多剤効果判定、臨床研究用データベース「iCIS」、診断マーカー、RNAチェックなど)、および海外展開(米国の大学との共研究)を掲げている。
株価の動き(13年10月1日付けで株式100分割)を見ると、3月安値693円から反発して800円台を回復する場面があったが買いが続かず、足元は概ね700円台で推移している。ただし700円台を割り込むことなく下げ渋り感を強めている。5月16日は711円まで調整する場面があったが、終値では前日比1円安の740円まで切り返した。3月安値で底打ちした可能性があり反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
バイオベンチャーのDNAチップ研究所<2397>(東マ)の株価は軟調展開が続いたが、足元では700円台を維持して下げ渋り感を強めている。
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2014-05-19 07:30