リンテックは調整のほぼ最終局面、今期増収増益を評価して反発

  粘着製品大手のリンテック <7966> の株価は、地合い悪化の影響で3月の戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、2月安値水準まで下押す動きは見られない。調整のほぼ最終局面だろう。今期(15年3月期)増収増益・増配見通しや指標面の割安感を評価して反発のタイミングだろう。   高度な粘着応用技術と表面改質技術(粘着剤や表面コート剤の開発・配合・塗工技術)に強みを持ち、印刷材・産業工材関連(シール・ラベル用粘着フィルム、ウインドーフィルム、太陽電池用バックシート、自動車用・工業用特殊粘着製品など)、電子・光学関連(半導体製造用粘着テープ、タッチパネル用シート材、液晶用偏光・位相差フィルム粘着加工など)、洋紙・加工材関連(カラー封筒用紙、粘着製品用剥離紙・剥離フィルム、炭素繊維複合材料用工程紙など)の分野に幅広く事業展開している。   14年3月に発表した新中期経営計画「LIP-2016」では、重点テーマをグローバル展開のさらなる推進、次世代を担う革新的新製品の創出、強靭な企業体質への変革、戦略的M&Aの推進、人財の育成とした。   主要数値目標としては17年3月期売上高2400億円、営業利益200億円、経常利益200億円、純利益130億円、売上高営業利益率8%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上を掲げて、セグメント別の目標数値は、印刷材・産業工材関連の売上高1025億円、営業利益57億円、電子・光学関連の売上高943億円、営業利益88億円、洋紙・加工材関連の売上高432億円、営業利益55億円としている。   次世代を担う革新的新製品の創出では、米テキサス大学ダラス校と共同開発してきたカーボンナノチューブ(CNT)を薄いシート状に加工する新技術の16年度中の実用化に向けて、米国テキサス州に研究開発拠点NSTCを設立することを14年3月に発表した。CNTの素材としての特性を損なうことなく、従来手法に比べて100分の1から1万分の1という極めて薄いCNTシートを生成することが可能な技術で、電気自動車用蓄電装置の電極材料への活用などを想定している。   5月8日に発表した前期(14年3月期)の連結業績は、売上高が前々期比6.5%増の2032億42百万円、営業利益が同30.3%増の137億66百万円、経常利益が同19.9%増の131億65百万円、そして純利益が同10.7%増の85億01百万円だった。配当予想は同8円増配の年間42円(第2四半期末21円、期末21円)とした。   売上面ではスマートフォン・タブレット関連の好調が牽引し、利益面ではプロダクトミックス改善、円安メリット、コスト削減などの効果も寄与して増収増益だった。円安メリットは売上高で約94億円、営業利益で約33億円の押し上げ要因となった。売上原価率は77.7%で同1.1ポイント改善した。   セグメント別の動向を見ると、印刷材・産業工材関連は売上高が同4.2%増の862億71百万円、営業利益が同3.8%減の22億90百万円だった。シール・ラベル用粘着製品が国内物流関連向けなどに好調だったが、米国やアジアでウインドーフィルムが減少し、営業利益が伸び悩んだ。   電子・光学関連は売上高が同9.4%増の791億39百万円、営業利益が同2.2倍の68億46百万円だった。半導体関連粘着テープ、積層セラミックコンデンサー製造用コートフィルム、液晶ディスプレイ関連粘着製品などがスマートフォン・タブレット関連で好調に推移した。   洋紙・加工材関連は売上高が同5.9%増の378億31百万円、営業利益が同6.7%減の46億45百万円だった。カラー封筒用紙がNISA関連や消費増税前駆け込み需要で好調に推移し、炭素繊維複合材料用工程紙は航空機向けで好調だった。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは売上高が前期比3.3%増の2100億円、営業利益が同16.2%増の160億円、経常利益が同17.7%増の155億円、純利益が同23.5%増の105億円、そして想定為替レートは1米ドル=98円などとしている。電子・光学関連でスマートフォン・タブレット関連が堅調に推移し、前期やや低調だった印刷材・産業工材関連でウインドーフィルムの需要増加も寄与する。配当予想は同2円増配の年間44円(第2四半期末22円、期末22円)とした。   セグメント別の計画を見ると、印刷材・産業工材関連はウインドーフィルムや自動車関連粘着製品の増加などで売上高が同5.6%増の911億円、営業利益が同70.3%増の39億円、電子・光学関連は半導体製造装置関連が減少見込みだが、半導体関連や積層セラミックコンデンサー関連の需要が堅調で売上高が同0.5%増の795億円、営業利益が同5.2%増の72億円、洋紙・加工材関連は炭素繊維複合材料用工程紙が堅調で売上高が同4.1%増の394億円、営業利益が同5.5%増の49億円としている。   株価の動きを見ると、3月の戻り高値2070円から反落して水準を切り下げた。5月16日には直近安値1824円を付けて4月11日の1840円を割り込んだ。5月8日発表の今期増収増益・増配見通しに対しても反応薄であり、全般地合い悪化の影響を受けているようだ。ただし2月安値1747円水準まで下押す動きは見られない。調整のほぼ最終局面だろう。   5月16日の終値1838円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円57銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2100円87銭で算出)は0.9倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、個別の悪材料は見当たらないだけに、好業績見通しや指標面の割安感を評価して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
粘着製品大手のリンテック<7966>(東1)の株価は、地合い悪化の影響で3月の戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが・・・。
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2014-05-19 09:15