インフォコムは反発のタイミング、今期増収増益見通しを評価

  ITソリューションやコンテンツ配信などのインフォコム <4348> (JQS)の株価は、1月の戻り高値圏から反落後は地合い悪化も影響して上値を切り下げたが、終値で800円台を割り込むことなく下値固め完了感を強めている。電子書籍配信などが好調であり、15年3月期増収増益見通しを評価して反発のタイミングだろう。   企業向けITソリューションを提供するITサービス事業、一般消費者向け各種デジタルコンテンツを提供するネットビジネス事業を展開している。中期経営計画では目標数値として17年3月期売上高550億円、営業利益50億円を掲げている。   重点3事業として、ITサービス事業の医療機関・製薬企業向けヘルスケア事業、Web-ERPソフト「GRANDIT」事業、およびネットビジネス事業(電子書籍やソーシャルゲーム)を掲げ、さらにクラウドサービス関連、ソーシャルメディア関連、ビッグデータ領域のデータサイエンス関連、農業IT化関連、海外展開なども強化する方針だ。   06年に開始したスマートフォン・フィーチャーフォン向け電子コミック配信サービス「めちゃコミック」は、13年8月から各携帯キャリア公式サービス1位を独占し、14年5月からはテレビCMを開始した。ネットビジネス事業を分社化して設立したアムタスは、13年11月にマルチデバイス対応の新たな電子書籍配信サービス「ekubostore(エクボストア)」も開始した。さらに14年2月にはソーシャルゲームのファンタジーRPG「マギ Dungeon & Magic」、14年4月にはスマートフォン向け音楽ゲームアプリ「Deemo」日本語版の提供を開始した。   また14年3月には、EC事業の基盤共通化や運営効率化に向けてアムタスグループ内での事業再編を発表した。食品EC事業を展開する持分法適用関連会社のドゥマンを連結子会社化し、連結子会社のイー・ビー・エス(EBS)が展開するアパレルEC事業をドゥマンへ譲渡して事業統合する。   業容拡大に向けてM&Aや戦略的アライアンスも積極活用している。13年9月に医薬品業界向けCRM事業強化に向けてミュートスと合弁会社インフォミュートスを設立し、BCP(事業継続計画)分野のビジネス拡大に向けて危機管理関連ソリューションを手掛ける江守商事 <9963> との協業を開始した。ゲーム配信サービスでは韓国ユビヌリ社と協業して韓国市場にも参入している。   4月24日に発表した前期(14年3月期)の連結業績は、売上高が前々期比4.7%増の391億38百万円、営業利益が同5.0%増の36億77百万円、経常利益が同5.7%増の36億86百万円、純利益が同1.8%減の20億41百万円だった。6期連続の営業増益で、売上高と営業利益は3期連続で過去最高を更新した。配当予想は13年10月1日付の株式200分割を考慮すると実質的に同1円増配の年間17円50銭(期末一括)とした。   セグメント別に見ると、ITサービス事業は売上高が同1.9%増の254億16百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同6.8%増の30億74百万円だった。一般企業向けは弱含みだったが、ヘルスケア事業の業容拡大が牽引し、品質管理強化による採算性向上や、知財管理システムなど不採算事業整理による事業構造改革の効果も寄与した。ネットビジネス事業は、売上高が同10.3%増の137億22百万円、営業利益が同2.2%減の5億97百万円だった。電子書籍配信の売上高が100億円を超える規模となって全体を牽引し、先行投資負担を吸収して前期並みの利益を確保した。   今期(15年3月期)連結業績見通しは売上高が前期比9.9%増の430億円、営業利益が同8.8%増の40億円、経常利益が同8.5%増の40億円、純利益が同12.6%増の23億円としている。ヘルスケア事業や電子書籍配信の好調が牽引し、事業基盤整備、事業構造改革、継続的投資の成果が発現して増収増益見込みだ。配当予想は同1円増配の年間18円50銭(期末一括)とした。   セグメント別の計画は、ITサービス事業はヘルスケア事業とGRANDIT事業の拡大で売上高が同4.1%増の270億円、営業利益が同6.3%増の30億円、ネットビジネス事業は電子書籍配信を軸に事業拡大して売上高が同21.1%増の160億円、営業利益が同17.8%増の10億円としている。重点分野の一段の業容拡大で好業績が期待されるだろう。   株価の動き(13年10月1日付で株式200分割)を見ると、1月の戻り高値圏から反落後は上値を切り下げて調整局面が続いている。個別の悪材料は見当たらないが、地合い悪化が影響しているようだ。ただし下値は終値ベースで800円台を割り込むことなく、足元では下値固め完了感を強めている。   5月16日の終値839円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS84円13銭で算出)は10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円50銭で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS698円41銭で算出)は1.2倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形になったが、800円近辺の下値支持線から反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ITソリューションやコンテンツ配信などのインフォコム<4348>(JQS)の株価は、1月の戻り高値圏から反落後は地合い悪化も影響して上値を切り下げたが、終値で800円台を割り込むことなく下値固め完了感を強めている。
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2014-05-19 09:30