中国企業も取引先中国企業の「品質問題」で困っている・・・対応策から学ぶ

中国工場で生産をするためには、当たり前のことだが材料や部品が必要だ。ではどこから調達しているのか? 今や日系中国工場もコストの関係で現地中国企業から多くの材料や部品を調達しているのが現状である。
そのときに問題となるのが中国企業製部材の品質だ。どの日系企業も中国仕入先の品質指導には苦労している。中国での仕入先の改善指導については、以前「中国調達先工場の改善指導は現実主義的感覚が必要」というタイトルでこのコラムに投稿しているので、参考にしていただきたい。
実は、日系企業だけが仕入先中国企業の品質に困っているわけではなく、本コラムの見出しにもあるように「中国企業も仕入先である中国企業の品質には困っている」のである。仕入先部材の品質の悪さが自社製品の品質を悪くしているという点では、日系企業も中国企業も同じ土俵に乗っているのだ。今回は、そうした問題に対して中国企業はどうしているかについて書きたいと思う。
■1.対応は3つに分かれる
仕入先中国企業から購入している部材の品質が悪い場合、購入元の中国企業の対応は大きく3つに分けられる。
1) 自社品質不良を仕入先のせいにする中国企業
自社製品の品質不良に対して顧客からクレームがあったときに「購入している部材の品質がよくないので不良になった」と言い訳をしてくる中国企業がある。実際にこうした言い訳を何度も聞かされた。こうした中国企業は、不良を減らそうというような考えは持ち合わせていない。自分たちがそうであるから、仕入先の中国企業の不良に対しても同じように考えているのである。
2) 仕入先にクレームを言うだけの中国企業
仕入先部材の品質に問題があると認識していて、よいものを入れてもらいたいと考えているので、仕入先に対してクレームをつける。しかし、仕入先を改善指導する力量は持ち合わせていないため、ただ文句を言うだけになっている。
3) 仕入先に対して改善指導をする中国企業
仕入先部材の品質が自社製品の品質に大きな影響があると認識しており、よいものを入れてもらうために改善指導を行っている。こうした中国企業は、自社製品の不良を仕入先部材の品質が原因としても、それを管理するのは自社の責任と認識している。
さらに言えば、仕入先への改善指導が出来るだけの力量を持っている企業である。ただし、最初から改善指導する力量を持っていた訳ではない。苦労しながらその力量を身に付けてきたというのが本当のところである。もうひとつ言えるとすれば、仕入先を改善指導するためのスタッフの必要性を理解し用意したことが他の中国企業との違いではないか。
■2.中国企業の対応策
仕入先中国企業の品質で困っている中国企業がどのような対応策をしているのか、いくつか紹介したいと思う。
1) 不良品を納入させないために
日系企業にはない中国企業の特徴として、不良品とわかっていても出荷することがある。言ってしまえば「出荷してしまえば勝ち」的な考えを持っているところがある。それをさせないために自社の検査員を派遣して仕入先で検査をすることを行っている企業は少なくない。
2) 改善指導
生産工程や検査方式などの見直しを指導している。ただし、仕入先の対応力や協力度でその内容は大きく違ってくる。工程管理や根本原因を突き詰めるというよりも、検査強化などになる傾向はある。これは、指導するスタッフの力量によるところが大きい。
3) 新規仕入先の選定の際の基準
仕入先の品質で困っている中国企業の中には、新規仕入先を選定する際に「こちらの要望に協力的」という判断基準を設けているところもある。これは至極当然のことで、その後の取引では、品質を含めた諸々の要求をしていくのであるから、それに対して協力的であることがいかに大事なことかに気が付いたのである。この点は、日系企業も見習うべきだと思う。
最後に付け加えると、中国企業も品質のよい企業、協力的な企業へと仕入先の切り替えを行っている。日系企業も「1度購入したらそこが永遠」というのではなく、状況により仕入先を切り替える判断が必要である。そのためには、常に第二、第三の仕入先を開拓することが必要と考える。(執筆者:根元隆吉 提供:中国ビジネスヘッドライン)
中国工場で生産をするためには、当たり前のことだが材料や部品が必要だ。ではどこから調達しているのか? 今や日系中国工場においてもコストの関係で現地中国企業から多くの材料や部品を調達しているのが現状である。
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2014-05-19 12:15