【投資戦略2014】外為どっとコム総研、年後半にドル115円も

外為どっとコム総研の調査部研究員の川畑琢也氏は、「ドル/円は2014年前半に1ドル=108円をめざすドル高場面が期待できるが、年後半には115円が視野に入ると共にピークアウト感がでるだろう」と見通している。また、金融緩和からの脱却・正常化をめざす動きにあるNZドル、英ポンドも対円での値上がり期待が強いと予想している。
――2014年のドル/円の見通しは?
ドル/円は現在、三角もち合いを上抜けて高値を試しにいっている局面ですから、2014年の前半は力強いドルの上昇が続くと考えられます。今回のもち合いの高さ分の上げ幅を想定すると、当面の高値のメドは1ドル=108.181円になります。
また、2007年の高値124.120円から2011年10月31日に付けた安値75.320円の下げに対する反発局面であると考えると、下げ幅の61.8%戻しが1ドル=105.478円。3分の2戻しは107.853円です。
米国は2013年12月のFOMCにおいてテーパリング(金融量的緩和の縮小)を開始しましたが、縮小規模が小さく株価が上昇。力強い雇用統計や好調な小売など米国経済に懸念材料が見当たらないことから、ドル高基調が当面継続するものと考えられます。
一方、日本は、貿易赤字が定着し、追加金融緩和の観測もあるほど、円安の材料が重なっています。4月の消費増税のタイミングでの金融緩和が期待されていますが、黒田日銀総裁は、「躊躇なく大規模な緩和策を打ち出すだろう」と見られていて、これも、円売りの材料になっています。
このように見ていくと、当面は1ドル=105円をめざす上昇局面にあり、105円を超えて上昇する場合は、108円前後の高値へ進み、さらに上昇に勢いがつけば115円までの上値が期待できると思います。反対に、105円で伸び悩むようですと1ドル=90円程度に下落するリスクもあります。
――高値をつける時期については?
ドル/円のサイクルを見ていくと、1971年以降のボトムをつけるタイミングをカウントすると、31週-67週で転換点を迎え、平均すると約46週になります。現在は、2013年6月安値を起点とする上昇トレンドが続いていると考えられ、次の46週サイクルの応答週は、2014年4月28日の週になります。遅くとも、67週にあたる9月後半までにつける可能性が高いと思います。
前回のサイクル(2012年9月-2013年6月)は、強気トレンドを示すライトトランスレーションでしたので、現在はその流れを引き継いで強いトレンドであると仮定すると、次の高値は、6月ボトムから23週経過した11月11日の週より後に付けることになるでしょう。
一方、1971年以降の月足で、上昇・下落期間をカウントすると上昇トレンドのピークアウトは、起点から29カ月(今回のケースにあてはめると2014年2月)、34カ月(2014年7月)、41カ月(2015年1月)が応答します。どのポイントで高値をつけてもおかしくないと思います。もっとも可能性が高いのは、7月のタイミングでしょう。年前半で108円前後に到達していれば、115円に向けた一段高もありそうです。
ただ、今回の大きな上昇トレンドが一旦終わってしまうと、次の上昇に移るまでには調整が必要になります。年後半には、ドル高一辺倒の相場とは様相の違う展開も予想されます。
――その他に注目の通貨ペアは?
NZドル/円に注目しています。1990年以降の月足をみると、比較的、レジスタンスやサポートラインに沿った動きをする傾向にあり、2013年は、2012年半ばをボトムにした強いサポートラインに沿って値上がりしました。
現在、世界経済が安定し、リスクが取れる環境で、世界のマーケットが落ち着いています。一時期流行したキャリートレードがやりやすい環境になったといえますが、先進国の金利が低下する中にあって、金利先高観のあるNZドルは注目されます。NZ中銀は、金融緩和から正常化に戻すことに意欲的で、今後2年3カ月で2.25%の利上げを想定しているというコメントも出しています。日本の利上げは、まだ先の話ですから、NZドルと円の金利差が際立ってくると思います。
1NZドル=97.73円の高値が期待できると思います。流動性に問題がある通貨ペアですので、大きな資金を投資することはできませんが、資金の一部で投資する魅力はあると思います。
また、ポンド/円も値上がりに弾みがつく局面です。すでに、日足・週足が「三役好転」といわれる極めて強気になれるサインを出していますが、今後、月足でも雲の上限を突破すると三役好転となり、大きな上昇トレンドが期待されます。
英国はユーロに先駆けて金融引き締めが話題になるほど強い経済です。英中央銀行は、超低金利政策を解除する基準と見られる失業率7%について、11月の四半期インフレレポートでは2014年第4四半期にも到達するという見方(前回8月時点での予想は2016年第3四半期)をしています。日英の金利差が開くことが意識されるようになれば、1ポンド=200円をめざすポンド上昇相場があっても不思議ではありません。(編集担当:徳永浩)
外為どっとコム総研の調査部研究員の川畑琢也氏は、「ドル/円は2014年前半に1ドル=108円をめざすドル高場面が期待できるが、年後半には115円が視野に入ると共にピークアウト感がでるだろう」と見通している。(写真は、川畑琢也氏。サーチナ撮影)
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2013-12-25 15:15