科研製薬は高値更新、株主還元に積極的な姿勢を評価して上値追い
科研製薬 <4521> の株価は4月中旬に動意付いて急伸し、13年5月高値を突破した。急伸したため目先的には過熱感もあるが強基調の形だろう。今期(15年3月期)増収増益見通しに加えて、増配、自己株式取得・消却など株主還元に積極的な姿勢を評価して、過熱感を冷ますための自律調整を挟みながら上値追いの展開だろう。
整形外科、皮膚科、内科といった領域を得意とし、農業薬品や飼料添加物なども展開する医薬品メーカーである。医薬品・医療機器は生化学工業 <4548> からの仕入品である関節機能改善剤「アルツ」を主力として、癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」、高脂血症治療剤「リピディル」、褥瘡・皮膚潰瘍治療剤「フィブラストスプレー」などを展開し、ジェネリック医薬品も急拡大している。
開発中の爪白癬を適応症とするKP-103(爪白癬治療剤エフィナコナゾール)(国内初の外用剤で、海外はカナダのバリアント社が13年10月にカナダで承認取得し、米国で申請中)については、国内では今期(15年3月期)半ばごろをメドに発売を見込んでいる。また14年2月には、米国における早期承認取得を目指すため、バリアント社に対して容器に関する技術供与およびデータ使用許諾を行うことで合意した。
さらに開発中のテーマとしては、歯周病を適応症とするKCB-1D(16年承認予定)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI-657(生化学工業と共同開発、アルツの効能追加、16年承認予定)、潰瘍性大腸炎を適応症とするKAG-308(旭硝子 <5201> と共同開発)などがある。
5月12日に発表した前期(14年3月期)の連結業績は、売上高が前々期比2.2%増の889億46百万円、営業利益が同8.6%増の158億72百万円、経常利益が同8.9%増の155億21百万円、純利益が同8.3%増の97億35百万円だった。売上高は計画をやや下回ったが、販管費効率化なども寄与して各利益とも計画を超過達成した。研究開発費を除くベースでの売上高販管費比率は23.5%で同0.8ポイント低下した。配当予想は同4円増配の年間48円(第2四半期末24円、期末24円)とした。12期連続の増配となる。
セグメント別売上高は、薬業が同2.2%増の864億83百万円、不動産事業が1.1%増の24億63百万円だった。
主要医薬品・医療機器の売上高を見ると、アルツは市場の伸びが鈍化する中で市場シェアが上昇して同1.7%増の320億円、セプラフィルムは外科の消化器がんなどへの使用拡大で同3.5%増の107億円、リピディルは錠剤化による使用拡大や脂質関連ガイドラインの普及などで同8.5%増の44億円、フィブラストスプレーは同0.6%減の37億円、ジェネリック医薬品合計は新製品も寄与して同19.6%増の109億円だった。
今期(15年3月期)連結業績見通しについては売上高が前期比2.8%増の914億円、営業利益が同5.8%増の168億円、経常利益が同5.7%増の164億円、純利益が同9.9%増の107億円としている。売上面ではアルツ、セプラフィルム、リピディル、ジェネリック医薬品が好調に推移し、薬価改定の影響や研究開発の増加を吸収して増収増益見込みだ。爪白癬治療剤エフィナコナゾールの売上も期待値としてある程度織り込んでいるようだ。配当予想は同6円増配の年間54円(第2四半期末27円、期末27円)とした。13期連続の増配となる。
主要医薬品・医療機器の売上高の計画を見ると、アルツについては変形性膝関節症の疾患啓発活動を充実させるが薬価改定の影響を吸収するまでには至らず同1.2%減の316億円を見込んでいる。セプラフィルムは新材形追加などの効果で同3.7%増の111億円、リピディルは脂質関連ガイドラインおよび糖尿病診療ガイドライン情報の活用などで同6.8%増の47億円、フィブラストスプレーは形成外科や皮膚科への情報提供充実などで同2.7%増の38億円、ジェネリック医薬品合計は新製品(6月に2品目の新発売を予定)も寄与して同8.3%増の118億円としている。
5月12日に自己株式の取得と消却を発表した。自己株式取得に関しては取得株式総数の上限180万株、取得価額総額の上限35億円、取得期間14年5月13日~12月29日、自己株式消却は消却株式総数500万株、消却予定日14年5月30日としている。
株価の動きを見ると、1月の戻り高値圏1700円台から一旦反落し、概ね1500円~1600円近辺でモミ合う展開だったが、4月中旬に動意付いて急伸し、5月13日には1887円を付けて13年5月高値1883円を突破した。5月12日に発表した自己株式の取得と消却も好感したようだ。さらに5月15日には1947円まで上値を伸ばしている。
5月16日の終値1902円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円63銭で算出)は15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間54円で算出)は2.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS805円89銭で算出)は2.4倍近辺である。急伸したため目先的には過熱感もあるが、日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。過熱感を冷ますための自律調整を挟みながら上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
科研製薬の株価は4月中旬に動意付いて急伸し、13年5月高値を突破した。急伸したため目先的には過熱感もあるが強基調の形だろう。
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2014-05-19 17:00