西鉄、「変革」の中期経営計画が進展、新農業事業にも発芽の兆し

 西日本鉄道 <9031> は2014年5月19日、東京・日本橋で「2014年度 事業計画」の発表会を開催した。同社代表取締役社長の倉富純男氏は、「2014年度は、第13次中期経営計画(2013年-2015年度)の2年目の年。2008年に策定した“将来ビジョン2018”の折り返し点にあたる。種を蒔いて、芽吹かせるタイミングにあたる」と語った。そして、「種が芽吹き始めた事例」の一つとして、同社が取り組んでいる「農業イノベーション」の進捗状況について説明した。(写真は、2014年度事業計画について説明する西日本鉄道の社長、倉富純男氏。サーチナ撮影)  同社は、「第13次中期経営計画 グループビジョン」として、「グループ総合力の発揮による成長への挑戦」を掲げている。80社1学校法人を擁するグループ力を活かし、新しい市場開拓に努め、沿線の価値向上、地域の活性化に取り組んでいる。  倉富氏は、新たな収益源の開拓に向けた取り組みの一つとして、国際物流ビジネスの拡大を掲げ、「2013年度末で24カ国、92拠点の海外拠点を、2015年度末には31カ国、116拠点に広げる」と目標を置く。  西鉄グループの地盤である福岡県は、「アジアの玄関口」として、2013年の外国人入国者数が約88万人と過去最高を更新。また、2013年6月には福岡市を観光庁が「グローバルMICE戦略都市」に選定、2014年3月には福岡市が国家戦略特別区域に選定され、西鉄も2014年7月に社内組織としてインバウンド・MICE担当組織を設置してMICE誘致等に取り組んで、国際物流網との相乗効果の発揮をめざす。  また、福岡県におけるマンション事業の拡大、そして、天神エリアのプレゼンスアップに向けた様々な再開発案件にも積極的に取り組んでいくと語っている。  そして、新規事業のひとつとして取り組んでいる「農業」について、「縁線(えんせん)プロジェクト」として展開。地域の農産品の生産者(1次産業)と加工事業者(2次産業)、そして、西鉄の企画・販売力(3次産業)を結んで「西鉄の第6次産業に向けた挑戦」として取り組んでいる。「昨年に第1号商品を実現し、小さな一歩を踏み出したところだが、一歩ずつ小さなことを重ねていって、将来の大きな目標につなげたい」(倉富氏)と期待を寄せている。  2013年6月に限定発売した「あまおうプレミアム スパークリングワイン」が第1弾。地元のJA柳川と、久留米のワイナリー(巨峰ワイン)、そして、西鉄の販売ネットワークに乗せた販売で、2013年は500本の限定販売が完売。2014年は、2500本へと生産本数を拡大するとともに、関東圏でも店舗展開するスーパーマーケット成城石井にも販路を確保。さらに、香港現地で日本の食品・雑貨を販売する「西村珈琲室」を通じて香港にも輸出する。  倉富氏は、現在の「第6次産業」への取り組みの状況を、「流通のネットワークづくり、ノウハウづくりの段階だが、地域の活性化や、鉄道沿線やバス路線の賑わいにつなげていく息の長い取り組みとして1歩ずつ前進させ、地域とともに様々なことにチャレンジしていきたい」と語った。「縁線プロジェクト」は地元の特産品が“いきなり海外に販路を広げる”という特徴もあり、香港に続いて台湾、シンガポール、タイ、マレーシアなどの販路開拓も意欲的に取り組んでいる。2015年までに第2弾の新商品を発売する計画があるとした。(取材・編集担当:徳永浩)
西日本鉄道は2014年5月19日、東京・日本橋で「2014年度 事業計画」の発表会を開催した。(写真は、2014年度事業計画について説明する西日本鉄道の社長、倉富純男氏。サーチナ撮影)
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2014-05-19 19:00