【投資戦略2014】外為オンライン、ドル/円は112円をめざす

外為オンラインのシニアアナリスト、佐藤正和氏は、「日米の金融政策の方向性が大きく違うため、ドル高・円安の流れは2014年も継続する」と見通している。ただ、1ドル=108円の水準には相当のドル売り圧力があることから、1ドル=110円を突破してドルが値上がりするのは、日銀のもう一段の金融緩和を待って、年後半になるだろうとした。
――ドル/円の見通しは?
米国が2014年1月からテーパリング(量的金融緩和の縮小)に乗り出します。これは、米国の景気が順調に回復していることが確認されたからです。一方、日本は、4月の消費増税によって景気が冷え込むような場面があれば、もう一段の金融緩和が実施されるとみられています。
このように、日米の金融政策の方向性が大きく違うため、当面は、ドル高・円安の動きが続くと思います。ドルの高値メドは、1ドル=112円と見ています。
――ドルの高値の時期は?
11月ごろに112円まで上昇すると考えています。年初からドル高の基調は維持されると思いますが、1ドル=105円から108円には相当のドル売りもあるため、簡単には110円を突破することはないと思います。
4月の消費増税の影響を見極めて、日銀がもう一段の規制緩和に踏み切るのを待って、1ドル=100円を抜けて112円まで上昇するのは年後半になると思います。
そもそも2013年の年末に1ドル=104円台を付けたのは、11月の米雇用統計が予想を上回る雇用者増になったという発表を受けてからです。当時、1ドル=98円台だったものが、2カ月足らずで4円もドル高に振れました。これは、スピードが速すぎるので、一旦は、スピード調整をした上で、4月までに一度、ドルの高値を試す局面があると思います。
――ドル高の予想シナリオが崩れるリスクは?
アベノミクスへの失望が大きくなって日本株の株安が、円高・ドル安の引き金になるリスクはあると思います。また、チャイナリスクも忘れてはなりません。尖閣諸島問題を巡って日中の緊張は続いています。実際に一触即発といった事態になれば、さすがに日本株も崩れるでしょうし、円高が進行するでしょう。このようなリスクは大きくはないと思いますが、意識しておくことが大事です。
一方、米国では、2014年2月からイエレン氏がFRBの議長に就きます。イエレン氏は、いわゆる“ハト派”ですが、今回のFOMCの金融政策について投票権を持つメンバーは、“タカ派”が増えることになりました。2013年12月のFOMCでは緩やかにテーパリングを行っていくことが決まりましたが、今後は“タカ派”の発言力によって、テーパリングが加速する懸念があります。
米国の金融政策は、政策金利を2015年まではゼロ金利水準に据え置くという決定がありますが、FOMCが“タカ派”の勢力が増しているということがアナウンスされると、長期金利が上昇し、思わぬ円安・ドル高になるリスクがあります。FOMCメンバーの発言は、注意深くウォッチしていく必要があります。
――ドル/円以外で、2014年に注目している通貨ペアは?
基本的には、円安の1年になると思いますので、クロス円には、どれもチャンスがあると思いますが、その中でピックアップするとすれば、豪ドル/円に妙味があると思います。
豪ドルについては、オーストラリア中央銀行が「不快なほど、豪ドルが高い」と盛んにけん制しますので、なかなか上値が重いのですが、2014年が米国景気の拡大が牽引する世界経済の回復期と見るのであれば、中国経済も息を吹き返し、豪州へも好影響を与えるでしょう。年後半には、1豪ドル=100円をめざす展開が期待されます。
また、好調な英国経済に牽引されてポンド/円も、一段高へ進みそうです。2013年の後半に値上がりして1ポンド=171円という高値水準に来てしまっているので、手を出しにくいところではありますが、今後、下がるところがあれば狙ってみたい通貨です。年後半には1ポンド=190円台が期待できると思います。
外為オンラインのシニアアナリスト、佐藤正和氏は、「日米の金融政策の方向性が大きく違うため、ドル高・円安の流れは2014年も継続する」と見通している。ただ、1ドル=110円を突破してドルが値上がりするのは、日銀のもう一段の金融緩和を待って、年後半になるだろうとした。(写真は、佐藤正和氏。サーチナ撮影)
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2013-12-25 15:30