三洋貿易は過熱感解消、好業績や割安感を評価して上値追い
ゴム・化学関連商品などの専門商社である三洋貿易 <3176> の株価は、高値更新後の上げ一服局面だが目先的な過熱感が解消した。14年9月期の大幅増収増益見通し、2回目の増額修正余地、指標面の割安感を評価して上値追いの展開だろう。
12年10月東証2部市場に新規上場し、13年10月東証1部市場に指定替えとなった。ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に事業展開する専門商社である。メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面では実質無借金経営であることも特徴だ。海外は米国、タイ、中国(上海、香港)、インド、ベトナムなどに展開し、13年10月にはメキシコにも現地法人を設立した。
主力の自動車関連向けは、各種合成ゴム・添加剤に加えて、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサーなど)といった高付加価値の特殊な部品を主力としていることが特徴だ。また飼料・エネルギー・リサイクル関連では、飼料や固定燃料などを製造するペレットミルが高シェアだ。
中期の目標数値として15年9月期売上高610億円、営業利益30億円を掲げ、成長戦略としては自動車関連商材を中心としたグローバル展開、医薬・医療・バイオなどの生活関連分野、木質バイオマス発電や太陽光発電素材などの環境関連分野、地熱・海洋資源開発などの資源エネルギー関連分野への事業展開を強化する。国内子会社のコスモス商事は地熱・海洋資源開発関連分野で掘削用機材の輸入販売・レンタルを手掛けている。
5月9日に発表した今期(14年9月期)第2四半期累計(10月~3月)の連結業績(4月22日に増額修正)は、売上高が前年同期比19.6%増の299億72百万円となり、営業利益が同51.3%増の17億61百万円、経常利益が同39.9%増の19億28百万円、そして純利益が同47.3%増の11億09百万円だった。ゴム関連商材、自動車用部品、各種分析機器、資源関連掘削機械などが好調に推移し、販管費抑制効果なども寄与して期初計画を上回った。
セグメント別に見るとゴム・化学品は売上高が同8.6%増の123億19百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同2.1%増の5億63百万円だった。自動車関連の合成ゴム、塗料・インキ用の添加剤などが好調だった。機械資材は売上高が同40.8%増の83億26百万円、営業利益が同47.4%増の8億56百万円だった。自動車用各種部品、公的研究機関向け各種分析・試験機器、飼料用ペレットミルなどが好調だった。
海外現地法人は売上高が同41.7%増の59億77百万円、営業利益が同47.5%増の1億72百万円だった。米国、上海、タイでゴム関連商品を中心に堅調だった。国内子会社は売上高が同7.4%減の32億28百万円、営業利益が同2.5倍の3億36百万円だった。液晶・半導体関連がやや低調だったが、コスモス商事の掘削用機材販売・レンタルが大幅に増加した。
通期の見通しも4月22日に増額修正して、売上高が前期比11.6%増の570億円、営業利益が同22.9%増の30億円、経常利益が同15.4%増の32億円、純利益が同22.0%増の18億円としている。国内外で自動車関連の合成ゴムやシート用部品の好調が牽引し、販管費の抑制、営業外収益での受取配当金や為替差益の増加、営業外費用での株式公開関連費用の一巡も寄与する。中期の利益目標数値である15年9月期営業利益30億円を1期前倒しで達成の見込みだ。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.6%、営業利益が58.7%、経常利益が60.3%、純利益が61.6%である。資材・機材の設備投資関連商材は、3月期決算企業の期末にあたる第2四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造だが、これを考慮しても高水準であり通期2回目の増額修正の余地があるだろう。
株価の動きを見ると、4月11日直近安値892円から切り返し、4月22日の増額修正も好感して動意付く形となった。4月24日には1010円を付けて1月高値1000円を突破し、5月9日の上場来高値1088円まで上値を伸ばした。その後は利益確定売りなどで上げ一服となり、5月19日には地合い悪化も影響して1011円まで反落する場面があったが、自律調整の範囲だろう。
5月19日の終値1013円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS125円07銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は3.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1027円32銭で算出)は1.0倍近辺である。日足チャートで見ると5月19日の反落で目先的な過熱感が解消した。また週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。指標面には割安感があり、好業績を評価して上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ゴム・化学関連商品などの専門商社である三洋貿易<3176>(東1)の株価は、高値更新後の上げ一服局面だが目先的な過熱感が解消した。
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2014-05-20 09:00