星光PMCは売られ過ぎ感強めて反発のタイミング
製紙用薬品の星光PMC <4963> の株価は、急騰した3月高値から反落して水準を切り下げた。セルロースナノファイバーを材料視した動きが一巡したようだ。ただし足元では売られ過ぎ感も強めており、反発のタイミングが接近しているようだ。14年12月期が実質増収営業増益見通しであることも支援材料だろう。
DIC <4631> の子会社で製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業を展開している。高付加価値・差別化商品の市場投入・拡販、セルロースナノファイバー(CNF)や導電性ナノ材料(銀ナノワイヤ)など、成長市場・新分野開拓の戦略を推進している。さらに事業領域拡大に向けて14年4月には、興人フィルム&ケミカルズの化成品事業を承継したKJケミカルズを子会社化した。
CNFは自動車用樹脂の強度・寸法安定性向上や金属部材置換、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待され、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のCNF開発プロジェクトの中核企業として早期事業化を目指している。13年2月には経済産業省イノベーション拠点立地推進事業に採択され、補助金を活用して竜ヶ崎工場にパイロットプラントを設置した。14年度からサンプル供給を開始する予定だ。
なお決算期変更に伴い、前々期(13年3月期)は12年4月~13年3月の12ヶ月決算、前期(13年12月期)は13年4月~13年12月の9ヶ月決算、今期(14年12月期)は14年1月~12月の12ヶ月決算となっている。
5月14日に発表した今期(14年12月期)第1四半期(14年1月~3月)の連結業績は、売上高が53億36百万円、営業利益が1億40百万円、経常利益が1億39百万円、純利益が47百万円だった。前年同一期間(13年1月~3月)との比較で見ると、高付加価値・差別化商品投入の効果などで売上高は5.9%増収だったが、ロジンをはじめとする原料価格高騰の影響で営業利益は42.7%減益、経常利益は60.4%減益、純利益は78.3%減益だった。
セグメント別に見ると、製紙用薬品事業は売上高が前年同一期間比5.1%増の37億07百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同28.3%減の1億82百万円、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業は売上高が同7.8%増の16億29百万円、営業利益が同25.7%減の36百万円だった。
通期の見通しは前回予想(2月12日公表)を据え置いて売上高が261億60百万円、営業利益が11億円、経常利益が11億80百万円、純利益が7億30百万円としている。前年同期間(13年1月~12月)との比較で見ると売上高は21.7%増収、営業利益は19.2%増益、経常利益は8.1%減益、純利益は14.8%減益となる。
為替差益一巡や税金費用正常化で経常減益、最終減益の見込みだが、需要回復、高付加価値・差別化商品の拡販、プロダクトミックスの改善、事業領域の拡大、海外事業の収益改善などの効果で増収を見込み、ロジンなど原材料価格上昇を吸収して営業増益の見込みだ。第1四半期は前年同一期間との比較で大幅減益だったが、概ね計画水準としている。
なお、新規連結のKJケミカルズの業績見込みを織り込んでいるが、負ののれん発生が予想される特別利益は、現時点で金額算定が困難なため織り込んでいないとしている。通期純利益の上振れ要因だろう。
中期経営目標としては、18年12月期の連結売上高350億円(製紙用薬品事業200億円、樹脂事業150億円)、連結営業利益35億円、売上高営業利益率10%、海外事業売上高比率20%、新規事業領域売上高比率10%を掲げている。
株価の動きを見ると、次世代素材のCNFを材料視して急騰した3月の高値1978円から利益確定売りで反落し、CNFを材料視した動きが一巡する形で水準を切り下げている。足元では5月19日に1008円まで調整する場面があった。
5月19日の終値1011円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS24円07銭で算出)は42倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS663円98銭で算出)は1.5倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が14~15%程度まで拡大し、目先的には売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると26週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
製紙用薬品の星光PMC<4963>(東1)の株価は、急騰した3月高値から反落して水準を切り下げた。セルロースナノファイバーを材料視した動きが一巡したようだ。
economic
2014-05-20 09:00