アルコニックスは15年3月期営業増益・増配見通しで強基調に転換

  非鉄金属専門商社のアルコニックス <3036> の株価は5月9日の直近安値から反発し、5月16日発表の今期(15年3月期)営業増益・増配見通しも好感して出直りの動きを強めている。指標面の割安感も強く、強基調に転換して1月高値を目指す展開だろう。   軽金属・銅製品(伸銅品、銅管、アルミフィンなど)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う専門商社で、特にレアメタル・レアアースに強みを持っている。   M&A戦略で13年1月に金属・化成品メーカーの米ユニバーティカル社、13年3月にアルミスクラップ販売の大阪アルミセンター、13年4月に産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化した。さらに14年4月には、住宅建設関連資材の設計・製造・販売を手掛けるケイ・マックに追加出資して持分法適用関連会社とした。   5月16日に発表した前期(14年3月期)連結業績(13年10月22日に売上高と営業利益を減額、経常利益を据え置き、純利益を増額)は、売上高が前々期比11.5%増の1837億49百万円、営業利益が同6.0%増の34億84百万円、経常利益が同24.5%増の36億円、純利益が同2.2倍の31億44百万円だった。自動車関連などの好調や新規連結に加えて、負ののれん発生益も寄与して、売上高・各利益とも前回予想を上回った。配当予想は同5円増配の年間65円(第2四半期末30円、期末35円)とした。   セグメント別の動向を見ると、軽金属・銅製品事業は売上高が同20.9%増の760億78百万円、経常利益(調整前)が同2.2倍の16億32百万円だった。自動車・空調・住宅建材関連が好調に推移して、大羽精研の新規連結も寄与した。電子・機能材事業は売上高が同2.2%減の690億96百万円、経常利益が同13.3%減の16億54百万円だった。太陽光発電関連やスマートフォン・タブレット端末関連が好調で、米ユニバーティカル社の通期連結も寄与したが、レアメタル・レアアースの市況低迷が影響した。   非鉄原料事業は売上高が同29.4%増の334億06百万円、経常利益が同6.1%減の91百万円だった。輸入アルミ合金塊などの好調で大幅増収だったが、輸入価格高止まりや競争激化などで減益だった。建設・産業資材事業は売上高が同9.6%増の130億54百万円、経常利益が同36.3%増の2億02百万円だった。高水準の住宅投資や公共投資を背景に国内の建設産業資材・配管機材などが好調だった。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは、売上高が前期比12.1%増の2060億円、営業利益が同3.3%増の36億円、経常利益が同16.7%増の42億円、純利益が同7.8%減の29億円としている。配当予想は同5円増配の年間70円(第2四半期末35円、期末35円)とした。   純利益は負ののれん発生益の一巡で減益見込みだが、自動車関連の好調が牽引して増収、営業増益、経常増益見込みだ。自動車関連を中心に輸出取引や海外取引が増加基調であり、レアメタル・レアアースの需要・市況もハイブリッド自動車の生産台数増加などで回復に向かう見込みだ。さらに営業外収益ではケイ・マックの持分利益が寄与する。好業績が期待されるだろう。   5月16日に新中期経営計画(15年3月期~17年3月期)を発表した。目標値として17年3月期の経常利益50億円超、純利益35億円超、ROE13~15%程度、NETDER1.0~1.3倍程度、そして3年間の投資総額150億円を掲げている。重点戦略としては、川上・川中・川下の各分野でのM&A推進および新規事業投資案件の発掘、レアメタル・電子・機能材分野および環境問題に対応したリサイクル分野の強化、アルミ・銅分野の拡大、三国間取引拡大に向けた商社機能の発揮などに取り組む方針だ。   株価の動きを見ると、1月高値2424円から反落後は全般地合い悪化も影響して水準を切り下げ、4月14日に1961円、5月9日に1960円まで調整する場面があった。しかし5月9日の直近安値から反発した。さらに5月16日発表の今期営業増益見通しと増配見通しも好感して出直りの動きを強めている。5月19日には2209円まで上値を伸ばす場面があった。   5月20日の終値2174円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS456円07銭で算出)は4~5倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は3.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS3276円42銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、さらに26週移動平均線も突破の動きを強めている。強基調に転換して1月高値2424円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
非鉄金属専門商社のアルコニックス<3036>(東1)の株価は5月9日の直近安値から反発し、5月16日発表の今期(15年3月期)営業増益・増配見通しも好感して出直りの動きを強めている。
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2014-05-21 09:15