【為替本日の注目点】株安に伴いドル安進行、短期的にはドルの下落傾向が鮮明に

 NY市場  上値の重いドル円はNY株式市場の大幅下落と金利低下を受け下落。一時101円19銭までドル安が進み、そこから前日と同じ様に反発したが101円30-35銭までの反発に留まり、101円台半ばには届かず。   ユーロドルも1.37を挟み一進一退。ECBが来月の政策委員会で行動を起こすとの観測も徐々に織り込み、下値も底堅い。ユーロ円は直近安値を更新し138円55銭近辺まで下落。   株式市場は3日振りに反落。目だった材料はなかったものの、小売企業の決算に失望した売り物が下落を牽引。ダウは前日比137ドル安で他の指標も大きく下げる。   債券相場は反発。株安やNY連銀総裁の発言などでリスク選好が後退。10年債利回りは2.51%台まで低下。   金は続伸し、原油は反落。   ドル/円 101.19 ~ 101.45  ユーロ/ドル 1.3688 ~ 1.3706  ユーロ/円 138.55 ~ 138.99  NYダウ -137.65 → 16,374.31ドル  GOLD +0.80  → 1,294.60ドル  WTI -0.17 → 102.44ドル  米10年国債 -0.030  → 2.514%  本日の注目イベント  日   4月貿易収支   日   日銀金融政策決定会合   日   黒田・日銀総裁記者会見   欧   ユーロ圏5月消費者信頼感(速報値)   英   英4月小売売上高   英   BOE議事録   米   FOMC議事録(4月29、30日分)   米   イエレン・FRB議長講演   米   ダドリー・NY連銀総裁講演   米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演   米   コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演   前日101円10銭までドル安が進んだ後、101円60銭近辺まで反発しましたが、昨日の海外市場では再び101円台前半まで下落し、ドル円は上値を徐々に切り下げる展開が続いています。市場のセンチメントは「ここまで来たら、一度は101円割れを試したい」といった雰囲気が漂っているように感じられます。そして、101円台前半で取引が開始される見通しの今日の東京市場で、株安に伴いドルがどこまで下値を切って来るのかが注目されます。  前日101円10銭まで下落した後の戻りは「1時間足」のチャートを見ると、見事に一目均衡表の「雲」に上昇が抑えられているのが確認できます。ローソク足の上に雲が覆いかぶさるような格好で反発を押さえていますが、移動平均線の並びにも変化が現れ始めました。  私が好んで使う「52日」「120日」と、「200日」の移動平均線で、最も長期の「200日線」が一番上に位置し、その下に「120日線」と、さらに下に「52日線」が並び、上から長い順に並んで来ました。これは現在の相場が過去の安値を割り込んできたという意味で、下落傾向を表します。「日足」では依然として「200日線」が一番下に位置していますが、短期的にはドルの下落傾向が鮮明になってきたと見られます。  ドル円を取り巻く環境を考えれば、ある意味自然の成り行きとも言えそうです。日本株の低迷でリスクオフが進み、米長期金利の低下傾向がそれに拍車をかけ、ウクライナ情勢が米金利低下を促しています。さらに国内では日銀による追加緩和観測が急速に後退しており、足元の経済指標からは「追加緩和そのものがなくなった」という見方も増えて来ました。また、米国でもQE終了後の利上げも2015年後半から2016年に後ずさりした感もあります。  FOMCで投票権を持つ、NY連銀のダドリー総裁は昨日、金融当局はいずれ利上げに踏み切るが、そのペースは「比較的緩やかになるだろう」と述べ、景気動向や金融市場の反応に左右されるとの見方を示しました。これらは全て、昨年末から今年にかけて想定したシナリオが逆回転して来たことになります。もっとも、それでもドル円が101円台で推移していることは驚きかもしれません。相当な粘り腰を見せていると言えます。  本日は日銀決定会合があり、その後15時半から黒田総裁の記者会見が予定されています。追加緩和を匂わす発言はないというのが市場の見方ですが、101円台前半にいるドル円と、1万4000円を割り込むと予想される株価を考えると、可能性は低いとは思いますが、これまでとは違った発言があるかもしれません。黒田総裁は先週の講演で「追加緩和の手段はたくさんある」と発言しています。本日の予想レンジはやや下値を意識して100円70銭~101円80銭程度にしたいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
上値の重いドル円はNY株式市場の大幅下落と金利低下を受け下落。一時101円19銭までドル安が進み、そこから前日と同じ様に反発したが101円30-35銭までの反発に留まり、101円台半ばには届かず。 
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2014-05-21 09:30