日本エム・ディ・エムは売られ過ぎ感、収益改善基調を評価して反発
医療機器商社の日本エム・ディ・エム <7600> の株価は、全般地合い悪化が影響して上値が重く、さらに足元ではボックスレンジ下放れの形となった。ただし売られ過ぎ感を強めている。収益改善基調を評価して反発のタイミングだろう。
人工関節製品、脊椎固定器具、骨接合材料など整形外科分野を主力とする医療機器商社である。ジョンソン・エンド・ジョンソンとの販売契約が13年3月期に終了した影響で一時的に収益が悪化したが、米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品の拡販と、それに伴う自社製品比率上昇による売上総利益拡大で収益改善基調だ。
13年11月には米ODEV社製の人工膝関節新製品「BKS-Momentum」および「E-Vitalize」が米国食品医薬品局(FDA)薬事承認を取得し、14年1月から米国で販売を開始した。日本では14年5月から人工膝関節新製品「BKSオフセットティビアルトレイ」の販売を開始する。米ODEV社製の人工膝関節製品は中国でも薬事承認を取得している。高齢化社会到来を背景として中期的に収益拡大が期待される。
4月30日に発表した前期(14年3月期)連結業績は、売上高が前々期比16.3%増の94億59百万円、営業利益が6億61百万円(前々期は1億52百万円の赤字)、経常利益が4億75百万円(同3億95百万円の赤字)、純利益が2億86百万円(同3億97百万円の赤字)だった。ジョンソン・エンド・ジョンソンとの販売契約終了の影響が一巡し、自社製品比率の上昇などで売上高・各利益とも期初計画を超過達成した。配当予想は前々期と同額の年間5円(期末一括)とした。
主要品目の売上高を見ると、日本国内販売は同6.3%増の66億73百万円(骨接合材料が同1.2%減の23億49百万円、人工関節が同12.3%増の31億75百万円、脊椎固定器具が同29.3%増の5億57百万円、その他が同8.1%減の5億90百万円)、米国販売は同50.2%増の27億85百万円(人工関節が同55.5%増の25億63百万円、脊椎固定器具が同7.1%増の2億20百万円、その他が1百万円)となった。
米ODEV社製の人工股間接製品「オベーションヒップシステム」、脊椎固定器具「Vusion OS インターボディ Cage」、当社と米ODEV社が共同開発した骨接合材料製品「MODE」、当期から販売開始した「MDMプリマヒップスクリューシステム」などの販売が好調に推移した。自社製品比率は74.4%となって同13.7ポイント上昇し、売上原価率は29.4%となって同5.5ポイント低下した。
今期(15年3月期)連結業績見通しについては売上高が前期比11.0%増の105億円、営業利益が同39.1%増の9億20百万円、経常利益が同47.1%増の7億円、純利益が同39.5%増の4億円、配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。米ODEV社製品の日本と米国での販売好調、自社製品比率上昇による売上総利益拡大などで大幅増収増益見込みだ。なお自社製品比率の計画は同6.5ポイント上昇の80.9%で、想定為替レートは1米ドル=102円としている。
株価の動きを見ると、2月以降は概ね280円~300円近辺の小幅レンジでボックス展開だったが、5月21日に258円まで下押す場面があり、ボックス下放れの形となった。今期大幅増益見通しに対する反応も限定的だった。個別の悪材料は見当たらず、全般地合い悪化が影響しているようだ。ただし収益改善基調を評価すれば売られ過ぎ感を強めている。
5月21日の終値262円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS15円12銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS417円65銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んで下押しの形となり、13年9月安値圏に接近した。一旦は反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器商社の日本エム・ディ・エム<7600>(東1)の株価は、全般地合い悪化が影響して上値が重く、さらに足元ではボックスレンジ下放れの形となった。
economic
2014-05-22 09:15