ゼリア新薬工業は今期増収増益見通しを評価して強基調へ転換

  医薬品メーカーのゼリア新薬工業 <4559> の株価は1月高値から反落して水準を切り下げたが、3月の直近安値圏から徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。今期(15年3月期)増収増益見通しや増額余地を評価して強基調へ転換の動きを強めそうだ。   消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品などのコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売した。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力として、コンビニエンスストア向け「ヘパリーゼW」(清涼飲料水)の売上が拡大している。   M&Aを活用してグローバル展開している。08年10月に基礎化粧品のイオナ、09年9月に「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月にコンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結するとともに、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。   新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。なお14年4月には、導入品で日本初の月経前症候群治療薬「プレフェミン」(要指導医薬品)に関して製造販売承認を取得した。   5月13日に発表した前期(14年3月期)連結業績(2月5日に3回目の増額修正)は、売上高が前々期比16.3%増の619億96百万円、営業利益が同47.3%増の67億90百万円、経常利益が同45.5%増の68億03百万円、純利益が同32.5%増の52億77百万円だった。医療用医薬品事業の「アサコール」やコンシューマーヘルスケア事業の「ヘパリーゼ群」の好調が牽引し、2月5日の3回目の増額修正値を上回った。   セグメント別売上高を見ると、医療用医薬品事業は同14.1%増の364億30百万円だった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プリマック」が競争激化でやや苦戦したが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での売上拡大が続いている。新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は13年6月に販売開始して、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。   コンシューマーヘルスケア事業は同19.9%増の253億89百万円だった。主力製品群の「ヘパリーゼ群」はテレビCM効果で認知度が一段と向上して売上を拡大した。さらに「コンドロイチン群」や「ウィズワン群」も順調のようだ。その他事業(不動産賃貸収入など)は同18.7%減の1億76百万円だった。   配当予想は年間29円(第2四半期末14円、期末15円)とした。13年10月1日付の株式分割(1株→1.1株)前ベースに換算すると年間30円50銭(第2四半期末14円、期末16円50銭)となり、前々期に比べて実質的に3円50銭の増配となる。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは、売上高が前期比11.3%増の690億円、営業利益が同9.0%増の74億円、経常利益が同8.8%増の74億円、純利益が同9.9%増の58億円としている。配当予想は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)とした。13年10月1日付の株式分割前ベースに換算すると年間33円(第2四半期末16円50銭、期末16円50銭)となり、前期に比べて実質的に2円50銭の増配となる。   「アサコール」や「ヘパリーゼ群」の好調が牽引し、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透、さらに原価率改善や経費効率的運用も寄与して、薬価改定の影響、ライセンス収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加などを吸収する。会社予想は保守的な印象が強く、通期増額の余地があるだろう。   株価の動き(13年10月1日付で1株を1.1株に分割)を見ると、1月高値3170円から反落し、自己株式処分・売出しや全般地合い悪化が影響して3月の直近安値1969円まで調整した。ただし3月の直近安値後は徐々に下値切り上げの動きを強めている。5月中旬には2200円台まで戻す場面もあった。調整が一巡したようだ。   5月21日の終値2154円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円19銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.9倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から反発した、サポートラインを確認した形であり、13週移動平均線を突破して強基調へ転換の動きを強めそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医薬品メーカーのゼリア新薬工業<4559>(東1)の株価は1月高値から反落して水準を切り下げたが、3月の直近安値圏から徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。
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2014-05-22 09:15