テクマトリックスはレンジ下限から反発のタイミング

　　情報サービスのテクマトリックス <3762> の株価は、１月の戻り高値圏から反落後は上値が重く安値圏でのモミ合い展開だが、下値も固くモミ合い煮詰まり感を強めている。足元はレンジ下限から反発のタイミングだろう。きっかけ次第でモミ合い上放れとなりそうだ。 　　ネットワーク・セキュリティ関連のハードウェアを販売する情報基盤事業、医療・ＣＲＭ・ＥＣ・金融を重点分野としてシステム構築・クラウドサービスなどを提供するアプリケーション・サービス事業を展開している。 　　重点分野として、ストック型ビジネスの保守・運用・監視サービス関連の戦略的拡大、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、ネットワーク・セキュリティ関連商材・サービスの充実、ビッグデータ分析支援サービス、大規模ＥＣ事業者向けバックオフィスシステム構築ソリューション「楽楽ＥＣインテグレーションサービス」などを強化している。さらにグループ経営を強化して相乗効果の最大化を図るため、１４年３月に連結子会社のクロス・ヘッドを株式交換で完全子会社化した。 　　１４年２月には沖縄クロス・ヘッドが台湾のデータセンター事業者ｅＡＳＰＮｅｔと事業協力についての覚書を締結した。アジアでのデータセンター事業やクラウド事業の展開を目指す。１４年３月には日本コンピュウェアと販売パートナー契約、ラムダ・テクノロジーズとマレーシアにおける販売代理店契約を締結した。 　　５月９日に発表した前期（１４年３月期）の連結業績（７月３１日に純利益を増額）は、売上高が前々期比３．７％増の１７３億５３百万円、営業利益が同６．４％減の１１億１８百万円、経常利益が同０．７％減の１１億６４百万円、純利益が同２６．１％増の７億９３百万円だった。純利益は繰延税金資産追加計上などで増益だった。配当予想については４月２８日に増額修正を発表した。創業３０周年記念配当２円５０銭を実施して年間１５円（期末一括）とした。前々期との比較では１５年４月１日付の株式２００分割を考慮すると実質的に２円５０銭の増配となる。 　　セグメント別動向を見ると、情報基盤事業は売上高が同６．０％増の１１１億９５百万円、営業利益が同１３．９％減の８億７６百万円だった。負荷分散装置の販売は堅調だったが、円安に伴う海外ベンダーからの仕入金額増加、子会社クロス・ヘッドでの技術要員確保の苦戦、沖縄クロス･ヘッドでの利益率低下などで減益だった。 　　アプリケーション・サービス事業は売上高が同０．２％減の６１億５７百万円、営業利益が同３７．１％増の２億４２百万円だった。医療情報クラウドサービスの売上方法変更の影響で減収だったが、想定以上の採算改善で増益だった。インターネットサービス分野では受託開発案件の受注が計画を上回り、医療分野では医療情報クラウドサービスが順調に拡大した。ＣＲＭ分野も大手システム・インテグレーターとの業務提携によって案件数が増加した。 　　今期（１５年３月期）連結業績見通しについては、売上高が前期比５．５％増の１８３億円、営業利益が同３．７％増の１１億６０百万円、経常利益が同０．４％減の１１億６０百万円、そして純利益は繰延税金資産追加計上が一巡して同１１．７％減の７億円としている。配当予想は前期と同額の年間１５円（期末一括）とした。 　　セグメント別売上高の計画は、情報基盤事業が同９．０％増の１２２億円、アプリケーション・サービス事業が同０．９％減の６１億円としている。情報基盤事業ではサイバー攻撃に対応した負荷分散装置や次世代ファイアウォール製品、アプリケーション・サービス事業では医療分野のクラウドサービスなどが好調に推移する見込みだ。受注拡大による増収効果で、ストック型ビジネスの戦略的拡大に向けた人件費増加などを吸収して営業増益見込みだ。 　　株価の動きを見ると、１月の戻り高値７４０円から２月安値の５３６円まで急反落した後は、安値圏の概ね５５０円～６００円近辺でモミ合う展開が続いている。上値の重い展開だが、一方では２月安値水準まで下押す動きも見られない。下値固めが完了しているようだ。足元はレンジ下限から反発のタイミングだろう。 　　５月２１日の終値５６２円を指標面で見ると、今期予想連結ＰＥＲ（会社予想の連結ＥＰＳ５８円５８銭で算出）は９～１０倍近辺、今期予想配当利回り（会社予想の年間１５円で算出）は２．７％近辺、前期実績ＰＢＲ（前期実績の連結ＢＰＳ５１３円０７銭で算出）は１．１倍近辺である。週足チャートで見ると２６週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値は固くモミ合い煮詰まり感も強めている。きっかけ次第でモミ合い上放れとなりそうだ。（情報提供：日本インタビュ新聞社＝Ｍｅｄｉａ－ＩＲ）