【為替本日の注目点】NY株高ドル買い先行、ドル円反発も戻り売りムード強い
NY市場
ドル円は日銀総裁の記者会見をきっかけにドル安が進み、節目の101円をあっさり突破。その後も円買いの勢いは止まらず、一時100円81銭まで下落。NY市場では株価の大幅高と長期金利上昇からドルの買い戻しが活発となり101円台を回復し、同半ばで取引を終える。
ユーロドルは1.37台前半からドルが買い戻されたことで下落。一時は1.3635までユーロ安が進行。ユーロ円も138円15銭まで売られ、ECBによる追加緩和を織り込む動きが継続。
株式市場は大幅に反発し、前日の下落分を埋める。ティファニーなど小売関連株が買われダウは158ドル高と、1万6533ドルまで上昇。
債券相場は反落。FOMC議事録で出口戦略の議論があったことや、株高などから債券価格は下落。長期金利は小幅に上昇し2.53%台に。
金は反落。原油価格は在庫が予想以上に減少していたことから買われ、約1ヶ月ぶりに104ドル台に乗せる。
ドル/円 101.02 ~ 101.63
ユーロ/ドル 1.3635 ~ 1.3688
ユーロ/円 138.15 ~ 138.84
NYダウ +158.75 → 16,533.06ドル
GOLD -6.50 → 1,288.10ドル
WTI +1.68 → 104.07ドル
米10年国債 +0.020 → 2.534%
本日の注目イベント
中 中国 5月HSBC製造業PMI(速報値)
独 独5月製造業PMI(速報値)
独 独5月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏5月製造業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏5月サービス業PMI(速報値)
英 英1-3月期GDP(改定値)
米 新規失業保険申請件数
米 4月中古住宅販売件数
米 4月景気先行指標総合指数
米 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演
加 カナダ3月小売売上高
黒田日銀総裁が決定会合後の記者会見でコメントするたびにドル円が急落する流れが定着しており、まさに「物言えば唇寒し・・・」といった状況になっています。午後3時半から始まった記者会見の席で、総裁は改めて景気回復に自信を示すと、ドル円は101円18銭近辺から急落し、あっさり101円の壁を突破。その後も総裁の口からは想定内の言葉が出てきたにもかかわらず、ドル売り勢いは止まらず、欧州時間には100円81銭までドル売りが進み、今年2月3日以来の円高水準を記録しました。
市場ではNYでもう一段のドル安が進み、100円突破もあるのではないかとの見方も出て来ましたが、株価が大幅に反発したことや、米長期金利が上昇し、ややリスクオンの流れが強まったことでドルが買い戻され101円台半ばまで反発して引けています。昨日の動きで、これまでのサポートであった101円20-30銭を明確に下抜けし、「日足」の重要な200日線も一時は下回りましたが、引け値で同移動平均線を上回ったことで、結局今のところはこの移動平均線で下落を止められた格好になっています。
また、水準的にも2月3日に記録した100円78線を下抜けすることはできず、この値位置がますます重要な水準になってきました。ドル円は一旦は下げ止まったことになりましたが、このまま底値を確認し反発するとも思えません。まだしばらくはドル下落のバイアスが強く、材料次第では再度上記100円80銭前後を試すことになろうかと思います。
今年に入ってドル円は上値を徐々に切り下げてきており、昨日はついに3ヶ月半ぶりの100円台後半までのドル安が見られました。多くの専門家は私も含め、依然として年末にかけては「ドル高円安」が進むとのシナリオを維持しています。個人的にもそのシナリオを変えてはいませんが、仮に今後100円を割り込むような状況になると、さすがにドル高シナリオの変更を余儀なくされます。100円を明確に割り込むと、多くの市場参加者が同様な事態に追い込まれ、ドル安に勢いがつきオーバーシュートすることも想定されます。100円の大台はそれほど意味のある水準だということです。
一方で、昨日のように突っ込みすぎのドル売りにも結構なリスクを伴なうことも確認されました。101円割れでのドルショートは「100円を割り込む」といった確かな執念でもないと維持できません。それでもドルショートが機能する場面も多くあることから、ここは小刻みに利益を確保していくか、あるいは、資金的に十分余裕があるのであれば、長期的な戦略としてドルを買い下がる方法も考えられます。米政策金利の引き上げタイミングが予想より遅れるとの見方がドル安につながっていますが、日米欧の中で最初に金融引き締めに動くのは「FRB」であることは不動です。
本日はNY株高を受け、日経平均株価も上昇が予想されます。昨日のNYではドルが101円63銭まで反発する場面もありました。ドル買いが先行したとしても、一旦はこの水準が意識されます。東京時間で101円50銭以上が維持されれば、昨日の100円81銭が目先の底値になることも考えられますが、まだドルの戻りを売りたいとするムードが強いと思われます。予想レンジは100円90銭~101円80銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は日銀総裁の記者会見をきっかけにドル安が進み、節目の101円をあっさり突破。その後も円買いの勢いは止まらず、一時100円81銭まで下落。NY市場では株価の大幅高と長期金利上昇からドルの買い戻しが活発となり101円台を回復し、同半ばで取引を終える。
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2014-05-22 09:45