テンプHD、新中計で「心価」を磨き、利用・雇用者数No.1に
テンプホールディングス <2181> は2017年3月期までの3カ年計画で、売上高5000億円(2014年3月期実績は3624億円)、営業利益率6.0%(同5.1%)をめざす。2014年5月21日にアナリストらを対象とした2014年3月期決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の水田正道氏は「派遣法改正など人材サービス業界を取り巻く環境の変化に対応し、“社会的なインフラとしての人材サービス企業”へと脱皮を図り、利益を伴った規模拡大につなげたい」と中期経営計画の方針を語った。
非正規雇用労働者が増加する一方で、派遣法改正によって人材派遣市場は新しいルールに合わせた迅速な企業変化を求められ続けてきた。現在、審議が進んでいる改正派遣法によると、2015年から「同一人物の3年を超える派遣の受け入れの禁止」「同一人物でなければ派遣期間を無制限に変更」などの新たな制度が設けられる見通しだ。この変化について水田氏は、「雇用リスクを人材サービス会社が負担していかなければならない。業界内M&Aは一層激しくなるだろう」と見通している。
テンプホールディングスは、2013年4月にアルバイト・パート情報の「an」や転職サービス「DODA」を展開するインテリジェンスホールディングスを買収。2014年3月期の大幅な増収益(売上高46.6%増、営業利益89.2%増)につなげた。
一方、人材サービス業界ではリクルートホールディングスが上場準備を進めているといわれている。リクルートグループとは、「人材派遣マーケットでは四つに組んで競合している」(水田氏)他、アルバイト・パート分野や転職分野ではリクルートの規模がテンプグループに勝るという競合大手だ。「人材サービス業は現在、旺盛な需要があり、新規登録の拡大が喫緊の課題」と意識される中で、新規上場というイベントでリクルートグループへの注目度が増すことを警戒する。
水田氏は、今後の成長戦略として「雇用者数の拡大に向けたフレンドリーで親身になった対応など“心価”を発揮する企業体にしていく。利用者数、雇用者数でナンバーワンをめざす」と語る。インテリジェンスとの合併によって、グループとして仕事情報量が大幅に増加したことによる相乗効果を引き出し、そして、インテリジェンスブランドの有効活用など、グループ連携も一段と強化する。
また、新中計のスタートに合わせ、従来の5つだったセグメントを7つに再編。「人材派遣・人材紹介事業」を「派遣」と呼称。「IT&エンジニアリング事業」と「アウトソーシング事業」の2つの分野を、「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」と「ITO(ITアウトソーシング)」、「エンジニアリング」の3セグメントに再編。旧インテリジェンスグループだった「メディア・キャリア関連事業」を「メディア」と「キャリア」に区分した。そして、「その他の事業」としてきた分野について「NED(ニュー・エンプロイメント・デベロップメント:新たな雇用開発)」とセグメント化した。(取材・編集担当:徳永浩)
テンプホールディングス は2017年3月期までの3カ年計画で、売上高5000億円(2014年3月期実績は3624億円)、営業利益率6.0%(同5.1%)をめざす。
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2014-05-22 15:15