中国高速鉄道、我が国は「圧倒的に劣勢」・・・海外進出3つの「関門」を指摘=中国メディア

 中国メディアの企業観察報はこのほど、上海同済大学鉄道城市軌道交通研究院の孫章教授の発言などを引用し、「相手国政府への渉外能力、コスト以外の優位性、知的財産権に対する疑問」という3点が中国高速鉄道の海外進出に向けた「関門」となっていると論じた。  記事が指摘した関門の1つ目は相手国政府への渉外能力だ。高速鉄道が国家にとって重要な交通インフラである以上、相手国政府に対する働きかけが大きな意味を持つ。記事は、その一例として、高速鉄道計画を進める米国に対し日本が行っている働きかけを挙げた。「米国への超電導リニア新幹線の売り込みを狙う日本は、米国の政界に影響力のある有力者を現地提携先の顧問に迎え、ホワイトハウスへの働きかけを積極的に行っている」と指摘した。  また、タイが中国の高速鉄道を導入した場合、その対価の一部を「コメ」などで決済するとしていることについて、記事はタイ高速鉄道プロジェクト関係者の話として、「中国の渉外能力の欠如を示す事例」と指摘した。  次に、2つ目の関門として記事が挙げたのはコスト以外の優位性だ。中国の高速鉄道の強みの1つとして、安価なコストを挙げることができる。新幹線に比べ、中国高速鉄道の導入コストは約半分だ。だが、導入コストが安価であれば契約を勝ち取れるわけではなく、安全性なども大きな要素となる。  記事は「ドイツや日本、フランスなど、いずれの国も高速鉄道の導入初期はトラブルに見舞われたが、わが国の高速鉄道は一部の故障が外国メディアによって大きく取り上げられたため、海外進出における障害になっている」と主張。さらに、孫章教授の話として「中国高速鉄道が世界の市場でどれだけのシェアを獲得できるかは価格優位だけで決まるものではなく、安定性や技術性能などさまざまな要素が関わってくる」とし、「わが高速鉄道にも一定の強みはあるものの、圧倒的に劣勢だ」と伝えた。  さらに記事は3つ目の関門として「知的財産権に対する疑問に正確に対応すること」を挙げた。中国がドイツやフランスから高速鉄道の技術を導入しておきながら「自主開発」と主張して海外輸出に力を入れていることに「疑問の声が存在する」と指摘。さらに、海外の高速鉄道メーカーが「知的財産権に対する疑問」を原因として中国を牽制しているとし、中国が高速鉄道の輸出を狙う国々において知的財産権の申請を行っていると主張した。  また、米国の弁護士の調査の結果、中国高速鉄道CRH380A型が「完全なる自主開発であり、新幹線の技術を超えている」という評価を得たことなどを挙げ、記事は「わが高速鉄道の知的財産権に対する疑問はすでに払拭されている」と主張。一方で、「知的財産権がわが高速鉄道の海外進出に向けた制約となっていることは事実」として、知的財産権の有無や特許の数が入札の結果を左右する大きな要素だと論じた。(編集担当:村山健二)(写真は「CNSPHOTO」提供)
中国メディアの企業観察報はこのほど、上海同済大学鉄道城市軌道交通研究院の孫章教授の発言などを引用し、「相手国政府への渉外能力、コスト以外の優位性、知的財産権に対する疑問」という3点が中国高速鉄道の海外進出に向けた「関門」となっていると論じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)
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2014-05-23 15:00