サムコは調整一巡感、１４年７月期増収増益見通しを評価して出直り

　　半導体製造装置のサムコ <6387> の株価は、全般地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、足元では調整一巡感を強めてきた。今期（１４年７月期）増収増益見通しを評価して出直り展開だろう。 　半導体・電子部品業界向けに薄膜を形成するＣＶＤ（化学気相成長）装置、薄膜を微細加工するドライエッチング装置、基板表面をクリーニングするドライ洗浄装置などの製造・販売事業を展開し、次世代半導体材料である窒化ガリウム（ＧａＮ）や炭化ケイ素（ＳｉＣ）など化合物半導体製造用を主力製品としている。 　　研究開発については当社研究開発センター（京都本社）、オプトフィルムス研究所（米国シリコンバレー）、サムコケンブリッジラボラトリー（英国ケンブリッジ大学内）の日米欧３極体制を構築して、コアテクノロジーである「薄膜技術」をベースにＣＶＤ装置、エッチング装置、洗浄装置に次いで第４の柱となる新製品の開発を進めている。 　　１４年２月には、半導体精密洗浄装置製造・販売のリヒテンシュタイン公国ＵＣＰ社の株式９０％取得で合意（１４年４月末に株式譲渡契約締結予定）した。欧州市場での販売・サービス拠点とする。１４年３月には、ＭＯ－ＣＶＤ（有機金属気相成長）装置メーカーの米ＶＰＥ社と、同社製品の日本およびアジア地域での販売代理店契約を締結した。製品ラインナップの強化を図る。 　　５月１５日には、米国東海岸での販売拡大とサービス体制の充実に向けて、同地域の拠点をノースカロライナ州から、近年顧客が増加しているニューヨーク州アミティービルに移転したと発表している。１３年４月に西海岸のオプトフィルムス研究所を移転拡充しており、東海岸での研究開発・サービス体制の強化により、北米での売上高を将来的に１０億円程度に高める方針だ。 　　今期（１４年７月期）業績（非連結）見通し（９月１０日公表）は、売上高が前期比２０．２％増の５０億５０百万円、営業利益が同８２．６％増の６億２５百万円、経常利益が同９．０％増の６億１５百万円、純利益が同７．２％増の３億８０百万円としている。経常利益と純利益は営業外費用での株式上場費用計上などが影響して小幅増益にとどまるが、大幅増収、大幅営業増益の見込みだ。 　　国内の高輝度ＬＥＤ用途や海外の照明用ＬＥＤ用途など、オプトエレクトロニクス分野のＣＶＤ装置やエッチング装置の大型案件が牽引する。電子部品分野でもパワーデバイスやＭＥＭＳ（微小電気機械素子）用途が好調に推移している。第２四半期末（１４年１月末）の受注残高は前期末（１３年７月末）比２４．８％増の１２億５９百万円と高水準であり、中国ＬＥＤ市場の復調などで受注環境が好転している。営業強化策も奏功して好業績が期待される。 　　株価の動き（１３年７月２４日付でＪＡＳＤＡＱ市場から東証２部市場に市場変更、１４年１月９日付で東証２部市場から東証１部市場に指定替え）を見ると、４月上旬の戻り高値圏１４００円台から反落し、全般地合い悪化も影響して水準を切り下げた。５月２１日には１０２５円まで調整した。しかし５月２２日と５月２３日には１１００円台に切り返して調整一巡感を強めている。 　　５月２３日の終値１１３８円を指標面で見ると、今期予想ＰＥＲ（会社予想のＥＰＳ５４円０２銭で算出）は２１倍近辺、今期予想配当利回り（会社予想の年間１８円で算出）は１．６％近辺、実績ＰＢＲ（前期実績のＢＰＳ９７２円０２銭で算出）は１．２倍近辺である。週足チャートで見ると２６週移動平均線を割り込んだが、５２週移動平均線近辺から下ヒゲ陽線を付けて反発している。サポートラインを確認して出直り展開だろう。（情報提供：日本インタビュ新聞社＝Ｍｅｄｉａ－ＩＲ）