テラは21日安値で底打ちの可能性、中期成長力を評価して出直り
バイオベンチャーのテラ <2191> (JQS)の株価は軟調展開が続いたが、足元で下げ渋り感を強めている。5月21日の取引時間中に付けた直近安値で底打ちした可能性もあり、中期成長力を評価して出直りの動きを強めそうだ。
東京大学医科学研究所発のバイオベンチャーで、細胞医療事業(樹状細胞ワクチン「パクセル」を中心とした独自開発のがん治療技術を契約医療機関に提供)を主力に、医療支援事業(研究機関・医療機関から受託する細胞加工施設の運営・保守管理サービス、細胞培養関連装置の販売、治験支援サービス)、および医薬品事業(樹状細胞ワクチン「パクセル」の薬事承認取得に向けた開発活動)を展開している。
細胞医療事業は症例数に応じた収入が収益柱で、13年12月末時点で契約医療機関数は全国33カ所、契約医療機関における累計症例数は約7600症例に達している。14年1月に白山通りクリニック(東京都江東区)、14年3月に東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックと連携契約を締結して、契約医療機関数は全国35カ所となった。
成長戦略も加速している。13年4月iPS細胞による再生医療実用化を目指すヘリオスに出資、13年5月がん新薬を中心とした治験支援事業に参入するため子会社タイタンを設立、13年7月「免疫制御性樹状細胞の調整法およびその用途」に関する独占的実施権を取得、アンジェスMG <4563> と子宮頸がんの前がん病変治療ワクチンの共同研究・開発の基本契約を締結、13年10月北里研究所と共同で肝細胞がんに対する樹状細胞ワクチン療法の第Ⅰ相臨床試験を開始、13年12月iPS細胞を利用したがん免疫細胞療法の開発に向けてヘリオスと業務提携した。
14年1月、樹状細胞ワクチン「バクセル」の膵がんにおける再生医療等製品としての薬事承認取得を目指して子会社テラファーマを設立した。14年2月、がん患者の個別化医療実現のためのゲノム診断支援事業に向けて、ゲノム解析ソフトウェア開発のジナリスと合弁子会社ジェノサイファーを設立した。14年4月にはコージンバイオに5.6%出資して資本業務提携した。コージンバイオは組織培養用培地のパイオニアで、樹状細胞ワクチン「バクセル」の培養に用いる培地等の共同研究契約を締結している。資本業務提携で協業体制を一段と強化する。
なお5月12日には、テラファーマが経済産業省「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に採択されたと発表している。本事業採択により樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得に向けた取り組みを加速させる。
5月2日に発表した今期(14年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の3億28百万円、営業利益が1億06百万円の赤字(前年同期は28百万円の利益)、経常利益が1億23百万円の赤字(同27百万円の利益)、純利益が84百万円の赤字(同13百万円の利益)だった。
セグメント別に見ると、細胞医療事業は症例数が約300症例とやや伸び悩み売上高が同9.6%減の2億51百万円、研究開発費の増加などで営業利益が55百万円の赤字(前年同期は22百万円の利益)だった。医療支援事業は細胞培養関連装置の販売が順調で売上高が同2.3倍の1億61百万円だったが、子会社立ち上げに伴う販管費増加で営業利益は5百万円の赤字(同6百万円の利益)だった。医薬品事業では子会社テラファーマを設立して営業利益が38百万円の赤字だった。
通期の連結業績見通しは前回予想(2月7日公表)を据え置いて売上高が前期比35.7%増の20億90百万円、営業利益が1億35百万円の赤字(前期は23百万円の黒字)、経常利益が1億56百万円の赤字(同24百万円の赤字)、純利益が1億54百万円の赤字(同58百万円の赤字)としている。
樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得に向けた研究開発費増加などで営業損益が悪化する見込みだが、売上高は症例数増加や業容拡大などで増収見込みとしている。樹状細胞ワクチン「バクセル」薬事承認取得に向けた開発を加速させており、中期成長に対する期待感が高まる。
株価の動きを見ると、地合い悪化や今期営業損益の悪化見通しを嫌気して軟調展開が続いた。5月19日に終値で1000円台を割り込み、5月21日の取引時間中には978円まで下押す場面があった。しかし足元では下げ渋り感を強めている。5月21日は終値で前日比プラス圏に切り返し、5月23日には1160円まで急伸する場面があった。5月21日の取引時間中の直近安値978円で底打ちした可能性もあるだろう。
5月23日の終値は1118円だった。日足チャートで見ると25日移動平均線に接近している。新興市場全体がムード改善傾向を強めていることも支援材料であり、25日移動平均線を突破すれば中期成長力を評価して出直りの動きを強めそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
バイオベンチャーのテラ<2191>(JQS)の株価は軟調展開が続いたが、足元で下げ渋り感を強めている。5月21日の取引時間中に付けた直近安値で底打ちした可能性もあり、中期成長力を評価して出直りの動きを強めそうだ。
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2014-05-26 09:30