日本マニュファクチャリングは急騰の反動調整一巡
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス <2162> (JQS)の株価は、急騰した4月の戻り高値圏から反落したが、足元では急騰の反動調整に一巡感を強めている。2月~3月の安値圏で底打ちを確認しており、メーカー機能強化戦略や事業構造改革効果での収益改善を評価して、出直り展開に変化はないだろう。
製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開している。
事業戦略コンセプトとして「neo EMS」を掲げて、開発・設計といった製造業の上流プロセス分野を強化し、単なる製造アウトソーサーからキーテクノロジーを有して技術競争力も備えた企業グループへの変革を進めている。13年10月にTKRが日立メディアエレクトロニクスの電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受け、14年3月にはパナソニック <6752> の車載向け除く電源および関連部品事業(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス等)を譲り受ける基本合意書を締結した。電源関連事業を当社グループのキーテクノロジー分野とする戦略だ。
5月15日に発表した前期(14年3月期)連結業績(11月14日に売上高、営業利益、経常利益を減額、純利益を増額)は売上高が前々期比7.8%増の419億05百万円と増収だったが、営業利益は6億43百万円の赤字(前々期は3億87百万円の利益)、経常利益は1億75百万円の赤字(同5億64百万円の利益)だった。国内における生産減少や採算悪化、中国における受注環境悪化や人件費上昇などで、EMS事業を中心に収益が悪化した。
純利益は期末にTKRの固定資産減損損失を計上したが、TKRの株式追加取得に伴う負ののれん発生益が寄与して同2.8倍の6億48百万円だった。配当予想は14年1月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前々期と同額の年間3円(期末一括)とした。
セグメント別に見ると、IS事業は売上高が同6.0%増の101億06百万円、営業利益(連結消去前)が27百万円(前々期は77百万円の赤字)だった。国内での人員確保が難しくなり受注機会逸失も見られたが、中国での受注増加が寄与した。CS事業は新規大型案件の受注獲得に至らず、売上高が同41.8%減の13億89百万円、営業利益が48百万円の赤字(同1億18百万円の利益)だった。
GE事業は売上高が同6.5%減の5億71百万円、営業利益が7百万円の赤字(同25百万円の赤字)だった。EMS事業は売上高が同13.3%増の298億38百万円、営業利益が6億21百万円の赤字(同3億20百万円の利益)だった。国内の受託生産量減少、中国における日系メーカーの生産減少や人件費上昇などで志摩グループ、TKRグループの収益が悪化した。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは、売上高が前期比16.5%増の488億円、営業利益が4億90百万円(前期は6億43百万円の赤字)、経常利益が5億10百万円(同1億75百万円の赤字)の黒字化見込みで、純利益は負ののれん発生益一巡で同50.7%減の3億20百万円としている。配当予想は前期と同額の年間3円(期末一括)とした。
収益改善に向けた事業構造改革については、構造的課題のある拠点の統廃合(志摩グループとTKRグループの香港拠点およびEMS事業拠点の統廃合など)、国内事業拡大に向けてのビジネスモデル再構築(日立メディアエレクトロニクスから譲渡された水沢工場の活用、人材ビジネス領域の強化など)、中国におけるビジネスモデルの見直し(人材サービスの強化など)を推進する。事業構造改革の効果、日立メディアエレクトロニクスとパナソニックから譲り受けた電源および関連部品事業が寄与して収益改善が期待されるだろう。
株価の動き(14年1月1日付で株式100分割)を見ると、4月上旬に動意付いて安値圏300円~350円近辺のモミ合いから上放れの形となり、4月14日の515円まで急伸した。目先的な過熱感を強めたため利益確定売りなどで一旦反落したが、2月~3月の安値圏まで下押す動きは見られず、足元は350円近辺で下げ渋り感を強めている。急騰の反動調整が一巡した形だろう。
5月23日の終値368円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円30銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS451円79銭で算出)は0.8倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。従来の抵抗線が支持線に転化した形であり、強基調に転換して出直り展開となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の株価は、急騰した4月の戻り高値圏から反落したが、足元では急騰の反動調整に一巡感を強めている。
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2014-05-26 09:30