生化学工業は売り一巡して反発のタイミング
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業 <4548> の株価は、1月高値から反落して調整局面となり、足元では今期(15年3月期)の減収減益見通しを嫌気した売りが膨らんだが、売られ過ぎ感も強めている。売り一巡して反発のタイミングだろう。
国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景にアルツおよびジェル・ワンの需要拡大が期待される。
12年8月に当社が勝訴したジェル・ワン特許侵害訴訟に関しては、米ジェンザイム社が13年10月に提起した連邦巡回区控訴裁判所への控訴を取り下げたため、当社および米ジンマー社(米国におけるジェル・ワンの独占販売代理店)の勝訴が確定した。
09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞り、医療ニーズが高い新製品の上市を目指している。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の適応症追加SI-657、変形性膝関節症改善剤SI-613、ドライアイ治療剤SI-614、関節リウマチ治療剤SI-615などがある。
SI-6603については14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では実施中の第III相臨床試験の進捗に注力する。また5月7日には、ドライアイを適応症とする点眼剤SI-614の米国における第Ⅱ・Ⅲ相臨床試験を開始すると発表した。
5月13日に発表した前期(14年3月期)の連結業績(11月6日に増額修正)は売上高が前々期比11.2%増の296億14百万円、営業利益が同57.9%増の49億37百万円、経常利益が同36.6%増の58億78百万円、純利益が同45.7%増の47億45百万円だった。
米国向けや中国向けの数量増加、円安メリット、減価償却方法の変更、ジェル・ワン訴訟費用の減少、投資有価証券売却益などで、受取ロイヤリティーの減少や事業構造改革費用などを吸収して、大幅増収増益だった。配当予想は同1円増配の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。
事業別売上高を見ると医薬品事業は同9.6%増の253億42百万円(国内医薬品が同1.3%増の179億95百万円、海外医薬品が同45.1%増の57億17百万円、医薬品原体が同15.0%増の16億30百万円)だった。国内の関節機能改善剤アルツは市場全体が軟調に推移して微増にとどまった。眼科手術補助剤オペガンは増収だったが、競争激化で市場シェアが低下した。内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは増収だった。
米国向け関節機能改善剤スパルツは現地販売が減少したが、販売提携先の在庫積み増しで増収だった。米国向け関節機能改善剤ジェル・ワンは販売体制整備に時間を要したため想定より緩やかな伸びにとどまった。中国向けアルツは順調に増加した。医薬品原体ではヒアルロン酸が順調だった。LAL事業は同21.6%増の42億71百万円だった。海外のエンドトキシン測定用試薬が好調で円安効果も寄与した。
今期(15年3月期)連結業績見通しは売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。
米国向けジェル・ワンや中国向けアルツが増加するが、国内では薬価改定の影響があり、米国向けスパルツは前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響があるため、減収見込みとしている。利益面では受取ロイヤリティーが増加するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加などで減益見込みとしている。なお想定為替レートは1米ドル=102円としている。
株価の動きを見ると、1月高値1641円から反落して調整局面となった。全般地合い悪化の影響に加えて、足元では5月13日発表の今期減収減益見通しを嫌気した売りが膨らみ、5月22日には1111円まで調整する場面があった。ただし5月23日には反発に転じている。売り一巡した可能性があるだろう。
5月23日の終値1134円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.0倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、足元ではやや売られ過ぎ感も強めている。売り一巡して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
インターネット写真販売サービスやクラウドサービスのフォトクリエイト<6075>(東マ)の株価は、1月戻り高値圏から反落後は地合い悪化も影響して軟調展開が続いたが、足元では急反発して底打ち感を強めている。
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2014-05-26 09:45