インテージHD安値から反発して底入れ感、好業績評価し出直り
市場調査最大手のインテージホールディングス <4326> の株価は、全般地合い悪化の影響などで高値圏から反落して調整局面となったが、足元では直近安値から反発して底入れ感を強めている。今期(15年3月期)業績見通しは事業譲渡に伴って資産査定が必要なため未定としているが、主力事業が牽引して好業績が期待される。出直り展開だろう。
13年10月に持株会社へ移行し、小売店パネル調査や消費者パネル調査などの市場調査・コンサルティング事業を主力として、システムソリューション事業などにも事業領域を広げている。グループIT基盤強化に向けて14年4月には、インテージのIT関連部門とインテージ長野を統合してインテージテクノスフィアを発足させた。
M&Aも積極活用して11年9月にベトナムの市場調査会社FTA、12年9月に医療情報総合研究所、12年11月に医療関連インターネット調査会社プラメド、13年8月に香港の市場調査会社CSG香港を子会社化した。またアライアンス戦略では12年4月にNTTドコモ <9437> と合弁会社ドコモ・インサイトマーケティングを設立、13年10月に韓国の業界4位の市場調査会社Hankook Researchと包括的な事業協力を締結、13年11月にインドネシアの市場調査会社DEKA社と合弁会社を設立した。
また14年4月には、連結子会社アスクレップの臨床開発事業を新たに設立したエーケーピーに承継(効力発生日6月2日予定)し、エーケーピーの全株式を伊藤忠商事 <8001> に譲渡(株式譲渡期日6月2日予定)すると発表した。経営リソースの選択と集中を進めて事業を再編し、アスクレップは医薬情報事業を継続する。
5月12日に発表した前期(14年3月期)連結業績は、売上高が前々期比6.5%増の425億08百万円、営業利益が同5.9%増の35億05百万円、経常利益が同5.3%増の33億82百万円、純利益が同31.4%増の16億42百万円だった。市場調査・コンサルティング事業の好調が牽引し、システムソリューション事業の損益改善、特別損失の一巡なども寄与した。配当予想は年間27円50銭(期末一括)とした。前々期の年間50円(13年10月1日付の株式2分割を考慮すると25円)に比べて実質的に2円50銭の増配となる。
事業分野別の状況を見ると、市場調査・コンサルティング事業は、売上高が同7.9%増の305億72百万円、営業利益が同5.6%増の30億21百万円だった。全国個人消費者調査パネルなどが順調に推移し、海外の新規連結子会社や投資費用減少なども寄与した。
システムソリューション事業は、売上高が同14.0%増の56億61百万円、営業利益が同3.2倍の4億89百万円だった。企業のシステム投資回復も追い風となり、医薬や旅行などの分野の開発案件が増加した。医薬品開発支援事業は売上高が同5.5%減の62億74百万円、営業利益が5百万円の赤字(前々期は2億96百万円の利益)だった。上期不調の影響が残った。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは未定とした。連結子会社アスクレップの臨床開発事業を売却するため特別利益計上が見込まれるが、譲渡完了まで譲渡資産の精査が必要であり、現時点で業績への影響額は未定としている。ただし主力の市場調査・コンサルティング事業が好調に推移し、経営リソースの選択と集中の効果なども寄与して好業績が期待されるだろう。配当予想は前期比2円50銭増配の年間30円(期末一括)とした。
5月21日に発表した第11次中期経営計画では、重点課題として主力事業の再強化による市場価値向上、モバイル&シングルソース・グローバル・ヘルスケア領域の着実な成長、リサーチの枠にとらわれない新たなビジネスモデルの模索と確立、最適化の視点による戦略立案・推進のマネジメント強化を掲げている。
なお5月12日に株主優待制度の一部変更を発表した。13年10月1日付の株式2分割に伴って贈呈基準(所有株式数)の一部を変更し、優待品の内容を拡充した。14年9月30日現在の株主名簿に記載された対象株主から実施する。
株価の動きを見ると、高値圏1300円~1400円近辺でのモミ合い展開だったが、4月以降は全般地合い悪化の影響などでモミ合いから下放れて調整局面となった。5月19日には1152円まで調整した。ただし5月19日の直近安値から反発して、5月23日には1200円台まで戻している。売り一巡して反発態勢のようだ。
5月23日の終値1218円を指標面で見ると、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS846円49銭で算出)は1.4倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んだが、直近安値圏で下ヒゲ陽線を付けて底入れ感を強めている。出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
市場調査最大手のインテージホールディングス<4326>(東1)の株価は、全般地合い悪化の影響などで高値圏から反落して調整局面となったが、足元では直近安値から反発して底入れ感を強めている。
economic
2014-05-26 09:45