新日本建物は消費増税反動懸念を織り込んで反発のタイミング
マンション・戸建販売の新日本建物 <8893> (JQS)の株価は、消費増税反動懸念や全般地合い悪化などで水準を切り下げ、下値支持線を割り込む形となったが、5月19日の安値から切り返して調整一巡感を強めている。消費増税反動懸念は織り込み済みで反発のタイミングだろう。
首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。10年11月に提出した事業再生計画に基づいてマンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んでいる。事業再生計画決定後の12年3月期および13年3月期は2期連続で最終黒字を達成した。
5月9日に発表した前期(14年3月期)の業績(非連結)(4月25日に売上高を減額、利益を増額修正)は売上高が前々期比1.3%減の107億54百万円、営業利益が同26.1%増の6億62百万円、経常利益が同4.8%増の4億37百万円、純利益が同3.6%増の4億32百万円だった。事業再生計画決定後3期連続の最終黒字を達成した。自己資本比率は27.5%となって同4.9ポイント改善した。
流動化事業において一部プロジェクトの引き渡しが今期(15年3月期)以降にズレ込んだため売上高は計画を下回ったが、流動化事業の伸長や販売効率改善の効果などで利益率が上昇して利益は計画を上回った。新規物件の仕入状況は合計27件(流動化5件、マンション販売3件108戸、戸建販売19件82区画)で、計画売上高95億円の仕入を実施した。
セグメント別に見ると、流動化事業は一部の引き渡しがズレ込んだが同3件増の9件の引き渡しとなり、売上高が同63.3%増の43億17百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同2.4倍の6億59百万円だった。マンション販売事業は建築コスト上昇などを見据えて一部の販売を今期にシフトして同43戸減の107戸の引き渡しとなり、売上高が同29.3%減の37億73百万円、販売経費先行で営業利益が同65.2%減の1億50百万円だった。
戸建販売事業は宅地分譲を含めて同9棟減の85棟の販売となり、売上高が同7.1%減の26億24百万円、事業効率改善などで利益率が改善して営業利益が同11.8%増の3億10百万円だった。その他事業は建築工事請負が減少して売上高が同53.7%減の39百万円、営業利益が同86.9%減の3百万円だった。
今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しについては、売上高が前期比14.4%増の123億円、営業利益が同1.2%増の6億70百万円、経常利益が同7.5%減の4億05百万円、純利益が同7.5%減の4億円としている。消費増税後の反動が一部で懸念されるが、首都圏の分譲住宅市場は堅調に推移する見込みだ。売上高は流動化事業で6億円、戸建販売事業で8億円の増加を見込み、流動化事業の伸長効果で営業増益見込みとしている。
株価の動きを見ると、3月以降は概ね50円台でモミ合う展開だったが、消費増税反動懸念や全般地合い悪化などで徐々に水準を切り下げた。さらに5月19日に41円まで調整して50円近辺の下値支持線を割り込む形となった。しかし足元では45円~47円近辺まで戻して調整一巡感を強めている。消費増税反動懸念を織り込んだようだ。
5月27日の終値46円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円02銭で算出)は11~12倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS15円98銭で算出)は2.9倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、5月安値で下ヒゲを付けて調整のほぼ最終局面だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
マンション・戸建販売の新日本建物<8893>(JQS)の株価は、消費増税反動懸念や全般地合い悪化などで水準を切り下げ、下値支持線を割り込む形となったが、5月19日の安値から切り返して調整一巡感を強めている。
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2014-05-28 09:00