カーリットHDは5月直近安値から反発して下値固め完了、割安感も支援材料に出直り

  カーリットホールディングス <4275> の株価は、5月16日の直近安値から反発の動きを強めている。2月安値水準まで調整することなく下値固めが完了したようだ。指標面の割安感も支援材料であり、調整が一巡して出直り展開だろう。   日本カーリットが純粋持株会社を設立して13年10月東証1部市場に上場した。化学品事業部門(産業用爆薬、緊急保安炎筒・信号炎管、危険性評価試験受託、化成品関連、電子材料・機能性材料関連など)を主力として、ボトリング事業部門、産業用部材事業部門(半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物など)を展開している。   自動車用緊急保安炎筒の国内市場シェアは約8~9割と想定される。ボトリング事業は伊藤園 <2593> 向けが主力で、半導体用シリコンウェーハ事業は小口径4~6インチのニッチ市場を主力としている。海外は中国・上海、シンガポールに展開している。   中期経営計画「飛躍500」では「事業領域の拡大、市場の拡大、シェアの拡大という3つの拡大戦略により売上高500億円の化学会社への成長」を基本方針として、グループ収益基盤と総合力強化に向けたM&A戦略を積極展開して事業を多様化してきた。13年10月には一級建築士事務所の総合設計を子会社化して、上下水道・排水処理施設設計分野に進出した。14年2月には東洋発條工業を子会社化した。自動車・建設機械向けを中心とした各種スプリング製造・販売分野に事業展開し、耐火・耐熱金物の並田機工などと合わせた産業用部材事業部門を新たな収益の柱とする。   5月15日に発表した前期(14年3月期)の連結業績は売上高が398億34百万円、営業利益が15億94百万円、経常利益が16億77百万円、純利益が12億51百万円だった。配当予想は記念配当1円を含めて年間10円(期末一括)とした。持株会社移行初年度のため日本カーリットの13年3月期連結業績との比較で見ると6.0%増収、15.2%営業増益、9.9%経常増益、21.6%最終減益、配当予想は1円増配となった。純利益は固定資産売却益減少で減益だったが、自動車関連の好調が牽引して増収営業増益だった。   セグメント別に見ると、化学品事業部門は売上高が150億円42百万円、営業利益(連結消去前)が8億51百万円だった。電子材料分野がやや低調だったが、化薬分野では自動車用緊急保安炎筒が広域回収に伴う価格改定効果、新車装着用の消費増税前駆け込み需要、車検交換用の緊急脱出用ガラス破壊機能付き製品「ハイフレヤープラスピック」への切り替え施策などで好調に推移した。また化薬分野の産業用爆薬は公共工事の増加で、化成品分野の塩素酸ナトリウムは紙パルプメーカーへのシェア拡大で増収だった。   ボトリング事業部門は売上高が191億23百万円、営業利益が3億66百万円だった。期前半は缶製品の受注減などでやや低調だったが、期後半には新製品の受注や消費増税前の駆け込み需要などで高水準だった。産業用部材事業部門は売上高が50億73百万円、営業利益が2億21百万円だった。シリコンウェーハが新製品投入で増収となり、耐火・耐熱金物は並田機工の新規連結が寄与した。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは、売上高が前期比18.0%増の470億円、営業利益が同0.3%増の16億円、経常利益が同1.4%増の17億円、純利益が同28.1%減の9億円としている。純利益は固定資産売却益が一巡して減益見込みだが、自動車関連の好調が牽引し、M&A効果も寄与して大幅増収見込みだ。配当予想は前期と同額の年間10円(期末一括)とした。   セグメント別売上高の計画は、化学品事業部門が電池試験所本格稼働や自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」拡販などで同13.0%増の170億円、ボトリング事業部門が新設備による増産体制確立で同4.6%増の200億円、産業用部材事業部門が東洋発條工業の通期連結で同77.4%増の90億円としている。M&A効果で中期的な収益拡大が期待される。   株価の動きを見ると、全般地合い悪化も影響して4月以降はやや水準を切り下げ、4月11日に454円、5月16日に451円まで調整した。しかし2月安値435円まで調整することなく反発し、5月26日には477円まで戻す場面があった。下値固めが完了したようだ。   5月27日の終値476円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS43円71銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS922円98銭で算出)は0.5倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。下値固めが完了して強基調に転換した可能性があり、指標面の割安感も支援材料に出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
カーリットホールディングス<4275>(東1)の株価は、5月16日の直近安値から反発の動きを強めている。2月安値水準まで調整することなく下値固めが完了したようだ。
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2014-05-28 11:45