1-3月期の省別GDP出そろう・・・重慶、天津など2桁台伸び、黒龍江は落ち込む
中国で、省クラス行政区画(省、中央直轄市、中央直轄市)ごとの2014年第1四半期(1-3)月の域内総生産(GDP)が28日までに出そろった。重慶市や天津市など5地域で2桁(けた)の伸びとなった。黒龍江省は4.1%の伸びにとどまった。石油産業の低迷などが影響したという。各地政府の発表にもとづくが、全国31の省クラス行政区画のGDPの総和は、中央政府発表の同期における全国GDPを約3.6%上回った(数字は中国新聞社調べ)。
前年同期比でGDPの伸び率が2桁台になったのは重慶市(10.9%)、貴州省(10.8%)、天津市(10.6%)、新疆ウイグル自治区(10.2%)、青海省(10.1%)だった。天津市を除いては、内陸部だった。天津市と新疆ウイグル自治区を除いては、経済規模が小さな地域だ。
GDP伸びが最も小さかったのは黒龍江省(2.9%)だった。黒龍江省は、大慶油田の不振が長期に渡り、石油関連産業以外の工業が育っていないことから、GDPの伸びが頭打ち状態になったとみられている。同省では石油産業の下流企業数百社が操業を停止した状態という。中国メディアによると同期の固定資産投資は前年同期比で25.9%もの落ち込みだった。
河北省については、同省と北京市、天津市の経済圏を一体化する構想が進んでおり、「産業構造転換にともなう、一時的なものでは」とも出ている。ただし、省内の一部の市や県では、財政収入に影響が出ているという。
中国では、個別の省などが発表したGDPの全国合計が、中央政府・統計局が発表する全国値を上回る事態が続いている。全国規模で活動する企業の売上などのを、複数の地域が自らのGDP計算に繰り込んでしまうことなどで発生していたとされる。
中国では、ごく限られたコミュニティー以外では、行政責任者を選ぶ選挙制度がない。そのため逆に「上からの成績考課」が首長などの「出世」にとって大きな意味を持つ。GDPの「ずれ」について、公式にも「統計上の技術的な問題があり、水増しもあるとみられる」と説明されている。
しかし、市の下の県などで経済指標の統計について不正な操作が発覚して、責任者が処罰されるケースもかなり多い。このことから、「水増し」はかなり蔓延していると考えるほかない。
一方で共産党・中央政府は、行政責任者の「成績考課」で「GDPについての評価の比重を下げる」との方針を、これまで以上に明確化するようになった。2013年通年におけるGDPは、地方政府発表の合計が中央政府・統計局が発表した全国値よりも1割近く上回った。
2014年第1四半期については、地方発表の合計が13兆2878億9700万元で、統計局発表の全国値は12兆8213億元で、地方発表の合計値が全国値を4665億9700万元上回ったが「誤差」は3.6%程度で、2013年通年における「誤差」よりも縮小した。(編集担当:如月隼人)
2013年第1四半期(1-3月)における、省クラス行政区画のGDPと前年同期比の伸びは以下の通り。
重慶 2982.71億元 10.9%
貴州 1421.15億元 10.8%
天津 3190.30億元 10.6%
新疆ウイグル 1262.25億元 10.2%
青海 388.94億元 10.1%
安徽 3971.15億元 9.6%
福建 4037.73億元 9.4%
江西 2948.38億元 9.3%
湖北 5137.26億元 9.2%
湖南 5042.72億元 9.2%
チベット 172.33億元 9.2%
陝西 3339.16億元 9.2%
江蘇 1兆2892.85億元 8.8%
山東 1兆1994.96億元 8.7%
河南 7456.88億元 8.7%
四川 5878.54億元 8.1%
広西チワン族 3014.36億元 8.0%
甘粛 1098.27億元 7.9%
雲南 2454.73億元 7.7%
遼寧 5663.64億元 7.4%
内モンゴル 3161.38億元 7.3%
海南 815.05億元 7.3%
広東 1兆3636.91億元 7.2%
北京 4412.95億元 7.1%
吉林 2305.10億元 7.0%
上海 5313.07億元 7.0%
浙江 7768.46億元 7.0%
寧夏回族 442.64億元 6.9%
山西 2631.67億元 5.5%
河北 5426.83億元 4.2%
黒龍江 2616.60億元 2.9%
注)
黒龍江省のGDP伸び率については一時、4.1%とする報道もあったが、現在は2.9%とされている。
(編集担当:如月隼人)
中国で、省クラス行政区画(省、中央直轄市、中央直轄市)ごとの2014年第1四半期(1-3)月の域内総生産(GDP)が28日までに出そろった。重慶市や天津市など5地域で2桁(けた)の伸びとなった。黒龍江省は4.1%の伸びにとどまった。石油産業の低迷などが影響したという。各地政府の発表にもとづくが、全国31の省クラス行政区画のGDPの総和は、中央政府発表の同期における全国GDPを約3.6%上回った(数字は中国新聞社調べ)。
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2014-05-28 14:15