うかいは下値固め完了感、今期営業増益評価で反発のタイミング
高級料理店うかい <7621> (JQS)の株価は、3月期末の配当権利落ちなどで急反落した後、4月以降は安値圏でモミ合う展開だ。消費増税の影響が懸念されている可能性もありそうだが、大きく下押す動きは見られず足元では下値固め完了感を強めている。今期(15年3月期)増収営業増益見通しを評価して反発のタイミングだろう。
飲食事業(高級和食・洋食店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。新たな成長ステージに向けた戦略として、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の多面展開、和食店のお土産品強化、新業態の出店、海外企業との業務提携などを推進している。
14年4月には、国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(呼称:割烹うかい)」をオープンした。また海外は13年5月に、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定した。16年のオープンに向けて準備を進めている。
5月19日に発表した前期(14年3月期)の業績(非連結)(11月8日に増額)は、売上高が前々期比2.9%増の120億24百万円、営業利益が同1.2%増の3億84百万円、経常利益が同53.8%増の3億27百万円、純利益が同52.8%増の2億61百万円だった。高額消費の活発化や商圏拡大の効果などで増収増益だったが、14年2月の大雪の影響で売上高と営業利益は伸び悩んだ形だ。なお配当予想は5月19日に3円の増額を発表して年間15円(第2四半期末2円、期末13円)とした。前々期との比較では3円増配となる。
セグメント別売上高を見ると、飲食事業は売上高が同3.8%増の108億28百万円で、このうち和食事業は同1.5%増の55億78百万円、洋食事業は同6.2%増の52億49百万円だった。和食事業では14年2月の大雪の影響が3月初旬まで残ったが、首都圏中央連絡自動車道の高尾山ICの開通で商圏が広がり、うかい鳥山の来客数増加が寄与した。洋食事業では都心店の来客数増加や郊外店の客単価上昇が寄与した。文化事業は14年2月の大雪の影響を受けて同4.4%減の11億96百万円だった。
今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しは売上高が前期比4.4%増の125億55百万円、営業利益が同27.8%増の4億91百万円、経常利益が同30.2%増の4億26百万円、純利益が同11.7%減の2億31百万円としている。配当予想は前期と同額だが期末一括の年間15円とした。
売上面では、うかい鳥山の商圏拡大の効果、都心店の好調に加えて、14年4月にオープンした4年ぶりの新店「銀座kappou ukai」も寄与する。純利益は特別損益や法人税等の影響で減益見込みだが、増収効果で人件費や修繕費などの増加を吸収して大幅営業増益見込みだ。
月次売上高(前年比、アトリエうかいの店頭販売含む)を見ると、14年4月は全店が105.4%、既存店が104.5%と好調だった。来客数は全店97.3%、既存店96.7%だったが、客単価が全店108.4%、既存店108.0%と大幅上昇して売上を押し上げた。客単価は13年3月から14カ月連続の前年比プラスであり、高額消費の流れが継続しているようだ。
「うかい」ブランドの認知度向上、商圏の拡大、高額消費の活発化、訪日外国人観光客の増加などを背景とする好調な流れに変化はなく、13年12月に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことも支援材料であり、収益は拡大基調だろう。
なお5月19日に株主優待制度の一部変更を発表した。対象株主を「毎年3月31日現在の株主名簿に記載された1単元(100株)以上保有の株主」から「毎年9月30日現在の株主名簿に記載された1単元(100株)以上保有の株主」に変更し、有効期間を「3月31日贈呈基準の優待券で7月1日から翌年6月30日まで約12ヶ月間」から「9月30日贈呈基準の優待券で1月1日から翌年2月末日まで約14ヶ月間」に変更した。14年9月30日現在の株主名簿に記録された株主から実施する。
株価の動きを見ると、戻り高値圏2400円台から3月期末の配当権利落ちなどで急反落し、4月以降は概ね2000円~2100円近辺でモミ合う展開だ。消費増税の影響が懸念されている可能性もありそうだ。ただし2000円台を割り込んで大きく下押す動きは見られず、下値固め完了感を強めている。
5月28日の終値2001円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS44円98銭で算出)は44~45倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.8%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS925円47銭で算出)は2.2倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、2000円近辺で下げ渋る動きだ。調整が一巡して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
高級料理店うかい<7621>(JQS)の株価は、3月期末の配当権利落ちなどで急反落した後、4月以降は安値圏でモミ合う展開だ。消費増税の影響が懸念されている可能性もありそうだが・・・。
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2014-05-29 07:30