寿スピリッツは自律調整一巡、今期増収増益を評価して上値追い

  菓子製造販売の寿スピリッツ <2222> (東2)の株価は、5月16日に付けた上場来高値から利益確定売りで一旦反落したが、早くも自律調整が一巡して再動意の構えのようだ。今期(15年3月期)増収増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。   山陰地区中心に「因幡の白うさぎ」ブランドなどを展開する寿製菓、北海道中心に「ルタオ」ブランドを展開するケイシイシイ、首都圏中心に洋菓子を多ブランド展開するシュクレイ、九州中心に「赤い風船」ブランドを展開する九十九島グループ、関西中心に「遊月亭」ブランドを展開する但馬寿、そして販売子会社(東海地区3社、中国・九州地区4社、関西地区2社)などの地域事業会社を傘下に置き、地域限定ブランド菓子を製造・販売している。製造卸から製造小売に事業モデルを転換して高収益化を推進し、駅・空港・高速道路など交通機関チャネルの出店・販売比率が高いことも特徴だ。   企業ビジョンとして、全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を掲げ、新商品・新業態・新ブランド創り、新ビジネス開発、海外展開を推進している。経営目標指標は売上高経常利益率20%としている。新業態展開では、ケイシイシイがスイーツ専門店「グラッシェル」、九十九島グループがフレンチトースト専門店「アイボリッシュ」を立ち上げて、首都圏への新規出店も加速している。また海外展開ではケイシイシイが台湾・台北市に海外初出店となるカフェ店「KONAYUKI」を立ち上げた。   5月13日に発表した前期(14年3月期)の連結業績は売上高が前々期比11.1%増の229億46百万円、営業利益が同25.2%増の23億42百万円、経常利益が同25.0%増の23億61百万円、純利益が同22.6%増の12億78百万円だった。計画を上回る増収増益だった。配当予想は記念配当5円を含めて同10円増配の年間40円(期末一括)とした。   売上面では、遷宮・奉祝イベントによる観光客増加、新商品投入や新業態出店なども寄与して2桁増収となり、利益面では製造採算の改善などで売上総利益率が同1.0ポイント上昇し、人件費や地代家賃の増加を吸収して販管費比率は同0.2ポイント低下した。売上高経常利益率は同1.2ポイント上昇して10.3%となり、初めて10%台に乗せた。またネット有利子負債がマイナス1億10百万円となり、実質無借金経営となった。   主要セグメント別(内部取引等調整前)の動向を見ると、売上高はケイシイシイが同10.3%増の82億67百万円、新業態「グラッシェル」出店やネット通販強化も寄与した。寿製菓は同10.6%増の78億79百万円、出雲大社の遷宮・奉祝イベントによる観光客増加やグループ各社との連携強化も寄与した。販売子会社は同7.4%増の46億19百万円、遷宮・奉祝イベントによる観光客増加や関西地区での新商品投入も寄与した。   九十九島グループは同1.4%増の31億04百万円、新業態フレンチトースト専門店「アイボリッシュ」出店も寄与した。但馬寿は同9.5%増の11億24百万円、グループ向け売上が好調だった。シュクレイは同40.1%増の23億35百万円、主力ブランドの認知度向上効果に加えて商品アイテム充実も寄与した。   営業利益は、九十九島グループが新業態店立ち上げ費用などで同14.6%減益だったが、ケイシイシイが同19.1%増益、寿製菓が同46.0%増益、販売子会社が同31.1%増益、但馬寿が同18.9%増益、シュクレイが同42.3%増益と好調だった。   なお健康食品「栃(とち)」と「藍(あい)」を販売するジャパルシーは、会員数や売上高が当初計画を大きく下回る状況が続いているため、新規会員募集を14年4月で停止して、事業モデルを再構築する方針だ。その他事業の通販基幹業務システムサービスについては、既存会員の他社サービス等への移行完了後に当該事業の中止を予定している。   今期(15年3月期)連結業績見通しは売上高が前期比2.4%増の235億円、営業利益が同6.7%増の25億円、経常利益が同5.8%増の25億円、純利益が同15.0%増の14億70百万円としている。配当予想は記念配当を普通配当に変えて前期と同額の年間40円(期末一括)とした。   主要セグメント別の売上高は、ケイシイシイが同2.8%増収、寿製菓が同1.5%増収、販売子会社が同2.6%増収、九十九島グループが同11.5%増収、但馬寿が同11.2%増収、シュクレイが同13.5%増収の計画としている。ジャパルシーとその他事業の売上高は織り込んでいない。   前期に立ち上げた新業態店の知名度向上、新商品の開発推進、販促・接客強化による消費者への訴求力向上などで、前期の遷宮・奉祝イベント効果の反動減、原材料価格の上昇などを吸収して増収増益見込みだ。なお消費増税の影響としては4月に一時的に落ち込む場面があったが、影響は全体として軽微のようだ。会社予想は保守的であり上振れ余地があるだろう。   なお5月16日に発表した立会外分売については、5月23日に実施して終了した。分売株数は20万株、分売値段は2259円だった。   株価の動き(4月3日付で東証2部市場から東証1部市場へ指定替え)を見ると、好業績や東証1部市場への指定替えを好感した5月16日の上場来高値2671円から利益確定売りで一旦反落し、5月26日の2220円まで調整した。しかし5月28日には2343円まで戻す場面があり、早くも自律調整一巡感を強めている。目先的な過熱感が解消して再動意の構えだろう。   5月28日の終値2341円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS141円71銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は1.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS775円95銭で算出)は3.0倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して切り返しの動きとなった。サポートラインを確認した形であり、強基調を継続して上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
菓子製造販売の寿スピリッツ<2222>(東2)の株価は、5月16日に付けた上場来高値から利益確定売りで一旦反落したが、早くも自律調整が一巡して再動意の構えのようだ。
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2014-05-29 09:15