【為替本日の注目点】米金利急低下で市場は一旦調整、独景気鈍化の兆しでユーロ売り

 NY市場  ドル円は102円が壁となり下落。米長期金利が再び2.5%を大きく下回ったことでドル売りが進み、101円64銭まで売られる。その後はユーロでドル高が進んだことでドル円も反発し、101円80-85銭まで戻して取引を終える。   ユーロドルはドイツの失業者数が予想に反して増加していたことで下落。3月13日以来となる1.36台を割り込み、1.3587まで下落。   株式市場は5日ぶりに反落。小売株が売られダウは42ドル安。S&P500も上げが一服。   債券相場は大幅に続伸。欧州債に連れ高し、ドイツの雇用悪化も買い材料となり10年債利回りは一時2.43%台まで低下し、昨年7月以来の低水準を記録。   金はドル高を嫌気して続落。原油は在庫が予想以上に増加しているとの見方から反落。   ドル/円 101.64 ~ 101.97  ユーロ/ドル 1.3587 ~ 1.3629  ユーロ/円 138.29 ~ 138.80  NYダウ -42.32 → 16,633.18ドル  GOLD -6.20  → 1,259.30ドル  WTI -1.39  → 102.72ドル  米10年国債 -0.073  → 2.445%  本日の注目イベント  欧   スペイン1-3月期GDP   米   1-3月期GDP(改定値)     米   新規失業保険申請件数   米   4月中古住宅販売成約指数   米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演   ドル円は102円が「壁」となり、上値を抑えている状況です。特に昨日の東京タイムでは、一時株価が大幅に上昇したにもかかわらず102円が抜けず、反対に株価がドル円の上値の重さに引っ張られ下落する場面もありました。NYではさすがに上昇を続けていた株式市場も5日振りに反落し、さらに米長期金利が2.43%台まで低下したことでドル安が進みました。それでもユーロドルで「ユーロ安ドル高」が進んだ影響もあり、ドル円の下落は限定的で101円台後半まで値を戻しています。  気になる米長期金利は直近の最低水準を割り込み、昨年7月以来となる2.43%台まで低下しました。この長期金利の水準を考えると、ドル円は101円台を割り込んでいてもおかしくない状況だと思えますが、ユーロドルの下落に助けられた感もあります。因みに昨年7月時点のドル円は99円台で推移しており、明らかにドル円が「粘り腰」を見せていることが理解できます。  ユーロドルが1.36台を割り込み、1.3587まで売られました。日ごとにECBの追加緩和を織り込む動きが強まっている状況ですが、昨日はドイツの失業者数が事前予想のマイナス1万5000人に対して、2万4000人増加していたことがユーロ売りにつながりました。好調を維持してきたドイツ景気にも鈍化の兆しが見え始めたとの見方から、ECBが政策金利引き下げなど、追加緩和に動く可能性が高まったという見立てです。  ユーロドルはこれで昨年7月以来となる「200日線」を割り込んで来ました。注意したいのは、重要な「200日線」を割り込んだきたためしばらくは下落トレンドが継続すると見られますが、一目均衡表の「遅行線」はまだ「200日線」を割り込んでいない点です。このまま現在の値位置を維持したら、むしろ「遅行線」が「200日線」にサポートされたことになります。  また、ECBの追加緩和という「ユーロ売り材料」も、かなり織り込んで来たという印象があります。「ECBが追加緩和を決定」というニュースに対して、どこまでユーロを売り込むのか注意が必要かと思います。  ドル円は102円台を維持できませんでしたが、すぐに急落する気配でもありません。昨日も述べましたが、102円台を固めるには材料不足です。現在の値位置はちょうどニュートラルに戻ったとも言えそうです。先週発表されたシカゴ通貨先物市場の建て玉も、約5万3000枚の円売りで、これは昨年末ピークの14万4000枚から大きく減少しており、「アベノミクス」以前の水準まで戻っています。投機筋も一旦はポジションを整理し、今後再び円売りを増やす「余地」が十分あると見ることもできます。  本日は米長期金利の急低下に東京市場がどのように反応するのかを見極めたいと思います。日経平均株価もさすがに調整が避けられないと思われ、レンジは101円30銭~102円と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は102円が壁となり下落。米長期金利が再び2.5%を大きく下回ったことでドル売りが進み、101円64銭まで売られる。その後はユーロでドル高が進んだことでドル円も反発し、101円80-85銭まで戻して取引を終える。 
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2014-05-29 09:45