ドル/円は下押し局面で100円割れも覚悟=外為どっとコム総研

外為どっとコム総研の調査部研究員の川畑琢也氏は、「ドル/円は、6月にはドル高・円安を期待する材料があるものの、テクニカル分析をすると下方向に向かって、はっきりしない動きが続きそうだ」と見通す。「今年1月に付けた1ドル=105.440円を高値に、来年の2月-3月に向けたもみ合い相場が続きそうだ」と語っている。(写真はサーチナ撮影)
――当面のドル/円を見通すポイントは?
日本の貿易収支は赤字が続き、一部には生保による外債購入で積極的に為替リスクを取る姿勢を示すなど、ドル/円の上昇を見通すような話が伝わってきているが、テクニカル指標を見ていくと、現在は高値を追っていくような動きには見えない。
むしろ、月足でみると2011年に付けた安値1ドル=75・320円を起点として、2014年1月の高値105.440円までの上げの調整局面にあると判断される。この105.440円という水準は、2007年の高値124.120円から2011年安値の下げ幅の61.8%戻しの水準にも重なっている。
一方、サイクル面から見たポイントは、現在は2013年6月安値を起点とするサイクルの中にあり、5月28日時点で50週が経過した計算。過去のサイクルが46週であり、いつボトムを付けても不思議でない。過去のサイクルを当てはめると、ボトムの到来は6月中旬、遅くとも9月後半までにつけるのではないか。現在は、このボトムを見極めるタイミングにあり、転換点を迎えているといえよう。
ただ、仮に1月の高値がサイクルのトップになると、中立型とされる「センタートランスレーション」(サイクルのトップが中心点付近)に近い形が出現するかもしれない。仮にそうなると、次はセンタートランスレーションが、弱気型とされる「レフトトランスレーション」になることが考えられる。次のサイクルを見通すとドル/円は、来年の2月-3月にかけて、横ばいか、または、下落という弱い見通しになる。
――当面のドル/円の予想レンジは?
ドル/円の日足は、1ドル=100.80円近辺を下値に、上値が切り下がる三角保ち合いの形をしている。保ち合いの上限は現在、1ドル=103.381円で1日あたり0.0196円のスピードで下落している。このため、当面のレンジは1ドル=100.80円-103円前半。100.80円を割り込めば、96.50円くらいまでは下落しそうだ。
2011年安値から今年高値までの上げの3分の1押しが1ドル=95.40円、三角もち合いの高さ分の下げとなれば96.520円なので、1ドル=96円前後は下値のメドになりやすい。投資戦略としては、もち合い上限が位置する1ドル=103円台に乗せる場面があれば、ドル売り・円買いのポジションを取って、ドルの下落を狙うというのも一法だと思う。
――ユーロ/ドルは1ユーロ=1.4ドルを手前にして下押しているが、当面の見方は?
ユーロ/ドルは、今年に入って2008年と2011年の高値を結ぶレジスタンスラインを突破して上値が拡大するかに思われたのだが、月足の一目均衡表の雲の上限が抵抗になって失速した形になっている。まだ、上昇トレンドは崩れていないとみえるが、当面は、1ユーロ=1.4ドルに乗せることができるがどうかがポイントになる。
もし、1ユーロ=1.4ドルに乗せられれば、上値余地が拡大し、1ユーロ=1.42ドル後半から1.5ドル乗せが期待できる。
反対に、2012年7月を起点とするサポートラインである1ユーロ=1.33483ドルを下抜けるようなことがあると、下値模索の流れに傾くことになる。その際には、月足の一目均衡表の基準線(1ユーロ=1.30176ドル)、または、2013年の下値ゾーンである1ユーロ=1.27ドルが下値メドになる。
当面のユーロ/ドルの予想レンジは、1ユーロ=1.34-1.40ドルで見ている。
――その他、注目している通貨ペアは?
全般的に大きなトレンドが見通せる通貨ペアは見出しにくい。そこで、少し長い目で見通して、金利差が拡大する方向にある通貨ペアに注目することを提案したい。
たとえば、NZドルは既に利上げを開始しているが、これに続く利上げ期待があるのは、豪ドル、そして、英ポンドだ。現在の見通しでは、豪ドルが来年第1四半期、ポンドは来年第2四半期にも利上げに進むとみられている。
そこで、ポンド/円を見てみると、月足が一目均衡表の雲を抜け出たところに位置している。現在の位置は、2007年高値1ポンド=251.070円から、2011年安値116.800円の戻り相場の途上にあるといえる。下げの2分の1戻しであれば、183.935円、61.8%戻しは199.799円になる。現在の171円台からは上値の余地が大きい。
ポンド/円の週足を見ると、2012年10月以降は基準線がサポートラインとして機能している。現在の基準線は1ポンド=169.362円にあるが、このラインに接近するような場面があれば、少しずつ買って増やしていくという戦略が取れると思う。基準線を割り込むと回復に時間を要することになるが、向こう1年くらいの目線で買い乗せしていくスタンスで臨めば、良いパフォーマンスが得られそうだ。(編集担当:徳永浩)
外為どっとコム総研の調査部研究員の川畑琢也氏は、「ドル/円は、6月にはドル高・円安を期待する材料があるものの、テクニカル分析をすると下方向に向かって、はっきりしない動きが続きそうだ」と見通す。(写真はサーチナ撮影)
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2014-05-29 14:15