経済失速、操業停止相次ぐ・・・東北振興政策の再考も=黒龍江省
中国では28日までに、省および中央直轄市・民族自治区ごとに発表される2014年第1四半期(1-3月)の域内生産値(GDP)が出そろった。黒龍江省は前年同期比で2.9%増と伸び率で全国最下位だった。2013年通年が8%の伸び率で、3月の省人民代表大会で2014年の通年目標を8%から8.5%に引き上げたにも関わらず、同省の経済成長が“急失速”したことが注目を集めた。同省では主力産業である石油関連の不振で操業を停止する関連企業が相次いでおり、国策である「東北振興」も再考を迫られる状況だ。
1-3月の経済成長率で、第1位は重慶市(10.9%)で、貴州省(10.8%)、天津市(10.6%)などと続いた。2桁成長は5地域、9%台は6地域、8%台は5地域、7%台は10地域だった。4%台から6%台は河北省(4.2%)、山西省(5.5%)、寧夏回族自治区(6.9%)だった。
黒龍江省のGDP成長率は2.9%で、全国最下位であるだけでなく、とりわけ低い数字として注目を集めた。黒龍江省は、省内にある中国の油田の象徴的存在である大慶油田が経済成長を支えて来た。非石炭系のエネルギーの産出地域である重慶市や新疆ウイグル自治区と似ている面もあるが、重慶と新疆が2桁成長を示したことに比べると、対照的な結果になった。
大慶油田で、原油の存在が確認されたのは1959年、生産開始は1963年。石油不足に苦しみ、輸入するにも外貨が乏しく国際政治でも孤立していた中国にとって、大慶油田は「光明」だった。しかし当初から問題がなかったわけではない。
大慶油田で産出する原油は流動点(融点よりわずかに高い、流動が可能になる温度)は摂氏30度以上で、常温では「固まった油」だ。極端な重油質であるためで、成分として最も必要になるガソリン(ナフサ)などの含有は極めて少ない。つまり、自動車の燃料や石油化学工業の原料はあまりとれず、大型ディーゼルエンジンや発電用の燃料となる重油を取る以外に使いにくい石油だ。
しかも、資源の枯渇が進行した。原油は通常、水などの不純物が混じった形で採掘される。そして、大慶油田の場合には関係者によると「水が9割、油が1割」と、水の割合が極端に多くなってきた。
中国の経済指標では多くの場合、工業分野では年間売上2000万元以上の企業を「規模以上工業企業」として統計の対象とする。黒龍江省では規模以上工業企業の半数以上がエネルギー関連だ。売上高の前年比伸びは過去最大で13.1%を記録したが、2013年は0.1%増。そして14年1-3月期は前年同期比2.2%減で、改革開放が本格化して初めての「マイナス成長」になった。
黒龍江省内に規模以上企業は4388社あるが、うち1270社は1-3月期に売上高が前年同期比で減少。722社は操業停止に追いやられた。そして今のところ、大慶油田が活況を取り戻す気配は見えてこない。
省政府は経済立て直しの打開策として、大規模プロジェクトの大量立ち上げと、それにともなう資本誘致に力を入れている。しかし、「希望の光が見えてきた」とはいまだに言えない状態だ。
省政府はすでに10年前に、エネルギー産業への依存が大きすぎる状態を打開しようとして、省都のハルビン市、大慶、チチハル市を結地域に広大な工業用地を確保して、化学工業、設備、自動車、食品、ハイテク産業などを誘致して「工業の廊下」知育を形成させようとした。しかし、同計画はうまくいっておらず、省は改めて産業育成のプロジェクトを盛んに発表するようになった。
しかし、同省における1-3月期の同省における固定資産投資は前年同期比の25.9減とされる。経済高度成長が始まった以降の中国では考えられなかった落ち込みだ。
中国・東北地方の別の省に目を転じると、1-3月の経済成長率で遼寧省は7.4%増、吉林省は7%増だった。吉林省では同省の主要産業のひとつである自動車産業が成長を押し上げているが、同分野は生産過剰におちいっており、今後は楽観できないという。
東北地方は旧満州国時代に本格的な工業化が始まったという中国でも特異な地域だ。中華人民共和国も成立後、「旧中国の遺産」を大いに利用した。しかし1990年代からの改革開放の本格化で、東北地方は後れを取ることになった。失業率の高さも問題になった。
そこで中国中央政府は2003年「東北地区などの古い工業基地振興のための若干の意見」を発表。いわゆる「東北振興」の国策だ。しかし、東北地方の経済発展に、力強さは見えてこない。旧式モデルの産業構造の転換は、進んでいない。中央政府は、「東北振興策の練り直し」という、新たな難題を抱えることになったと言える。(編集担当:如月隼人)
中国では28日までに、省および中央直轄市・民族自治区ごとに発表される2014年第1四半期(1-3月)の域内生産値(GDP)が出そろった。黒龍江省は前年同期比で2.9%増と伸び率で全国最下位だった。2013年通年が8%の伸び率で、3月の省人民代表大会で2014年の通年目標を8%から8.5%に引き上げたにも関わらず、同省の経済成長が“急失速”したことが注目を集めた。同省では主力産業である石油関連の不振で操業を停止する関連企業が相次いでおり、国策である「東北振興」も再考を迫られる状況だ。
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2014-05-29 16:00