中国の市場は混乱、「酸素水」の宣伝はウソ?・・・競争が激化する、「高級飲料水市場」=中国

 中国では特定の効能をアピールするなどした「高級飲料水」市場が長い間、外資に牛耳られてきたが、近年は国内メーカーが参入し、競争が激化してきた。ただ、こうした中で広東省の地方紙・羊城晩報は27日、「一部の高級飲料水は宣伝している功能にうそがある可能性もある」と報じ、市場が混乱していると指摘した。  羊城晩報が報じたのは、浙江省に拠点を置く大手飲料メーカー、娃哈哈(ワハハ)が今年初めに売り出した「酸素水」が、「通常の水の6―10倍の酸素を含んでおり、高効率で簡単に、しかも副作用もなく体内の酸素を補うことができる」と宣伝しているにもかかわらず、「酸素を補う功能には疑問がある」と専門家が指摘しているという内容だ。  同紙は国際食品包装協会の董金獅秘書長の話として、「現在のところ、酸素が豊富な水を飲んだからといって、体内の酸素を補う効果があるという証拠はない。酸素の含有量が多すぎれば、水に含まれる一部の化学物質が酸化し、水の中の有機物の活性が失われる。人体に副作用をもたらすことになる」として、「酸素水」の概念そのものに疑問があると報じた。  ただ、この報道に対して娃哈哈は28日までに反論。弁護士を通じて「酸素水は国の基準に沿って生産している。10年以上前から販売されている欧州では専門家がその効能を認めている」と訴え、「虚偽宣伝」の報道に対して法的対応も辞さないとの姿勢を示した。  中国市場で売られている「高級水」は小さいボトルで10元(約163円)以上と、コカ・コーラブランドなどの一般的なミネラル・ウォーターとの価格差が10倍を超えるという。「妊婦・赤ちゃん専用水」とうたった水もある。  こうした水が発売され、売れるようになった背景には、水も土も空気も汚染が深刻、という中国の事情があるだろう。空気、そして野菜などが育つ土は消費者が選ぶことが難しいが、飲料水はお金を出せば選ぶことができる。  今後、中国人の消費者がお金をかけるとすれば、環境、健康に配慮した商品ということになるだろう。しかし、そもそも中国の消費者が「ニセモノ」や「虚偽宣伝」の疑いを商品全般に対して抱いている状況の中では、「本物だ」「本当だ」と訴えること自体にコストがかかる。(編集担当:古川弥生)(イメージ写真提供:123RF)
中国では特定の効能をアピールするなどした「高級飲料水」市場が長い間、外資に牛耳られてきたが、近年は国内メーカーが参入し、競争が激化してきた。ただ、こうした中で広東省の地方紙・羊城晩報は27日、「一部の高級飲料水は宣伝している功能にうそがある可能性もある」と報じ、市場が混乱していると指摘した。(イメージ写真提供:123RF)
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2014-05-29 16:30