鴻池運輸はIPO直後の13年3月高値に接近、上値追い

  総合物流の鴻池運輸 <9025> の株価は水準を切り上げて、IPO直後の13年3月高値に接近している。今期(15年3月期)増収増益見通しや指標面の割安感を評価して上値追いの展開だろう。   1880年創業、1945年設立の総合物流企業で、13年3月東証1部市場に新規上場した。環境関連、医療関連、定温物流など、強みを持つ10分野を中心に構内作業・流通加工・輸送などを組み合わせた総合ソリューションを提供している。   中期経営計画では、基軸分野として鉄鋼関連と食品関連、次世代中核事業分野として医療関連、ファッション&アパレル関連、空港関連、定温物流関連を強化する方針を打ち出し、目標数値として18年3月期売上高3000億円、営業利益150億円、ROE8.7%、そして創業140周年の21年3月期売上高3500億円、営業利益200億円、ROE9.6%を掲げている。   14年5月には九州産交運輸を子会社化した。九州産交運輸の持つ医薬品輸送の技術および実績と、当社の院内物流や医療機器物流を組み合わせて、重点分野の医療関連事業を強化する。   海外は米州、中南米、そしてアジアでは中国、インド、バングラディシュ、メコン・ベンガル地域(ベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジア)での拠点整備を加速している。14年3月のメキシコ現地法人設立、14年4月のタイ合弁会社設立完了で、グループの海外拠点は31拠点(海外法人23社、駐在員事務所8事務所)となった。   14年4月には子会社コウノイケ・シッピングと共同で、ベトナムの冷凍冷蔵倉庫事業会社Anpha-AG社の全株式を取得し、子会社化(株式取得は関係当局の許認可等を前提として5月~6月の予定)すると発表した。成長市場であるベトナムでの事業展開を加速させる。   5月9日に発表した前期(14年3月期)の連結業績は、売上高が前々期比1.6%増の2315億04百万円、営業利益が同3.3%増の79億38百万円、経常利益が同6.2%増の80億09百万円、純利益が同9.8%増の43億69百万円だった。売上高・各利益とも計画を上回った。配当予想は同15円増配の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)とした。   セグメント別の動向を見ると、複合ソリューション事業は売上高が同0.5%増の1482億99百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同3.7%増の107億90百万円だった。鉄鋼関連で顧客の合理化施策の影響を受けたが、食品関連の飲料等製造請負業務や配送センター業務、医療関連の構内物流業務や院内物流業務などが伸長した。   国内物流事業は売上高が同1.3%増の514億72百万円、営業利益が同25.2%減の10億38百万円だった。オフィス用品配送業務、コンビニ・小売店向け冷凍・冷蔵食品取扱業務などが好調だったが、13年5月に竣工したアパレル流通センターでの新規業務開始遅れや燃料価格高騰の影響で減益だった。国際物流事業は売上高が同8.0%増の317億31百万円、営業利益が同30.6%増の13億03百万円だった。米国やベトナムでの大型製造設備輸送業務の獲得なども寄与した。   今期(15年3月期)連結業績見通しは売上高が前期比5.3%増の2437億円、営業利益が同20.9%増の96億円、経常利益が同17.4%増の94億円、純利益が同23.6%増の54億円としている。配当予想は同15円増配の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)とした。   国内景気回復に伴って物流需要は高水準であり、鉄鋼関連分野での新拠点の取扱量増加や国内輸送ネットワークの強化、食品関連分野での新拠点開設による物流ネットワーク再構築や配送業務の拡大、M&Aや業務提携による医療関連分野やアパレル関連分野の伸長、そして海外展開などが寄与する。利益面では、車両・ドライバー不足による外注費の増加、燃料価格の高止まりなどの不透明要因があるが、業務効率向上によるコスト削減効果なども寄与して増益の見込みだ。   株価の動きを見ると、2月の安値圏1300円台から反発後は、中段保ち合いを経て足元では1700円台まで上伸している。5月29日には1769円を付けて、IPO直後の13年3月高値1778円に接近する場面があった。今期増収増益見通しを評価する動きだろう。   5月29日の終値1733円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS189円81銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2578円55銭で算出)は0.7倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となった。指標面の割安感も支援材料として上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
総合物流の鴻池運輸<9025>(東1)の株価は水準を切り上げて、IPO直後の13年3月高値に接近している。
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2014-05-30 09:30