イーピーエス、中国事業は「日中つなぐヘルスケア分野の専門商社」

 医薬品・医療機器の開発支援サービスを行うイーピーエス <4282> の代表取締役会長の厳浩氏は、中国での事業展開について「日中をつなぐヘルスケア事業における専門商社」と位置づけている。2014年5月29日に中国事業説明会を開催し、「中国で行っている益新(中国)の事業はEPSグループの中で、きわめて異質な事業」と紹介した。  厳氏は、同社が益新事業を展開している理由を「日本の大手製薬企業は新興国で成長をめざし始めているが、日本のメーカーは、中国での経験がない。私自身が中国出身で、中国国内でのネットワークを持っているEPSが役立つことがある」と語っている。中国において、医療機器・医薬品事業も展開しているが、それらは、「日本のメーカーをサポートする目的で展開しており、日本の医薬品・医療機器メーカーと競合するものではない」という。  中国で進む「3億人の農村人口の都市化」などの政策は、今後、中国国内におけるヘルスケア産業の成長の基礎になる。「さらに、中国の高齢化、および、少子化によって、すでに始まっている介護問題は、中国が長期的に取り組んでいかなければならない課題になる」(厳氏)。このような中国の事情に対し、「日本のヘルスケア産業の技術的な優位は大きい。しかも、そのほとんどが中国市場で生かされていないため、今後、中国国内で大きく伸びる可能性がある」と見通している。  そこで益新(中国)がめざしているのが、「協業や出資など、専門商社の手法を使った事業展開」。「これまでも、日本の医薬品メーカー等から中国国内での工場建設、販売・合弁相手などの獲得で、アドバイスを求められるケースは少なくなかった」というが、これらの分野についてはコンサルタントとしてフィーを求める事業として展開。さらに、踏み込んで、日本メーカーが中国国内に進出する際に、「協業」「マイナー出資」「メジャー出資」などを行うことによって、「製造・販売のプラットフォームを提供するような事業展開をイメージしている」という。  益新(中国)有限公司は、EPSが100%出資する子会社。董事長を厳氏が務める。江蘇省蘇州市に6000坪の本社ビルを構えている。この益新(中国)を中国の現地ホールディングカンパニーと位置づけ、中国国内での事業を統括している。  益新(中国)の事業は、医療機器事業、医薬品事業、周辺サポート事業の3分野。医療機器事業では、販売会社「益通(蘇州)」(EPSグループが55%出資)は、中国の沿岸部と西部に10拠点を持ち、X線機器の販売やフィルムを取り扱っている。売上規模は約30億円。  そして、中国における医療機器製造を手掛ける工場「益通(南通)」(EPSグループ100%出資)を2014年中にも設立予定。工場用地は1万坪を確保しているという。新工場では、日本医療機器メーカーのOEM製造、また、X線機器の自社ブランド製品の製造を計画している。  さらに、中国においては、マイナー出資をした関連会社において、創薬、ジェネリック医薬品の製造・販売、オンライン健康情報サービスなどを進めている他、ITサポートや学校ビジネスなども展望している。  厳氏はこのような中国における事業について「イニシエーション(通過儀礼)は終わった」と語っている。既に約50億円規模の投資を重ねてきたというが、今後はEPS本体から中国事業への投資は行わない。中国ビジネスで必要な資金は、中国の現地法人による資金調達を行っていくとしている。そして、「現在、益新(中国)の事業計画について策定中。9月には全体の事業計画をまとめて公表したい」と語った。(取材・編集担当:徳永浩)
イーピーエスの代表取締役会長の厳浩氏は、中国での事業展開について「日中をつなぐヘルスケア事業における専門商社」と位置づけている。2014年5月29日に中国事業説明会を開催し、「中国で行っている益新(中国)の事業はEPSグループの中で、きわめて異質な事業」と紹介した。
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2014-05-30 12:30