ファルテック、海外とNo.1商品の拡大で3カ年連続2ケタ増益計画

 ファルテック <7215> は2014年5月30日、東京・兜町で2013年度決算についてアナリスト向けの説明会を開催した。同社2013年度決算は5月14日に発表され、売上高は774億円(前年同期比7.5%増)、経常利益35億円(同11.3%増)と増収増益。同社代表取締役社長の戸井田和彦氏は、「経常利益は2004年4月にファルテックが合併発足して以来の最高益になった。引き続きコンバージョン(電装品と樹脂成形品との融合・新加飾)など、当社独自の提案商品の比率を高め、利益率の向上を図っていきたい」と、14年度を初年度とする3カ年中計で着実な成長をめざしていく姿勢を強調した。  同社はリーマンショックの影響で経常赤字に陥った2009年度に足踏みをした関係で、同業他社に遅れていた海外展開を急速に進展させている。2013年度決算での増収要因は、北米や中国の工場が稼働率を高めたことが大きい。54億円の増収のうち、北米で16億円、中国で24億円を積み上げた。経常利益面でも北米と中国の押し上げ効果が大きかった。ここ結果、売上高に占める海外比率は2012年度の15.7%から、13年度は20.7%に向上している。  2014年度の業績見通しは、売上高800億円(前年同期比3.4%増)、経常利益40億円(同14.2%増)としている。地域別には、引き続き北米と中国の伸びに支えられ、特に中国・佛山の工場が13年度下期からフル稼働状態になっている効果が、通年で寄与することが収益を押し上げる要因としている。  また、国内事業においては、「コンバージョン」「ルーフレール」「ウインドウモール」「電装品」などNo.1シェア商品の拡販に注力。これら4商品の連結売上比率を2013年度13%から、14年度は19%に引き上げることなどによって利益率の向上を図っていく。  一方、2014年度を起点とする3カ年中期経営計画では、「グローバル事業の伸展」、「売上収益構造変革」、「コスト構造変革」の徹底によって、着実に売上増と利益率の向上をめざすとしている。2016年度の目標は、売上高900億円、経常利益63億円を掲げており、経常利益率は2013年度実績の4.5%から16年度には7.0%に高めるとしている。  グローバル事業については、2014年度に中国・湖北省の工場とタイの工場が稼働開始。13年度に本格稼働した中国・広東省の佛山工場やアメリカ・ジョージア工場などの寄与によって、16年度には連結での海外売上高比率を33%にまで拡大させる計画。  また、売上収益構造変革では、「コンバージョン」などNo.1商品の売上高に占める比率を16年度には26%程度に高める計画。加えて、13年度に世界初で実現した「青黒三価めっき」など開発商品の開発スピードをアップするなど、高付加価値商品の比率を高める計画。  さらに、コスト構造変革では、「スペース半分、リードタイム半分」を掲げる「FALTEC DASH 1/2」活動によるコスト削減。また、グローバル最適調達の強化などによって経常利益率の向上をめざす。この結果、向こう3カ年の経常利益は、14年度40億円(前年比14.2%増)、15年度50億円(同25%増)、16年度63億円(同26%増)と2ケタ増益を連続して重ねる計画になっている。  戸井田氏は、「日産自動車主体の部品メーカーから、現在ではほとんどの国内完成車メーカーから受注し、しかも、それが拡大する方向にある」という。しかも、同社の強みが活かされる「コンバージョン」については、完成車メーカーからの引き合いも強く、「企画力・デザイン力を発揮して積極的な提案営業を重ねたい」と手応えの強さを語っている。5月29日には「1株→3株の株式分配」と株主優待制度の創設も発表し、株主数の増大にもつなげていきたいとした。(取材・編集担当:徳永浩)
ファルテック代表取締役社長の戸井田和彦氏は、「コンバージョン(電装品と樹脂成形品との融合・新加飾)など、当社独自の提案商品の比率を高め、利益率の向上を図っていきたい」と3カ年中計で着実な成長をめざしていく姿勢を強調した。
japan,company
2014-05-30 16:30