翻訳センターは強基調に転換の可能性、中期成長力を評価

  国内最大規模の翻訳会社である翻訳センター <2483> (JQS)の株価は軟調展開が続いたが、足元では5月安値から切り返しの動きを強めている。5月安値で底打ちして強基調に転換した可能性があり、今期(15年3月期)の大幅増収増益見通しや中期成長力を評価して出直り展開だろう。   特許・医薬・工業(IT関連)・法務・金融分野を中心として企業向け翻訳サービス事業を展開している。企業の知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、ディスクロージャー関連など翻訳サービス需要は拡大基調であり、M&Aも活用して業容を拡大している。   12年9月には通訳・翻訳・国際会議運営のアイ・エス・エス(ISS)を連結子会社化した。ISSは国際会議運営の実績が豊富であり、20年東京夏季五輪開催に向けて通訳や国際会議の需要増加が予想され、収益寄与本格化が期待される。また13年6月にはアイタスから、IT関連のローカライゼーション/マニュアル翻訳事業の一部を譲り受けた。   5月14日に発表した前期(14年3月期)の連結業績(2月6日に減額修正)は、売上高が前々期比20.6%増の87億72百万円と大幅増収だったが、営業利益が同13.8%減の3億64百万円、経常利益が同14.8%減の3億59百万円、純利益が同18.7%減の1億79百万円と減益だった。配当予想は13年4月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前々期と同額の年間45円(期末一括)とした。   売上面では翻訳事業の医薬分野、金融・法務分野、およびISSグループが好調に推移して大幅増収だったが、利益面では翻訳事業の人員増加、東京本部の移転費用などの影響で減益だった。   セグメント別売上高を見ると、翻訳事業は同6.0%増の61億55百万円だった。特許分野は企業の知的財産権関連部署における取引拡大などが奏功して同1.7%増の17億13百万円、医薬分野は新たなメガファーマとの契約獲得などで同11.0%増の21億13百万円、工業分野はウェブサイト関連の大型案件獲得などで同3.3%増の17億99百万円、金融・法務分野は営業活動強化策が奏功して外資系金融機関からの受注増加などで同11.9%増の5億29百万円だった。   派遣事業はIT情報通信関連企業や各種金融機関などへの通訳者・翻訳者派遣が好調に推移して同57.2%増の13億48百万円だった。通訳事業は大手通信関連企業や製薬会社などからの受注が増加して同2.2倍の5億84百万円だった。語学教育事業は通訳者・翻訳者育成レギュラーコースの受講申し込みが想定以上となり同91.3%増の2億08百万円だった。その他事業は第5回アフリカ開発会議の全体運営担当などISSのコンベンション事業が寄与して同2.0倍の4億75百万円だった。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは売上高が前期比7.1%増の94億円、営業利益が同31.7%増の4億80百万円、経常利益が同33.3%増の4億80百万円、純利益が同50.8%増の2億70百万円としている。配当予想は同3円増配の年間48円(期末一括)とした。   翻訳事業の特許分野では企業の知的財産関連部署への拡販、医薬分野では主要ターゲットであるメガファーマへの深耕、工業分野では主軸の自動車関連企業からの受注拡大、金融・法務分野ではIR関連資料の制作体制強化など、積極的な営業展開の効果を見込み、派遣事業、通訳事業なども好調に推移する見込みだ。増収効果で人件費増加などを吸収して営業損益が大幅に改善する。翻訳サービス需要は中期的に拡大基調であり、20年東京夏季五輪に向けて通訳関連の需要拡大も期待されるだろう。   株価の動きを見ると、1月の戻り高値5790円から反落後は地合い悪化、前期業績見通し減額修正、株式売出しなどが影響して軟調展開が続いた。しかし5月21日に付けた安値2810円から切り返しの動きを強めている。5月30日には3275円まで戻す場面があった。5月安値で底打ちした可能性があるだろう。   5月30日の終値3210円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS160円28銭で算出)は20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1536円34銭で算出)は2.1倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破し、週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。5月安値で底打ちして強基調に転換した可能性があり、今期の大幅増収増益見通しや中期成長力を評価して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
国内最大規模の翻訳会社である翻訳センター<2483>(JQS)の株価は軟調展開が続いたが、足元では5月安値から切り返しの動きを強めている。
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2014-06-02 07:15