サンコーテクノは調整一巡し高値更新、収益拡大基調で上値追い

  アンカー大手のサンコーテクノ <3435> (JQS)の株価は5月30日に2580円まで上伸し、4月2日に付けた2550円を突破して高値を更新した。短期的な自律調整が一巡した形だ。今期(15年3月期)利益横ばいの会社予想は保守的であり、収益拡大基調を評価して上値追いの展開だろう。   ファスニング事業(あと施工アンカー、アンカー打込み機など)、リニューアル事業(FRPシート、太陽光発電関連など)、センサー事業(アルコール測定器など)を展開している。あと施工アンカーはコンクリート用の特殊ネジ・釘類であり、震災復興関連工事、都市再開発工事、耐震補強関連工事、老朽化インフラ補修・更新関連工事などの増加が追い風となる。太陽光発電関連商材もメガソーラーの増加が追い風であり中期的に事業環境は良好だ。   5月14日に発表した前期(14年3月期)連結業績(5月8日に3回目の増額)は、売上高が前々期比13.9%増の172億09百万円、営業利益が同74.5%増の15億13百万円、経常利益が同75.1%増の14億72百万円、純利益が同2.1倍の9億10百万円だった。   配当予想については5月8日に、普通配当を前回予想の20円から25円に増額する修正を発表し、13年10月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に同10円増配となる年間30円(期末一括)(普通配当25円+50周年記念配当5円)とした。   大幅増収増益で売上高と経常利益は創業以来の最高を達成した。ファスニング事業、リニューアル事業、センサー事業とも好調に推移し、原価低減効果も寄与した。利益率の高い新商品比率が16.6%となって前々期の12.1%から4.5ポイント上昇したことも利益押し上げ要因だった。   セグメント別の動向を見ると、ファスニング事業は売上高(内部取引等消去前)が同13.9%増の130億86百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同46.6%増の11億22百万円だった。都市圏を中心とする再開発事業や耐震化工事、社会インフラ維持保全需要の増加を追い風として、金属系・接着系あと施工アンカー、ドリルなどの施工関連ツール、引張確認試験機、電動油圧工具が好調に推移した。   リニューアル事業は売上高が同11.9%増の36億05百万円、営業利益が同99.6%増の3億60百万円だった。FRPシート関連はガソリンスタンドのタンク補修用の特需一巡で反動減だったが、太陽光発電関連工事・商材がメガソーラー向けやハウスメーカー向けに好調だった。センサー事業は売上高が同24.8%増の6億47百万円、営業利益が22百万円(前々期は95百万円の赤字)で黒字化した。電子基板関連の試験機が好調に推移し、アルコール測定器も堅調だった。   今期(15年3月期)の連結業績見通しについては売上高が前期比4.6%増の180億円、営業利益が同0.4%増の15億20百万円、経常利益が同0.5%増の14億80百万円、純利益が同4.4%増の9億50百万円としている。配当予想は記念配当5円を落として同5円減配の年間25円(期末一括)とした。   セグメント別の計画は、ファスニング事業の売上高が同5.1%増の137億57百万円、営業利益が同4.7%増の11億76百万円、リニューアル事業の売上高が同2.6%増の37億円、営業利益が同11.7%減の3億18百万円、センサー事業の売上高が同16.7%増の7億56百万円、営業利益が同17.4%増の27百万円としている。   需要は高水準だがゼネコンにおける人手不足や工事遅れの影響、リニューアル事業における工事原価の上昇、50周年記念イベントに伴う販管費の増加、給与水準引き上げに伴う人件費の増加、設備投資の増加などを考慮して、利益は前期比横ばいの計画だ。しかし会社予想には保守的な印象が強く、上振れ余地があるだろう。国土強靭化計画や20年東京夏季五輪など事業環境は良好であり、新製品の開発・拡販、さらに海外展開の本格化も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。   株価の動きを見ると、4月2日の2550円から利益確定売りなどで上げ一服となり、高値圏でモミ合う展開だったが、5月30日に2580円まで上伸して高値を更新した。自律調整が一巡し、13年夏の1200円近辺を起点とする長期上昇トレンドを継続している。   5月30日の終値2588円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円45銭で算出)は11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1999円86銭で算出)は1.3倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して短期モミ合いから上放れた。サポートラインを確認した形であり、上昇トレンドを継続して上値追いの流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
アンカー大手のサンコーテクノ<3435>(JQS)の株価は5月30日に2580円まで上伸し、4月2日に付けた2550円を突破して高値を更新した。
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2014-06-02 09:15