安藤証券、日本代表選手を応援する欧州リートファンドを募集開始

 安藤証券は2014年6月2日から、日本代表候補選手を応援する投資信託「トリプルインカム 欧州リートファンド<愛称:全日本スポーツ応援ファンド>」の募集を開始した。同ファンドの募集によって得られる販売手数料(信託報酬)の半分を上限に、世界で戦うスポーツの全日本代表選手(チーム)の強化、同コーチのサポート、そして、将来の日本のスポーツ競技を担う子供たちの育成を目的にスポーツ団体等に寄付をする。同ファンドは7月1日に設定する。  同ファンドの設定・運用に当たるのは、安藤証券の子会社であるカレラアセットマネジメント(本社:東京・日本橋兜町)。カレラアセットマネジメントの運用部長である児嶋竜三氏(写真)に、新ファンドの仕組みと魅力について聞いた。 ――「全日本スポーツ応援ファンド」による日本代表選手を応援する仕組みは?  スポーツを応援するための寄付の仕組みは、ファンドの販売会社の意向によって実施されます。当社で運用しているファンドでは、2013年2月に設定した「カレラ Jリートファンド」で、主に販売会社である安藤証券が、信託報酬の一部を日本テニス協会に寄付するというスキームを採用し、年数千万円を日本代表チームの遠征費などに活用していただいているという実績があります。  今回の「全日本スポーツ応援ファンド」は、テニスに限らず、幅広く日本代表選手を支援する仕組みを取り入れました。今後、販売会社が増えた場合も、販売会社の意向によって同様の寄付スキームが利用できるようにしています。  ファンドの販売手数料は申し込み金額の3.0%(税抜)を上限とし、換金時には基準価額の0.3%を信託財産留保額として控除します。また、運用にかかわる実質的な費用(信託報酬)は、ファンドの純資産総額に対して、概算で年2.1%程度(税込)です。寄付金は、この信託報酬の中から販売会社が得る金額の一部を充てるものです。信託報酬は、ファンドの残高に応じて毎年、支払うものですから、ファンドを保有していただくことで、中長期間にわたってスポーツの育成を支援していくことができます。 ――新ファンドは、欧州のリートに投資する仕組みですが、なぜ、この時期に「欧州のリート」を取り上げたのですか?  欧州のリートは、高い付加価値のある資産であると考えています。まず、欧州が世界最大の域内ブロック経済圏として相対的に魅力的な市場であること。また、リートは実質的にユーロ建て換算で投資するのですが、この通貨としてのユーロにも上昇期待が持てる魅力的な資産であると考えています。  ユーロ経済圏は、2008年のリーマンショック、そして、南欧危機という2度の危機によって先進国の中でも回復が遅れていました。2014年4月に欧州で最大の高債務国であるギリシャが国債発行市場に復帰するなど、ユーロ危機の終息から、景気の底打ち、反転が感じられる動きになっています。  ユーロ危機の終焉によって、EU加盟へのメリットの見直しも始まり、トルコやマケドニア、セルビアなどの新規加盟に向けた動きが再始動するなど、再びEU拡大が話題となり、共通通貨ユーロについても再評価されるようになってきました。これらの動きが、グローバルマネーの欧州への資金還流にもつながっています。  そして、欧州リートの現状を調べると、ユーロ危機の影響などによって米国リートなどと比較して、依然として割安な水準にあることがわかります。リート価格は、米国リートやJリート(日本のリート)に比べてリーマンショック後の戻りが鈍く、遅行しています。また、各国のリートの予想PBR(株価純資産倍率)は、欧州リートは依然として1倍程度で推移するなど、この点でも割安になっています。  さらに、欧州においてはリート市場の創設が比較的新しく、リートそのものに成長の期待があります。世界のリート市場を国別にみると、1960年に市場ができたアメリカが規模1位、オーストラリア(1971年開始)が2位、フランスは2003年に市場ができて第3位。2000年に始まった日本が4位。5位のイギリスは2007年に市場ができたばかりです。このフランスやイギリスのリートが、新ファンドで投資する主要な銘柄になります。 ――ファンドの正式名称は、「トリプルインカム 欧州リートファンド」ですが、「トリプルインカム」とは?  3つのインカム(利子・配当による収入)を狙っています。ひとつは、リートに投資することによるリートからの配当金収入です。欧州リートは、商業施設に投資するリートが主流ですが、リートは投資した不動産から得る賃貸収入を配当金として投資家に分配します。今回のファンドでは、欧州リートに直接投資して、その配当金収入を得ます。  2つ目は、投資した個別リートのコールオプション(買う権利)を売ることによって、オプションプレミアムを安定したインカム収入として得ます。コールオプションを売るのですから、リートの一定水準以上の値上がり益をあきらめることになります。半面でリートが値下がりした場合には、オプションプレミアムの分だけ値下がり損を回避することができます。また、コールオプションの売却は、全体のリートへの投資額の概ね50%以下にとどめています。ですから、ファンドではリートの上昇分の半分程度のキャピタルゲイン(値上がり益)を獲得することができます。  3つ目は、通貨ユーロのコールオプションを売ることで、オプションプレミアムを獲得します。通貨オプションの売りも、同様にユーロの対円上昇分の半分程度を獲得するため、 上限を概ね50%以下に設定しています。このように、3つのインカムを安定的に得ることによって、ファンドとして安定的な分配金を出していくことができます。  当ファンドは、ファンド・オブ・ファンズ方式で、欧州リートへの投資、また、オプション戦略について、主にドイツ銀行グループが担当します。分配は3カ月ごと(3月・6月・9月・12月)に実施する予定ですが、通貨オプションから得られるインカム収入に基づいて安定的な分配を実施する計画です。 ――ファンドのリスクは?  投資リスクは、欧州リートの価格変動のリスクがあります。コールップションの売り戦略を概ね50%以下にとどめていることからも、ファンドとしては欧州リートや通貨ユーロの値上がりを狙っています。ですから、欧州リートやユーロが値下がりする場面では、ファンドの基準価額はマイナス方向に動きます。  また、基本的にファンドのインカム収入を増やし、運用成果を安定化させる目的で利用するのですが、コールオプションを使った取引を行うため、オプション取引に伴うリスクなどもファンドのリスクに加わります。ファンドの購入をご検討いただく際には、ファンドの仕組みについて、十分にご理解いただいて、投資をご判断いただきたいと思います。(取材・編集担当:徳永浩)
安藤証券は2014年6月2日から、日本代表候補選手を応援する投資信託「トリプルインカム 欧州リートファンド<愛称:全日本スポーツ応援ファンド>」の募集を開始した。(写真は、「全日本スポーツ応援ファンド」を運用するカレラアセットマネジメントの運用部長、児嶋竜三氏。サーチナ撮影)
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2014-06-02 11:45