カルビー、「フルグラ」急成長を背景に朝食分野を事業の柱に育成

 カルビー <2229> は2014年6月2日、東京・大手町のパレスホテル東京で次期シリアル事業戦略発表・兼・出版発表会を開催した。同社代表取締役会長兼CEOの松本晃氏は、「スナック菓子に続く2本目の柱として“朝食ビジネス”に取り組みたい。急成長をしている『フルグラ』を中心に朝食についての新しい提案を行い、朝食に革命を起こしたい」と語った。(写真は、左からカルビーCEOの松本晃氏、同フルグラ部部長の藤原かおり氏、デンソー女子陸上長距離部監督の若松誠氏、カルビーCOOの伊藤秀二氏。サーチナ撮影)  松本氏は、「現在、朝食の王様といえるトーストから、朝食のシェアを5%ポイントほど譲ってもらうだけで、シリアルの市場は2013年度の340億円が、900億円程度に膨らむことが計算できる。シリアル業界全体で朝食革命をアピールし、その市場の中で過半数を占めるブランドとしてカルビーのシリアル製品を育成していきたい」と目標を掲げる。  「フルグラ」の特徴として、「食パンの約3倍に相当する食物繊維を含む」「1食あたり食塩が0.1g程度しか含まないという低塩分」「毎日食べても飽きない美味しさ」を挙げる。そして、「短い時間で手軽に食べられるため、朝の忙しい時間でも、続けることができる」と、「フルグラ」朝食のメリットを伝えていきたいとした。  また、同社代表取締役社長兼COOの伊藤秀二氏は、「かっぱえびせん」「ポテトチップス」「じゃがりこ」「堅あげポテト」「じゃがビー」などと並んで、年商100億円超えに迫っている「フルグラ」の近年の急成長に着目。「13年度に単品で95億円を売上げた『フルグラ』の生産能力は2014年2月の工場増設によって5割増しになった」と2014年度には130億円程度の売り上げに成長すると見通している。  2013年度の日本のシリアル市場約340億円の内訳は、グラノーラが43%で、コンフレークは33%。長年トップシェアだったコーンフレークをグラノーラが逆転している。そのグラノーラのNo.1商品が「フルグラ」。カルビーのシリアル商品は、容量ベースで2013年度に33%を占め、市場第1位に至ったとした。また、「フルグラ」の売上は2013年度に51%増となり、カルビーの中でも、もっとも高い成長率を示している。  伊藤氏は、2011年以降に急成長を遂げた「フルグラ」について、「認知度は依然として低く、その成長余力は大きい。お客様との接点を増やし、カルビーのシリアルを“ニッポンの国民食”といわれるほどに発展させたい」と意欲を示している。「シリアルは味やカロリー量の他、機能に着目した開発など、様々な切り口で製品化が可能。コンビニエンスストア向けに昨年テスト販売して好評だった『フルグラ ビッツ』など、小容量のパッケージなどサイジングの研究もしたい」と、商品ラインナップを積極的に拡充する計画だ。  一方、朝食ビジネスに注力する一環で、6月17日には「朝食・朝メシ・朝ごはん」という書籍を全国発売する。朝食にまつわる21の物語を集めた本で、「朝の食事の周りには、一日が幸福になるヒントがたくさんあります。出版を通じて朝食を見直すきっかけを提供したい」(フルグラ部部長の藤原かおり氏)という。来春には、第2弾を計画し、朝食に関する物語を全国に求めて巡る活動もスタートしているという。  この書籍にも登場しているデンソー女子陸上長距離部の監督、若松誠氏は、2013年12月に行われた第33回全日本実業団対抗女子駅伝で念願の初優勝を遂げることができた背景のひとつに、「フルグラ」を採り入れた朝食の効果があったと語った。「若い女性を鍛える上で、鉄分やミネラルなどは注意するが、それらを手軽に美味しく摂れるフルグラは便利。また、フルグラで豆乳ココットを作るなど、料理に活かして楽しく食べる工夫もしている。ただ栄養を吸収するだけではなく、食事を大切なコミュニケーションの手段として考える上でも、カロリーコントロールしながら手軽に美味しく食べられるフルグラは重宝」という。若松氏は、「全日本実業団駅伝での2連覇をめざします」と、力強く語っていた。(取材・編集担当:徳永浩)
カルビーは2014年6月2日、東京・大手町のパレスホテル東京で次期シリアル事業戦略発表・兼・出版発表会を開催した。(写真は、左からカルビーCEOの松本晃氏、同フルグラ部部長の藤原かおり氏、デンソー女子陸上長距離部監督の若松誠氏、カルビーCOOの伊藤秀二氏。サーチナ撮影)
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2014-06-02 16:30