DeNA、東大医科学研と連携し遺伝子検査などヘルスケア分野に参入

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は2014年6月3日、「DeNAライフサイエンス」を設立し、ヘルスケア分野に参入すると発表した。遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を7月下旬から提供開始する計画で、ヘルスビッグデータの解析や遺伝子情報を社会で実際に活用していくための規範等について、東京大学医科学研究所と共同で研究を進める。東大医科学研で共同研究に関する発表会を開催し、今後の展望について発表した。(写真は、左からDeNA取締役ファウンダーの南場智子氏、東京大学医科学研究所所長の清野宏氏、同ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野教授の宮野悟氏。サーチナ撮影)  東大医科学研とDeNAは、東京大学革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)の一環として、「ヘルスビッグデータを用いた健康長寿イノベーション」の分野で共同研究を行う。具体的には、「日本人ヘルスビッグデータ構築と利活用」、「科学的根拠に基づく、消費者直販型(DTC)遺伝子検査事業」で共同研究を進める。既に、2013年7月を起点に始まった連携は、「MYCODE」という遺伝子検査サービスを提供可能なレベルにまで達している。  東大医科学研の所長である清野宏氏は、「研究成果を社会に還元するにあたって、スピード感を持って取り組む姿勢が目覚ましく、インターネットサービスで消費者との接点を確立してきている」と、DeNAを提携相手に選んだ理由を語った。  DeNAの取締役ファウンダーである南場智子氏は、「DeNAとして将来の成長が期待できるコア事業として、リアルな巨大市場にインターネットを活かした構造改革を行って新たな産業を作っていくという考え方を示していたが、その巨大市場のひとつがヘルスケア分野。『MYCODE』で提供する遺伝子情報などを活かし、自身で健康をマネジメントしていくセルフメディケーションの時代を拓いていきたい」と新分野への期待を示した。  東大医科学研は、世界トップレベルの医学研究所であり、かつ、ゲノム解析のリーダーとして日本を代表するスーパーコンピュータを擁するなど、ヘルスビッグデータの解析には最適なパートナーと語っていた。  そして、この共同研究の成果を社会で実用化する部分を担うのが、「DeNAライフサイエンス」という新会社。解析対象になる遺伝情報は「究極の個人情報」といわれる情報だけに、「倫理的・法的・社会的課題に十分に配慮した取り扱いが必要になる」。  東大医科学研ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野教授の宮野悟氏は、「DNA情報は、その人と同じ“尊厳”を有します」と語る。そして、「ヘルスビッグデータ社会実装にあたってのELSI(Ethical,Legal and Social Issues)面での課題抽出と対処法の研究は重要な分野」という。その上で、共同研究成果として、「規範的な一般消費者向け遺伝子検査サービスの構築をめざす」という目標を掲げた。  DeNAが実施する「MYCODE」サービスで得られる一般消費者からのフィードバックは、共同研究に戻し、より社会で受け入れられやすいサービスへと内容のブラッシュアップにつなげていくとしている。  すでに、遺伝子検査サービスは先行するサービスがあるものの、「様々な課題があり、何が正しく、何が正しくないのか、その区分さえ明確ではない」(清野所長)という。それだけに、「科学的根拠とELSIに基づく情報提供モデルの確立」は遺伝子検査ビジネスの発展のためにも重要な要素と目されている。  DeNAヘルスサイエンスは、「MYCODE」のサービス内容について、インターネットで申し込みを受け付け、ネット上でレポートの開示や予防や健康向上のためのアドバイスコンテンツが閲覧できるサービスと述べるにとどめ、改めて発表する機会を設けるとした。(取材・編集担当:徳永浩)
ディー・エヌ・エー(DeNA)は2014年6月3日、「DeNAライフサイエンス」を設立し、ヘルスケア分野に参入すると発表した。(写真は、左からDeNA取締役ファウンダーの南場智子氏、東京大学医科学研究所所長の清野宏氏、同ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野教授の宮野悟氏。サーチナ撮影)
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2014-06-03 18:45