資生堂は売り一巡、収益改善基調を評価し3月高値試す
資生堂 <4911> の株価は、今期(15年3月期)営業減益見通しを嫌気する形で4月の戻り高値1900円から反落したが、5月の直近安値1667円から切り返しの動きとなった。失望売りが一巡して出直り展開のようだ。消費増税に伴う反動減は一時的要因であり、収益改善基調を評価して3月高値を試す展開だろう。
抜本的な収益構造改革および中期成長に向けて、12年度に「市場と同程度の売上成長でも着実に利益を拡大できる高収益構造」を目指す方向に軌道修正した。特に「日本、中国、米ベアエッセンシャル」の3領域を重点強化する方針を打ち出して、国内市場における事業の再構築、海外市場でのグローバルブランド育成を推進している。
13年12月時点でのグローバルブランド「SHISEIDO」の展開地域は世界89の国・地域(日本を含む)となった。また14年4月には、インドネシアのコングロマリットであるシナルマスグループ傘下のシナルマス・トゥンガルと合弁契約(合弁会社は14年7月営業開始予定)を締結した。
また13年7月に毛髪再生医療の早期実現に向けてカナダのレプリセル社の毛髪再生医療技術導入に関する技術提携契約を締結し、14年5月には毛髪再生医療の事業化に向けた研究開発の中核となる「資生堂細胞加工培養センター(SPEC、呼称スペック)」を神戸医療産業都市に開設した。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(4月25日公表)は売上高が前期比2.4%増の7800億円、営業利益が同15.4%減の420億円、経常利益が同18.3%減の420億円、純利益が同45.3%増の380億円としている。純利益は特別利益計上で大幅増益の見込みだ。4月30日に「カリタ」ブランドおよび「デクレオール」ブランドの仏ロレアル社への売却が完了したため、約225億01百万円の売却益を特別利益に計上する予定だ。
売上面では、国内の消費増税前駆け込み需要の反動減(販社売上ベースで前期駆け込みによる売上増約120億円に対して、今期反動による売上減約80億円を想定)や、海外の「カリタ」ブランドおよび「デクレオール」ブランドの仏ロレアル社への譲渡がマイナス要因となるが、欧米、中国、新興国などでの売上伸長や円安効果などで吸収して増収見込みだ。営業利益と経常利益については、成長に向けたマーケティングコスト強化や人件費増加で減益見込みとしている。
セグメント別売上高の計画は、国内化粧品事業が同1.6%減の3440億円、グローバル事業が同5.9%増の4260億円、その他事業が同1.1%減の100億円で、想定為替レートは1米ドル=100円、1ユーロ=135円、1中国人民元=16.5円としている。国内消費増税に伴う反動減は一時的要因であり、収益改善基調に変化はないだろう。
5月30日に発表した月次売上動向(国内・化粧品販売会社売上、前年比)を見ると、14年4月はプラス8%となった。3月の消費増税前駆け込み需要で小売店の店頭在庫が減少したため、4月に入って出荷が進み、すべての商品区分で前年を上回った。店頭売上は3月の消費増税前駆け込み需要の反動影響でカウンセリング化粧品、セルフ化粧品とも前年を大きく下回った。
なおグループ一体経営を推進するとともに、経営の透明性および質の向上を図るため、すべての連結子会社と決算期を統一して決算期を現在の「毎年3月31日」から「毎年12月31日」に変更する。この変更によって来期(15年12月期)が15年4月~12月の9カ月決算となる。
株価の動きを見ると、4月25日発表の今期営業減益見通しを嫌気する形で4月24日の戻り高値1900円から反落して調整局面だったが、5月22日と5月23日に付けた直近安値1667円から切り返しの動きとなった。5月29日には1762円まで戻す場面があった。今期営業減益見通しに対する失望売りが一巡して出直り展開のようだ。
6月3日の終値1726円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円34銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS849円42銭で算出)は2.0倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインとなって反発し、26週移動平均線回復の動きを強めている。短期調整が一巡して3月高値1911円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
資生堂<4911>(東1)の株価は、今期(15年3月期)営業減益見通しを嫌気する形で4月の戻り高値1900円から反落したが、5月の直近安値1667円から切り返しの動きとなった。
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2014-06-04 07:30