スターティアは切り返して底打ちの可能性、成長力を評価して出直り
電子書籍関連のスターティア <3393> の株価は、東証1部市場への市場変更を好感した3月高値2209円から反落して軟調展開だったが、5月安値1305円から切り返しの動きを強めている。5月安値で底打ちした可能性があり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。
電子ブック作成ソフト「ActiBook」を主力として、Webアプリケーション開発などのウェブソリューション関連事業、クラウドサービスなどのネットワークソリューション関連事業、OA機器・MFP(複合機)販売などのビジネスソリューション関連事業を展開している。大手と競合しない中堅・中小企業向けを中心にストック型収益の向上を推進し、アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。
5月23日には、電子ブックポータルサイト「ActiBooks(アクティブックス)」を、6月中を目途に開設すると発表した。電子ブック作成ソフト「ActiBook」で作成した電子カタログ・電子ブックを無料で掲載できるポータルサイトで、10万冊以上が公開される予定だ。
5月9日に発表した前期(14年3月期)連結業績(5月2日に増額)は売上高が前々期比23.0%増の81億67百万円、営業利益が同26.4%増の8億29百万円、経常利益が同30.6%増の8億56百万円、純利益が同10.5%増の4億32百万円だった。配当予想については東証1部市場変更記念配当を含めて年間15円(期末一括)(普通配当8円55銭+記念配当6円45銭)とした。前々期との比較で7円14銭の増配となる。
電子ブック作成ソフト「ActiBook」の好調に加えて、消費増税前駆け込み需要などで第4四半期(1~3月)にフロー商材の販売が想定以上に増加した。持分法適用関連会社アーバンプランの好調で、営業外収益での持分法投資損益が改善したことも寄与した。
セグメント別の動向を見ると、ウェブソリューション関連事業は売上高が同31.2%増の19億43百万円となり、営業利益(全社費用等調整前)が同95.2%増の3億23百万円だった。電子ブック作成ソフト「ActiBook」の機能拡張も寄与して、メインターゲットである印刷会社市場での増入企業数が増加した。
ネットワークソリューション関連事業はゲートウェイ関連商材やMFPの販売が好調に推移して、売上高が同17.2%増の21億60百万円だったが、ホスティングにおけるセキュリティ強化投資や、上海スターティアへの先行投資負担などで営業利益は同16.8%減の3億01百万円だった。ビジネスソリューション関連事業は、ビジネスホンなどの販売が第4四半期に大幅増加して、売上高が同22.6%増の40億63百万円、営業利益が同50.2%増の2億54百万円だった。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは、売上高が前期比13.2%増の92億48百万円、営業利益が同1.3%増の8億40百万円、経常利益が同1.2%増の8億66百万円、純利益が同0.2%増の4億33百万円としている。配当予想は記念配当6円45銭を落として年間8円55銭(期末一括)とした。
電子ブック作成ソフト「ActiBook」を中心に主力製品の販売が好調に推移して2桁増収だが、前期第4四半期の駆け込み需要の反動や、中期成長に向けた先行投資負担などで利益は微増益見通しとしている。ただし電子ブック作成ソフト「ActiBook」の好調を考慮すれば、利益面の上振れ余地があるだろう。
また5月9日には「14年度~15年度 2ヵ年経常利益計画」の策定を発表した。さらなる規模拡大と安定的な成長に向けて、ストック型売上の拡大にとどまらず、拠点展開・人員増、官公庁へのアプローチ、国内外での代理店開発、積極的なM&Aも含めた資本・業務提携を推進する。継続成長のための先行投資を初年度(15年3月期)前半から実施し、目標値として2ヵ年累計連結経常利益20億円(15年3月期8億66百万円、16年3月期11億34百万円)を掲げた。
株価の動き(14年2月28日付で東証マザーズ市場から東証1部市場へ市場変更)を見ると、東証1部市場変更を好感した3月7日高値2209円から反落後は水準を切り下げて軟調展開となった。5月9日発表の今期微増益見通しも失望感に繋がったようだ。ただし5月20日に付けた直近安値1305円から切り返しの展開となり、6月3日には1499円まで戻す場面があった。失望売りが一巡し、5月20日安値で底打ちした可能性があるだろう。
6月3日の終値1484円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円51銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円55銭で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS689円67銭で算出)は2.2倍近辺である。週足チャートで見ると5月安値で下ヒゲを付けて反発し、52週移動平均線突破の動きを強めている。5月安値で底打ちして出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
電子書籍関連のスターティア<3393>(東1)の株価は、東証1部市場への市場変更を好感した3月高値2209円から反落して軟調展開だったが、5月安値1305円から切り返しの動きを強めている。
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2014-06-04 09:15