【為替本日の注目点】ドル円上昇も頭を抑えられ、ユーロ圏CPI低下緩和観測強まる
NY市場
ドル円は堅調に推移。米長期金利がさらに上昇したことを受け、102円50銭を超えたが、水準的にもドル売りが集まりやすいと見られたところでもあり、102円55銭で上昇が抑えられた。
ユーロドルは反発。ユーロ圏のインフレ率が低下したが、ECBの追加緩和でもユーロを一段と押し下げるには不十分との見方が台頭。ユーロドルは欧州市場での1.35台後半から1.3648まで買われた。ユーロ円も約3週間振りに139円台後半に。
株式市場は小幅に反落。前日最高値を更新していたこともあり、ECBの政策発表前にポジション調整の売りが出た模様。ダウは21ドル下落し1万6722ドルに。
債券相場は4日続落し、長期金利は5月13日以来となる2.6%台に乗せる。投資家の間で、先週の相場上昇は行き過ぎだったとの見方が広がり、改めて債券を売り始めたとの報道も。
金価格は7日振りに反発したが上昇幅は僅か。原油も小幅に反発。
ドル/円 102.30 ~ 102.55
ユーロ/ドル 1.3619 ~ 1.3648
ユーロ/円 139.41 ~ 139.77
NYダウ -21.29 → 16,722.34ドル
GOLD +0.50 → 1,244.50ドル
WTI +0.19 → 102.66ドル
米10年国債 +0.071 → 2.598%
本日の注目イベント
豪 豪1-3月期GDP
欧 G7首脳会議(ブリュッセル)
欧 ユーロ圏1-3月期GDP(改定値)
欧 ユーロ圏5月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏5月サービス業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏4月生産者物価指数
英 英5月サービス業PMI
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 5月ADP雇用者数
米 4月貿易収支
米 5月ISM非製造業景況指数
これまで米長期金利の「謎の低下」で上値を抑えられてきたドル円は、その長期金利が反転し上昇に向かったことで素直にドル買いが優勢となり、NY市場では102円55銭までドル高が進行しました。今朝までの24時間を見ても、102円を割り込んでいないばかりか、102円30銭前後でサポートされていることも見て取れます。
この欄でも再三述べているように、足許のドル円は株価の動きよりも、長期金利の動きにより連動しています。昨日もNY株式市場が反落したにもかかわらず、ドル円は堅調に推移しました。それは米長期金利が大幅に上昇し、約3週間振りに2.6%台まで上昇したことが背景です。先週は一時2.41%台まで低下し、市場関係者が「謎の金利低下」とその理由を探すのに苦労をしましたが、将来の債券下落(金利上昇)を見込んだ売りポジションが、重要な節目の2.5%を割り込んだことで損出覚悟の買戻しが出たという説明が、どうやら説得力がありそうです。
株価が上昇していた中での、債券高はそう長く続く現象ではありません。JPモルガンチェースが顧客を対象に調査したデータでは、2日までの1週間の米国債投資家心理指数によると、ネットショート(売り持ち)は29ポイントで、その前の週は18ポイントだったことを示しています。(ブルームバーグ)おそらく現時点でのショートポジションは急激に減少していることと思われます。結局はポジションの巻き戻しが長期金利を2.41%台まで急低下させた可能性が高いということになります。
さて、ドル円は先週末の101円台後半からゆっくりとですが、着実に上昇してきました。日経平均株価も1万5000円台を回復し、底割れのリスクがやや後退していることも投資家心理を好転させています。日銀による「追加緩和」観測が後退している状況は変わりませんが、128兆円を運用するGPIFの運用方針変更もポジティブに捉えられています。
ドル円は102円55銭まで上昇して頭を抑えられた格好ですが、ここから上には「雲」があり、その上には「120日線」が控えています。102円70銭を明確に上抜けすることができれば、103円も見えてきそうですが、ここはこれまでの数ヶ月間、テストしては押し戻されてきただけに簡単には抜け切れないと見ています。それでもその水準から大幅な下落を見せなければ、ブレイクすることは想像に難くありません。
年末にかけてドル安を見込んでいる市場参加者も多くいます。そのため、103円前後では確実にドル売りも持ち込まれると思われます。それらのドル売りをこなして上昇できるかどうかがポイントになります。103円台半ばを超えることができれば、ドルの先安を予想している人たちも、相場観の変更を余儀なくされるのではないかと予想しています。
ユーロ圏の消費者物価指数が0.5%に低下したことで、明日のECB理事会での「追加緩和」の可能性がさらに強まりました。しかしユーロドルは売られ、ユーロは対円でも139円台後半までユーロ安が進んでいます。「ECBの追加緩和」がかなり織り込まれていることの証左です。
こうなると、景気刺激策は「あわせ技」になることが予想されますが、重要なのはその後のドラギ総裁のコメントです。さらに緩和策をとる用意があるなど、次の緩和に積極的な発言をするかどうかでユーロの水準が大きく変わることも予想されます。本日のレンジは102円10銭~102円80銭程度と予想します。東京タイムでは大きく売られることは考えにくいものの、103円を試すとも思えません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は堅調に推移。米長期金利がさらに上昇したことを受け、102円50銭を超えたが、水準的にもドル売りが集まりやすいと見られたところでもあり、102円55銭で上昇が抑えられた。
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2014-06-04 09:30