フライトＨＤは下値固め完了して出直りの動き本格化、収益改善基調を評価

　　システム開発や電子決済ソリューションのフライトホールディングス <3753> （東マ）の株価は、４月中旬～５月中旬の１０００円近辺でのモミ合いで下値固めが完了した。足元では１４００円台まで戻して強基調に転換したようだ。電子決済ソリューションが拡大して今期（１５年３月期）収益も改善基調であり、出直りの動きが本格化しそうだ。 　　フライトシステムコンサルティング（旧）が１３年１０月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更し、事業承継した子会社フライトシステムコンサルティング（新）が、システム開発などのコンサルティング＆ソリューション（Ｃ＆Ｓ）事業、電子決済ソリューションなどのサービス事業を展開している。 　　電子決済ソリューションの分野では、１３年４月に発表したスマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「Ｉｎｃｒｅｄｉｓｔ（インクレディスト）」の拡販とともに、スマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化している。専用アプリ「ペイメント・マスター」は暗証番号を使うＩＣ対応クレジットカード決済の時代に向けて、１０年９月に提供を開始した国内初のＢｔｏＢ向け決済ソリューションであり、特許出願中の機能も含めて大企業での管理に必要な機能を数多く搭載している。 　　５月１９日に発表した前期（１４年３月期）連結業績は売上高が１９億１１百万円、営業利益が１億７９百万円、経常利益が１億６５百万円、純利益が１億５２百万円だった。持株会社移行に伴う連結決算初年度のため単純比較はできないが、前期非連結との比較で見ると実質的に９１．８％増収となり、営業利益は３億１５百万円の増益、経常利益は３億４９百万円の増益、純利益は３億５７百万円の増益で、各利益とも黒字化した。計画を上回る大幅増収増益だった。なお第３四半期累計（４月～１２月）時点で、黒字化や新株予約権行使により、継続企業の前提に関する記載を解消している。 　　セグメント別に見ると、Ｃ＆Ｓ事業は売上高が２４．１％減の６億８８百万円、営業利益（全社費用等調整前）が６７．５％減の５４百万円だった。受注が計画を下回り、一部の人員をサービス事業の電子決済ソリューション開発にシフトしたことも影響した。サービス事業は売上高が１３．７倍の１２億２２百万円、営業利益が４億０６百万円増加の３億２２百万円で黒字化した。マルチ電子決済端末「インクレディスト」の大型案件が寄与した。 　　今期（１５年３月期）連結業績見通しは売上高が前期比９．９％増の２１億円、営業利益が同１１．６％増の２億円、経常利益が同８．６％増の１億８０百万円、純利益が同７．８％増の１億６４百万円としている。配当予想は無配継続とした。 　　Ｃ＆Ｓ事業は法人向けソリューションの提案に注力し、エンジニア採用を強化して、マイナンバー制関連など下期（１０月～３月）から稼動の案件に対応する。サービス事業はマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」の拡販、前期に納品した大型案件の継続受注および保守対応を推進する。特に「ペイメント・マスター」に関しては、他社ハードウェア向けライセンス供給拡大や、大手チェーンストア向けＩＣ対応ソリューションの大型商談が下期から売上寄与する見込みだ。 　　なお５月２０日に証券取引等監視委員会から、当社子会社のフライトシステムコンサルティングとの契約締結交渉者の社員に対して、金融商品取引法違反（インサイダー取引規制違反）の事案が認められたとして、内閣総理大臣および金融庁長官に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った旨の発表がなされたが、本事案は当社グループの社内関係者ではなく取引先社員による行為であり、当社グループは関与していないと発表している。 　　株価の動きを見ると、１月の戻り高値２７８０円から反落後は水準切り下げの展開が続いたが、４月中旬～５月中旬の１０００円近辺でのモミ合いで下値固めが完了した。今期連結業績見通しに対する目先的な売りで５月２０日に安値９１１円を付ける場面があったが、終値では１０７９円まで戻した。そして足元では１４００円台まで戻して出直りの動きを鮮明にしている。 　　６月４日の終値１４６０円を指標面で見ると、今期予想連結ＰＥＲ（会社予想の連結ＥＰＳ１７円３４銭で算出）は８４倍近辺、前期実績ＰＢＲ（前期実績の連結ＢＰＳ５９円０６銭で算出）は２５倍近辺である。日足チャートで見ると２５日移動平均線に続いて７５日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると１３週移動平均線を突破して２６週移動平均線に接近している。強基調に転換して出直りの動きが本格化しそうだ。（情報提供：日本インタビュ新聞社＝Ｍｅｄｉａ－ＩＲ）