朝日ラバーは反発の動き、低PBRも支援材料となって出直り

  車載照明用ゴム製品が主力の朝日ラバー <5162> (JQS)の株価は、5月13日発表の今期(15年3月期)減益見通しを嫌気して、モミ合い展開から下放れの形となった。ただし足元では売りが一巡して反発の動きを強めている。今期業績見通しに上振れ余地があり、低PBRも支援材料となって出直り展開だろう。   自動車内装照明関連などの工業用ゴム製品を主力として、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用ラバー)や医療・衛生用ゴム製品(点滴輸液バッグ用ゴム栓など)も展開している。シリコーンゴムをベースにした製品開発に強みを持ち、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」などを主力製品としている。   車載用「ASA COLOR LED」は従来の高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大している。また新製品・新規分野では、機能製品のRFIDタグ用ゴム製品の増産を進め、NEC <6701> のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体チップについては今期(15年3月期)に量産を開始する計画だ。   5月13日に発表した前期(14年3月期)の連結業績(2月12日に増額修正)は、売上高が前々期比18.5%増の56億77百万円、営業利益が同2.1倍の2億86百万円、経常利益が同2.1倍の2億96百万円、そして純利益が同2.1倍の1億60百万円だった。売上面では自動車関連の好調が牽引し、利益面では増収に伴う設備稼働率上昇や原価低減なども寄与した。配当予想は前々期と同額の年間8円(第2四半期末3円、期末5円)とした。   セグメント別に見ると、工業用ゴム事業は売上高が同19.0%増の45億14百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同50.4%増の4億44百万円だった。車載用「ASA COLOR LED」など自動車関連が大幅に増加した。卓球ラケット用ラバーは顧客側の在庫調整が一巡し、機能製品のRFIDタグ用ゴム製品も大幅に増加した。   医療・衛生用ゴム事業は売上高が同16.8%増の11億62百万円、営業利益が同2.0%減の82百万円だった。売上面では顧客側の在庫調整の一巡や、新製品プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットの量産化も寄与して増収だったが、新製品の量産立ち上げ費用、マイクロ流体チップ試作開発・量産準備費用などで減益だった。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは売上高が前期比0.4%増の57億円、営業利益が同9.1%減の2億60百万円、経常利益が同25.7%減の2億20百万円、純利益が同6.8%減の1億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間8円(第2四半期末3円、期末5円)とした。   売上面では主力製品の販売数量が増加するが、自動車関連製品の販売単価下落で微増収を見込み、さらに利益面では減価償却費の増加などで減益見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れ余地があるだろう。   5月13日に第11次3ヵ年中期経営計画(V-1計画)を発表した。20年3月期を見据えたビジョンを「AR-2020VISION」として、前半の3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半の3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」とした。   中期経営方針を、既存事業の質・量の継続的成長(国内事業は質的成長、海外事業は量的成長)、新市場・新分野への事業展開、20年に向けた事業基盤の強化・整備として、第1ステージ「V-1計画」の目標数値に17年3月期売上高80億円(自動車関連37億円、医療関連13億円、ライフサイエンス関連16億50百万円、その他13億50百万円)、営業利益8億円を掲げた。設備投資計画は3期累計で24億50百万円とした。   株価の動きを見ると、4月以降は380円~400円近辺でモミ合う展開だったが、5月13日発表の今期減益見通しを嫌気する形でモミ合いから下放れて、5月20日に333円まで調整する場面があった。ただし足元では350円~360円近辺まで戻している。今期減益見通しを嫌気した売りが一巡して反発態勢のようだ。   6月4日の終値350円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS32円98銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS705円77銭で算出)は0.5倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線近辺で下ヒゲを付けて反発の動きを強めている。サポートラインを確認した形であり、低PBRも支援材料となって出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
車載照明用ゴム製品が主力の朝日ラバー<5162>(JQS)の株価は、5月13日発表の今期(15年3月期)減益見通しを嫌気して、モミ合い展開から下放れの形となった。
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2014-06-05 09:15