立花エレテックは5月安値から切り返し、低PERや低PBRも支援材料として出直り
電機・電子技術商社の立花エレテック <8159> の株価は、4月の戻り高値圏1400円近辺から急反落して5月安値1140円まで調整したが、足元では1200円台に切り返している。調整が一巡して強基調に回帰の形であり、低PERや低PBRも支援材料として出直り展開だろう。
FAシステム事業、半導体デバイス事業を主力として、施設事業、産業デバイスコンポーネント事業(情報通信事業から名称変更)、その他事業(ソリューション事業とMS事業)を展開している。MS(マニュファクチャリング・サービス)事業は13年4月、金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合して新設した。技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、徹底した営業力強化と体質改善推進などを中期的な重点戦略としている。
また積極的なM&A戦略で業容を拡大している。10年にはFA機器専門商社の大電社を完全子会社化、12年6月には関東圏を地盤とするFA機器専門商社の高木商会と資本・業務提携、13年2月にはルネサスエレクトロニクス <6723> の販売子会社からコンポーネント事業と半導体製品再販事業の移管を受けて立花デバイスコンポーネントを設立した。
5月12日に発表した前期(14年3月期)連結業績(2月18日に2回目の増額修正)は売上高が前々期比14.6%増の1418億84百万円、営業利益が同53.0%増の43億67百万円、経常利益が同37.3%増の56億30百万円、純利益が同37.0%増の38億30百万円だった。主力のFAシステム事業や半導体デバイス事業が好調に推移し、2回目の増額修正値を上回る増収増益となった。各利益は過去最高を更新した。なお海外事業売上高は同33.8%増の260億59百万円と大幅に伸長した。
配当予想については5月12日に増額修正を発表した。前回予想に対して特別配当1円を増額して、年間23円(第2四半期末10円、期末13円)(期末13円=普通配当12円+特別配当1円)とした。前々期との比較では3円増配となる。
セグメント別動向を見ると、FAシステム事業は売上高が同16.6%増の667億58百万円、営業利益が同34.7%増の25億74百万円だった。自動車関連・太陽光関連・LED照明関連業界が活況で、プログラマブルコントローラーやインバーターなどの主力FA機器が伸長した。産業機械分野では海外で家電メーカー向け放電加工機の大口案件も寄与した。
半導体デバイス事業は売上高が同16.3%増の518億42百万円、営業利益が同83.6%増の13億59百万円だった。民生分野のマイコンが減少したが、OA機器向け電子デバイスが好調に推移し、立花デバイスコンポーネントの通期連結も寄与した。施設事業は売上高が同4.5%増の131億45百万円、営業利益が同3.8%増の2億84百万円だった。ビル用マルチエアコンが政府の補助金終了で低調だったが、ルームエアコン、エレベーター、受配電設備、LED照明、太陽光発電設備などが好調だった。
情報通信事業は売上高が同14.3%減の54億17百万円だったが、営業利益は86百万円の黒字(前々期は73百万円の赤字)に改善した。コンピュータ関連機器が前期の大口案件の反動で減少したが、タッチパネルモニターや監視カメラが病院や銀行向けに好調だった。その他事業(ソリューション事業とMS事業)は売上高が同54.7%増の47億21百万円、営業利益が61百万円(同0百万円の利益)だった。設計・施工を含めた産業用太陽光発電システム、電子機器の受託生産などが好調だった。
今期(15年3月期)連結業績見通しについては売上高が前期比2.9%増の1460億円、営業利益が同3.0%増の45億円、経常利益が同10.3%減の50億50百万円、純利益が同8.6%減の35億円としている。配当予想は特別配当1円を落として同1円減配の年間22円(第2四半期末11円、期末11円)とした。
セグメント別売上高の計画は、FAシステム事業が同2.3%増の683億円、半導体デバイス事業が同2.4%増の531億円、施設事業が同6.5%増の140億円、産業デバイスコンポーネント事業(情報通信事業から名称変更)が同4.0%減の52億円、その他事業が同14.4%増の54億円としている。重点戦略として、FAシステム事業ではロボット関連の強化、半導体デバイス事業では品揃え強化、施設事業では年間売上高150億円への挑戦、産業デバイスコンポーネント事業では事業再構築などを掲げている。
円安効果の一巡や消費増税後の景気減速懸念なども考慮して、営業利益は微増益、経常利益と純利益は減益の見通しとしているが、会社見通しは保守的な印象が強い。エネルギー・環境関連、工場の省力化・効率化関連など、設備投資需要が増加基調であり、好採算分野の受注増加も寄与して上振れ余地があるだろう。
株価の動きを見ると、全般地合い悪化も影響して4月の戻り高値圏1400円近辺から急反落した。5月20日と5月21日には1140円まで調整する場面があった。今期の経常減益・最終減益見通しも嫌気されたようだ。ただし足元では1200円台に戻して調整一巡感を強めている。2月安値1137円を割り込まずに反発して下値を確認した形だろう。
6月4日の終値1236円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS161円41銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間22円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2130円80銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインとなって反発し、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡して強基調に回帰の形であり、低PERや低PBRも支援材料として出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
電機・電子技術商社の立花エレテック<8159>(東1)の株価は、4月の戻り高値圏1400円近辺から急反落して5月安値1140円まで調整したが、足元では1200円台に切り返している。
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2014-06-05 09:15