【為替本日の注目点】ドル円レンジ抜けには時期尚早、イベントリスクを考えて

 NY市場  ドル円は東京市場で102円80銭まで上昇した後もみ合い、ADP雇用者数が市場予想を下回ったことから102円44銭まで売られた。その後は経済指標が上振れたことや、長期金利が2.6%台まで上昇したことから再び上昇し102円73-78近辺で引ける。   ユーロドルは本日のECB理事会を前にもみ合い。1.36を挟み上にも下にも動意を見せず小康状態。   株式市場は朝方は小安く始まったものの、ISM非製造業景況指数が好調だったことから切り返し、ダウは15ドル高。S&P500も小幅ながら最高値を更新。   米国債は5日続落。非製造業景況指数が予想以上に上昇したことから売りが優勢となり、長期金利は5月13日以来となる2.6%台を回復して引ける。   金、原油は小幅に反落。   米   5月ADP雇用者数     → +17.9万人   米   4月貿易収支        → 472億ドルの貿易赤字   米   5月ISM非製造業景況指数 → 56.3   ドル/円 102.44 ~ 102.75  ユーロ/ドル 1.3596 ~ 1.3639  ユーロ/円 139.62 ~ 139.91  NYダウ +15.19 → 16,737.53ドル  GOLD -0.20  → 1,244.30ドル  WTI -0.02  → 102.64ドル  米10年国債 +0.008  → 2.606%  本日の注目イベント  豪   豪4月貿易収支   中   中国 5月HSBC製造業PMI(速報値)   欧   ECB政策金利発表   欧   ドラギ・ECB総裁記者会見   欧   ユーロ圏4月小売売上高   英   BOE政策金利発表   米   新規失業保険申請件数   米   コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演   加   カナダ5月失業率   ドル円は昨日の東京時間昼ごろ102円80銭まで上昇しましたが、そこからは緩やかに反落し、NYでは朝方ADP雇用者数が市場予想に届かなかったことから102円44銭まで売られました。順調にドル高が進んだことから、やや調整も必要なタイミングになってきた感じもしますが、一旦売られても底から切り返すところが、今回のドルの反発がこれまでとはやや異なるところです。  ドル円はその後ISM非製造業景況指数が上振れしたことで、株価が反発し、長期金利が2.6%台まで上昇したころでドル高が進み、結局102円75銭近辺まで買われてNYでの取引を終えています。昨日のドルの高値102円80銭は、テクニカル通りの動きで、昨日のこの欄でも述べたように「日足」の「雲」の上限と、そのすぐ上に位置する「120日線」にしっかりと止められた格好になっています。また、NY時間での下値についても、「1時間足」の「52日線」がサポートする102円44銭で下落を止められているのが見て取れます。  ここからの展開ですが、やはり103円に乗せるにはさらなるドル買い材料が必要です。本日のECBの政策決定や失業保険申請件数などの上振れが考えれますが、本命は明日の雇用統計です。これらがドル支援材料に傾いてくれれば103円乗せも十分考えられます。もちろん昨日のADP雇用者数のように下振れすることもあるため注意が必要ですが、その際の下値のメドも確認しておく必要があります。  上記テクニカルから判断すれば、102円52銭、102円42銭、そして「日足」の「52日線」の102円23銭という水準が導き出されます。また、上値では昨日の高値である102円80銭と、心理的な節目である103円です。103円01銭は、先月の雇用統計直後に記録したドルの高値であることから、この水準では実需のドル売りや、利益確定のドル売りが並ぶことは想像に難くありません。  米金利が連日反発したことや、株価も堅調に推移し、とりわけ日経平均株価が「ようやく」先高感を見せていることでドル円にはやや買い安心感が出てきました。「100円台後半から103円のレンジ」を今回のドル高で「上方にレンジ抜けしたのか」といった質問も出てきました。レンジ抜けと判断するにはまだ時期尚早だと考えます。103円台にしっかり乗せて、その水準を固める動きが出るまではまだ慎重な見方は必要です。ウクライナ情勢や日本の成長戦略の中身など、まだ円買いが活発になる可能性は残っています。もうしばらくは状況をしっかりと見極める必要があると思います。  ユーロドルは1.36を挟み、ECB理事会前のポジション調整に終始している状態です。追加緩和に踏み切るのはほぼ間違いないと思われますが、同時に市場がそれをかなり織り込んできていることも事実です。ユーロのポジションも先安観測を背景に、ショートが積みあがってきていると予想されます。決定内容にもよりますが、材料出尽くしからユーロが買い戻されることも十分考えられます。そしてドラギ総裁の会見が非常に注目されることは、昨日述べた通りです。  本日のレンジは、イベントリスクを考えて102円20銭~103円30銭程度にしたいと思います。夕方、安倍首相が「G7]首脳会議を終えてブルッッセルで記者会見をおこなうことになっています。「G7]で議論された内容について触れるのか、また「第三の矢」である成長戦略についても触れる可能性があるかもしれません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は東京市場で102円80銭まで上昇した後もみ合い、ADP雇用者数が市場予想を下回ったことから102円44銭まで売られた。その後は経済指標が上振れたことや、長期金利が2.6%台まで上昇したことから再び上昇し102円73-78近辺で引ける。 
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2014-06-05 09:30