中国開発の大型旅客機「C919」、今後20年間で5000機を投入・・・背景には巨大な国内市場

 中国は開発中の大型機「C919」の初飛行を2015年末までにも実施する計画だ。同機の開発の背景には、中国はこれまでのような外国企業との提携で航空機製造の中核的技術を手に入れることができないという認識と、今後20年間で各種の民間機5000機の就航が必要になるという中国における航空機利用旅客の推移予測があるという。  中国は80-100席程度の客席を設けられるジェット旅客機「ARJ21」を開発。初飛行は2008年に実施。ただし、当初は2010年末に予定されていた航空会社への納入開始と運航は遅れ、現在も試験飛行を繰り返している状態だ。  中国はARJ21とは別に、190人クラスのC919を「大型機」と位置づけ、開発に着手した。  C919プロジェクトの陳迎春常務副設計師は、中国のこれまでの旅客機開発について、1970年代にジェット旅客機「運10(Y10)」を開発したが、商用運航は実現しなかったと説明。  その後は、マクドネル・ダグラス、ボーイング、エアバスなど航空機メーカーの世界的巨頭と提携したが、先進的な世界的メーカーに「大市場を与える交換で技術を得るという近道を望んだから」ことが理由だった。しかし中国は中核的技術を学ぶことはできず、改めて自力で大型機を開発することになった。  また、C919開発の背景には、中国の航空輸送量の大幅な伸びがある。旅客輸送については、2005年には利用者が1億3800万人だったが、2010年には2億6800万人と年平均で14.1%の伸びだった。その後は年平均11%の伸びで、2015年には5億5000万人になると見込んでいる。  陳常務副設計師によると、中国人1人あたりの年間航空機利用は0.21回になった。輸送人員は年間延べ3億人と、10年前の約3倍になった。しかし、1人当たり利用回数は欧米における年間1.78回に比べるとまだ少ない。  今後20年間の間に新たに5000機の民間機を就航させる必要があり、そのための費用は5600億ドル(現在のレートで約57兆4000億円)と見積もられている。陳常務副設計師は「これだけの大きなパイがありながら、手をこまねいて傍観しているのはあまりにも惜しい話」と説明した。  ただし、C919の開発は「基本的には白紙の状態からの出発」であり、現在のところは機体そのものは中国が設計したが、エンジンや飛行制御、電気系統、油圧系統など、主要部分の多くは外国からの購入にたよらざるをえなかった。今後は、徐々にではあるが国産化率の向上に努めるという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
 中国は開発中の大型機C919の初飛行を2015年末までにも実施する計画だ。同機の開発の背景には、これまでのような外国企業との提携で中国は航空機製造の中核的技術を手に入れることができないという認識と、今後20年間で各種の民間機5000機の就航が必要になるという中国における航空機利用旅客の推移予測があるという。(イメージ写真提供:123RF)
china,technology,economic
2014-06-05 15:45