【株式・為替相場展望】投資マインド改善の流れ継続、物色が広がる中小型株先導
(9日~13日)
■指数は週末SQに向けて仕掛け的な動きも
来週(6月9日~13日)の株式・為替相場は、投資マインド改善の流れが継続して堅調な展開となりそうだ。株式市場では急ピッチの上昇に対する警戒感や戻り売り圧力もあるが、新興市場では物色の広がりも見せ始めており、やはり中小型株先導の形だろう。週末13日の株価指数先物・オプション6月限メジャーSQ(特別清算指数)算出に向けての思惑も焦点となり、仕掛け的な動きが活発になる可能性もあるだろう。
イベントとしては12日~13日の日銀金融政策決定会合が焦点だが、すでに日銀の追加金融緩和観測が大きく後退しているため、材料視されない可能性があるだろう。この場合は、翌週17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)を控えて重要イベントの谷間となる。
外国為替市場では、重要イベントだった5日のECB(欧州中央銀行)理事会での追加金融緩和決定や、週末6日の米5月雇用統計発表後も、概ね市場予想どおりの結果として大きな動きを見せていない。来週も米10年債利回りの動向を睨みながらの展開だが、世界的な低金利を背景として、ドル・円相場、ユーロ・円相場とも小動きとなりそうだ。
前週(6月2日~6日)の日本株は、週前半に大幅上昇した後、週後半は急ピッチの戻りに対する警戒感や、週末6日の米雇用統計を控えて上値が重くなった。しかし下押す動きも見られず、潮目変化ムードが継続して堅調な展開だった。海外の地政学リスクがやや和らいだ一方で、米国株式市場が堅調な動きだったこと、為替がややドル高・円安方向に傾いたこと、政府が6月中に取りまとめ予定の「骨太の方針」「新成長戦略」や、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のリスク資産運用比率引き上げへの期待感などが支援材料となった。
週間騰落率で見ると、日経平均株価は444円86銭(3.04%)上昇した。2日と3日の2日間合計で401円87銭(2.75%)上昇し、3日には終値で4月4日以来となる1万5000円台に乗せた。週後半は上値が重くなったが、6日の取引時間中には3月11日以来の水準となる1万5144円34銭を付ける場面があった。6日の終値は1万5077円24銭だった。TOPIXは週間で33.16ポイント(2.76%)上昇した。6日の終値は1234.57で3月7日以来の水準だった。
また東証マザーズ指数は4日に12日ぶりの反落となったが、週末6日の終値は832.23となり、週間では55.08ポイント(7.09%)上昇となった。終値ベースの5月19日安値635.00から見れば、週末6日の終値で197.23ポイント(31.06%)上昇したことになる。物色面の広がりも見せ始め、個人投資家のマインド改善が顕著だ。
外国為替市場では、前々週に2.4%台まで低下した米10年債利回りが、一転して2.60%近辺まで上昇したことを受けて、ドル・円相場は1ドル=102円80銭近辺までドル高・円安方向に傾く場面があった。
ユーロについては、週前半は5日のECB理事会での追加利下げ観測でユーロ売り優勢だった。そして5日のECB理事会では政策金利引き下げやマイナス金利導入といった追加の金融緩和を決定し、ドラギ総裁は記者会見で資産を買い入れる大規模な量的緩和の導入にも含みを持たせた。これに対して市場では、結果発表直後にはユーロ売りの動きを強める場面があったが、すぐにユーロ買い戻しの動きに転じた。目先的には材料出尽くしとなったようだ。
週末6日発表の米5月雇用統計では、失業率は前月比横ばいの6.3%となり市場予想6.4%よりも良好な結果だった。非農業部門雇用者増加数は前月比21.7万人増加となった。4月改定値28.2万人増加(速報値28.8万人増加から0.6万人下方修正)から減少したが、市場予想の21.5万人増加~21.8万人とほぼ同水準であり、4カ月連続で景気回復の目安とされる20万人増加を維持したことで、雇用改善が確認される形となった。
米5月雇用統計の結果を受けた6日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価とS&P500株価指数とも高値引けとなり、取引時間中ベースと終値ベースの史上最高値を更新した。ナスダック総合株価指数も上昇した。CME日経225先物6月限(円建て)は1万5200円だった。外国為替市場は1ドル=102円40銭~50銭近辺、1ユーロ=139円80銭近辺で終了した。
前週末6日の米国市場の結果を受けて、来週初9日の日本の株式市場は買い優勢での堅調なスタートとなりそうだ。ただしテクニカル面で見ると、東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)が6日時点で126.10%と過熱感を示すラインを越えてきたこともあり、急ピッチの戻りに対する警戒感も強まりそうだ。その後は、週末13日の株価指数先物・オプション6月限メジャーSQ(特別清算指数)算出に向けての思惑も焦点となり、仕掛け的な動きが活発化して乱高下する場面もありそうだ。
円安進行一服の状況に変化はなく、東証1部市場の売買代金はやや回復傾向とはいえ2兆円を大きく上回ってきた状況でもない。まずは日経平均株価1万5000円台固めとして、主力株に関しては上値が重くなる可能性があり、やはり新興市場を中心とした中小型株先導の形だろう。
国内では12日~13日の日銀金融政策決定会合が当面の焦点だが、日銀の追加金融緩和に対する期待感が後退し、実施時期に関する見方も今秋以降に後ズレしているため、今回はほとんど材料視されない可能性があるだろう。この場合は翌週17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)と、18日のイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見を控えて重要イベントの谷間となる。
一方で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のリスク資産運用比率引き上げへの期待感が高まるとともに、政府の「骨太の方針」「新成長戦略」に対する期待感をポジティブ材料視する動きが一段と高まる可能性があるだろう。
海外要因としてはウクライナ、タイ、中国などの地政学リスクに対する関心が低下してきた。ウクライナ情勢に関してはポロシェンコ新大統領の就任、そしてノルマンディー上陸作戦70周年記念式典会場でのオバマ米大統領とプーチン露大統領の対話などで、当面は情勢が落ち着きそうだ。軍事クーデター後のタイに関しても、市民生活や企業活動が落ち着きを見せ始めているようだ。
中国に関しては、8日に中国5月貿易統計、10日に中国5月PPI・CPI、13日に中国5月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資の発表が予定されている。ただし景気減速トレンドは織り込み済みであり、反応は限定的だろう。むしろ、南シナ海や新疆ウイグル自治区などの地政学リスクの高まりに注意が必要だろう。
株式市場での物色動向としては、急ピッチの戻りに対する警戒感で主力株の上値が重くなる可能性がありそうだ。物色の広がりも見せ始めた新興市場を中心とする中小型株が先導する展開だろう。テーマ関連株物色の動きも一段と強まりそうだ。ゲーム関連に関しては、10日~12日に米ロサンゼルスで開催されるゲーム見本市E3が材料視される可能性もあるだろう。主力株の中では出遅れ感の強い金融・不動産関連に注目しておきたい。
為替については、5日のECB理事会と6日の米5月雇用統計という重要イベントを通過したが、一時的な仕掛けがあっても基本的に大きな動きは見られない。次の重要イベントである17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)に向けて、引き続き小動きだろう。概ね1ドル=102円台、1ユーロ=139円~140円近辺での推移を想定する。
その他の注目スケジュールとしては9日の日本1~3月期GDP2次速報、日本4月経常収支、日本5月景気ウォッチャー調査、日本5月消費動向調査、10日の日本4月第3次産業活動指数、日本5月マネーストック、米4月卸売在庫、11日の日本4~6月法人企業景気予測調査、日本5月企業物価指数、米5月財政収支、12日の日本4月機械受注、インドネシア中銀金融政策決定会合、米5月小売売上高、13日の4月鉱工業生産確報、ユーロ圏4月貿易収支、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。
その後は16日の日銀6月金融経済月報、17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)とイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見、18日の日本5月貿易統計、タイ中銀金融政策決定会合、米第1四半期経常収支、22日のユーロ圏4月経常収支、25日の米第1四半期GDP確報値、26日~27日のEU首脳会議などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
来週(6月9日~13日)の株式・為替相場は、投資マインド改善の流れが継続して堅調な展開となりそうだ。株式市場では急ピッチの上昇に対する警戒感や戻り売り圧力もあるが・・・。
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2014-06-08 13:45