【為替本日の注目点】米雇用改善傾向で円下落、NY株価連日高騰は過熱感否めず
NY市場
ドル円は雇用統計発表直後102円11銭まで下落したが、株式市場が大幅高となり、長期金利も上昇したことを好感し102円台半ばまで値を戻して引ける。
ユーロドルは一時買われ、1.36台後半まで上昇。その後はドル高の流れにジリ安となり1.36台前半まで売られる。
株式市場は大幅に続伸。雇用者数が市場予想を上回ったことでダウ、S&P500はともに連日の最高値更新。ナスダックも最高値に迫る。
債券相場は雇用統計を受け下落。週間ベースでも3ヶ月振りの大幅安となる。長期金利は2.59%まで上昇して引ける。
金は反落し。原油は反発。
米 5月失業率 → 6.3%
米 5月非農業部門雇用者数 → 21.7万人
米 4月消費者信用残高 → 2684億ドル
ドル/円 102.11 ~ 102.61
ユーロ/ドル 1.3621 ~ 1.3677
ユーロ/円 139.32 ~ 139.93
NYダウ +88.17 → 16,924.08ドル
GOLD -0.80 → 1,252.50ドル
WTI +0.18 → 102.66ドル
米10年国債 +0.006 → 2.590%
本日の注目イベント
豪 シドニー市場休場(女王誕生日)
日 1-3月GDP(改定値)
日 4月国際収支
日 5月景気ウォッチャー調査
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米 グアテマラ・ボストン連銀総裁講演
加 カナダ5月住宅着工件数
先週末の雇用統計発表直後、ドル円は先月と同じよう売られ、一時102円11銭までドル安が進みましたが、そこからがこれまでとは違いました。流れを変えたのはNY株式市場です。ダウとS&P500は連日で史上最高値を更新し、ダウは今週にも史上初の1万7000ドル台を記録するのではといった強気な見方もでてきたようです。また、ナスダック指数も最高値が視野に入ってきています。
背景は雇用者数が市場予想を上回る21.7万人で、失業率も6.3%と予想より改善したことです。雇用者数はこれで、FRBが目標とする20万人を4ヶ月連続で上回ったことになります。米雇用統計が改善傾向を維持していることに加え、ECBが積極的な緩和策を決めたことも株式市場にとっては追い風です。さらに今期の米企業業績も順調に拡大するとの調査もあり、やや過熱感を感じながらも株式を買っている状況です。
株価が上昇すれば投資家にとっては「リスク許容度」が増し、より高金利の通貨に資金を向け、より低金利の通貨を売るという行動に出やすいことになり、ドル円の上昇要因になります。ドル円は先週一時102円80銭までドル高が進んだ後やや調整気味になってはいますが、その後は一度も102円台を割り込むことはありませんでした。
この動きは、やはりこれまでの動きとはやや異なるのではないかと思われます。上値の重い展開が続いてきたドル円は、ある程度相場観も固定化されており、103円前後では「ドルの天井」と観たドル売りも出やすい状況ですが、今度102円80銭を上抜けするようだと103台での展開も観られると予想しています。
国内に目を向けても、安倍首相は法人税減税の前倒しを指示し、2015年から実施されそうです。これは海外投資家が最も関心を持って成り行きを注目していた事柄の一つです。もちろん日経平均株価にとっても好材料です。さらに年金運用のGPIFもどうやら、資産配分を株式にシフトすることが決まりそうな状況です。大手証券会社の試算によれば、現在17%強の株式への配分を20%に上げれば、長い目で見ればドル円を「10円程度」円安に押し上げる効果があるとレポートしています。どうやら年後半は、昨年観られたように「ドル高、株高」が、ようやく復活するのではないかと考えております。
中国景気の動向や、やや明るい兆しの見えてきたウクライナ情勢など、まだドルの下落リスクは残っていますが、日欧が大規模な緩和政策を維持し、米国がテーパリングを進めている状況下では、円とユーロがドルに対して下落することに違和感はないと思われます。懸念材料としてはNY株価の連日の高騰です。企業業績を伴った上昇とはいえ、過熱感は否めません。本日のレンジは102円20銭~103円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は雇用統計発表直後102円11銭まで下落したが、株式市場が大幅高となり、長期金利も上昇したことを好感し102円台半ばまで値を戻して引ける。
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2014-06-09 09:15